週末オススメ本ミシュラン「日本はまだ米軍の占領下」は真実だった公開日:2016/07/10 07:00 更新日:2016/10/17 04:37.日本人が知らない「闇歴史」アメリカに支配された70年の真実 2015.09.21 06:10 公開PDF魚拓



 日本はいまだに米軍の占領下にある。本書を一言で要約すると、そうなる。「そんなバカな」と思われるかもしれないが、著者はきちんと証拠を示しながら丁寧に論証しているから、これは事実だ。



 正直言って、私自身、そんなことじゃないかと思っていた。経済分野の日米交渉で、日本は一度も勝ったことがないのはなぜなのか。2012年に航空自衛隊の航空総隊司令部が米軍横田基地に移転されるなど、米軍と自衛隊の統合運用が強化されているのはなぜなのか。日本がまだ、米軍の支配下にあるのだとしたら、そうした疑問に完全な答えが出るのだ。



 著者は、日本において米軍は基地権と指揮権を持っているという。基地権というのは、米軍基地内で米軍が自由に行動できるだけでなく、基地への自由なアクセス権を持つというものだ。例えば、米軍関係者は日本が管制権を持たない横田空域を飛んで横田基地に入り、そこから六本木の米軍ヘリポートに軍用ヘリで移動する。日本に入国するのに手続きもパスポートも要らない。



 指揮権というのは、有事の際に自衛隊は米軍の指揮下で活動するということだ。私はずっと自衛隊は日本を防衛するための組織だと思ってきたのだが、そうではない。自衛隊は、米軍支援のための部隊だったのだ。



 そうした事実が国民の前に明らかになっていないのは、安保条約や地位協定などに書かれているのは、表向きの話だけで、日本国民にとって都合の悪いことは、すべて日米合同委員会で密約として決められるからだという。



 この日米合同委員会の出席者は日本政府の代表と米軍の代表だ。つまり、日米関係というのは、政府間交渉のレベルにも達しておらず、いまだに占領下と同じ、米軍の支配下に置かれているのだ。それが戦後70年たった日本の現実なのだ。
 ただ、著者はあきらめてはいけないという。いくら密約があったとしても、国民の声は、無視できないからだ。
 日本が本当の主権を回復するために、まず私たちがやらなければならないことは、日本の安全保障の実態がどのようになっているのかを知ることだ。その点で、本書は必読と言ってよい良書だ。★★★(選者・森永卓郎)

「日本はなぜ、『戦争ができる国』になったのか」矢部宏治著(集英社インターナショナル)





敗戦の8月15日に運命は決まっていた――。日の丸の政治も経済も食文化もスポーツも、かの国の匙加減ひとつで動いてきたのだ。絶対に表には出ない真実を全部明らかにする!



小泉も安倍も全部言いなりだった自民党 完全傀儡の政治編



1945年に日本が太平洋戦争で敗れてから、今年の夏でちょうど70周年を迎える。安倍晋三首相は終戦記念日前後に「戦後70周年談話」を発表する準備を進めており、今年は戦後70年を総決算する夏となる。

だが、戦後復興から経済成長、バブル景気や市場原理主義の導入など、戦後史は日本の主体的な意思によって行われたものではない。政治も経済も文化も、"勝者"であるアメリカに操られてきた事実は間違いなくあるのだ。



日本支配はGHQとマッカーサー元帥による戦後統治から始まった。彼らは戦勝国による一方的な東京裁判で戦犯を裁き、"押しつけ"と揶揄される日本国憲法を作っている。

「戦後間もない時期、GHQは言論機関に検閲を加え、戦時中公職にあった職員を軒並み追放するなど、やりたい放題で日本の"改革"を進めてきました。 特に憲法草案は日本側が提出した案をマッカーサーが撥ねつけ、GHQがわずか10日間で作成した案になり、そのまま今の日本国憲法となったんです」(全国紙政治部記者)



その後、51年には日米安全保障条約が締結され、60年に激しい反対闘争を岸信介首相が押さえ込んで、安保改定にこぎつけた。

「岸首相は社会党や共産党の反対派を抑えて強行採決に踏み切りました。自民党の結党にもアメリカ側から大量の資金が流れていましたから、言いなりも同然でした」(前同)

奇しくも今夏、祖父・岸信介と同じように、安倍首相は国民の反対を無視して安保法案の成立を強行しようとしている。



「安倍政権の対米外交は、完全に米国の知日派の意向通りです。アーミテージ元米国務副長官とハーバード大学教授などが12年に作成した日本への提言レポートに基づいていますから、安倍独自の政策ではありませんよ」(自民党中堅議員)

祖父も孫もアメリカの言いなりだったというわけだ。

ちなみに、安倍首相の"政治の師匠"である小泉純一郎元首相も完全米国服従だったのは有名な話だ。



01年に小泉政権が誕生すると、民間人の閣僚登用によって竹中平蔵・経済財政政策担当大臣が誕生。両名で構造改革・金融改革路線を牽引した。

「労働基準法を改正し、雇用の流動化によって非正規雇用・派遣労働者を増やしました。これにより若者が安定した正社員に就ける可能性が大きく狭められ、不安定な非正規雇用の労働者は格差拡大に苦しみ、今も、それが続いています」(民放局経済部記者)



民間シンクタンク・独立総合研究所の青山繁晴氏は、当時の規制緩和路線を次のように振り返る。

「小泉・竹中コンビには、"アメリカに迎合する規制緩和が必要だ"という思い込みが強くあったように思います。今や戦後から70年も経ち、アメリカの力の衰えが目立っているんですから、いつまでもアメリカに屈する日本の迎合姿勢は問題ですよ」



そして、労働市場自由化の流れは、現在の第二次安倍政権も引き継いでいる。

「今国会では労働者派遣法の改正が審議されておりこれまで期限なしで働けた派遣社員を最長3年で雇い止めにする法改正が成立します」(前出の経済部記者)

せっかく派遣社員が手に職をつけても、1年や2年、長くても3年で放り出されてしまうのではたまらない。



実は、こうした政治の裏には、日米両政府が取り決めたシナリオが存在する。

94年から日米両政府は「年次改革要望書」と呼ばれる公式文書を毎年相互に交わし合ってきた。この文書に書かれていることが、まるで「予言書」のように次々と実現しているのだ。

田母神俊雄・元航空幕僚長は、「年次改革要望書=予言書」である証拠を示す実例の一部を、以下のように列挙している。
〈NTTの分離・分割(97年)、金融監督庁の設置(同)、労働者派遣法改正(99年)、医療制度改革(01年)、司法制度改革(02年)、ロースクール制度導入(04年)、新会社法、M&A(合併・買収)の円滑化(05年)〉(著書『だから日本は舐められる』より)

というように、何もかも米国のシナリオどおりに動いていたのだ。
巨ス大ーパーもTPPもハメられていた 飲み込まれた経済編



現在、日本政府はTPP(環太平洋パートナーシップ協定)参加をめぐり、粘り強い交渉を重ねている。TPP交渉にはアメリカや日本、オーストラリアなど12か国が参加しており、農林水産業、自動車産業、知的財産など幅広い分野で経済の風景が大きく変わる。

「日本政府は米、牛肉・豚肉、乳製品、麦、砂糖の5品目を"聖域"と位置づけたものの、TPP交渉はアメリカ主導で引きずられてしまっています。甘利明TPP担当大臣は"聖域を守る"という約束を反故にし、牛・豚の関税を引き下げ、米を輸入拡大する方向で調整に入りました」(民放局政治部記者)



〈米国に追従し合意急ぐ必要ない〉(6月26日付愛媛新聞社説)、〈TPPで影響を受ける国内農業の足腰は弱っている〉(6月27日付信濃毎日新聞社説)など、全国のメディアから厳しい批判の声が上がっている。

「TPPについては北海道庁がレポートを出しており、北海道新聞もきちんと報道しています。それらの資料を見る限り、TPPを導入すれば北海道の酪農農家は壊滅してしまうでしょう」(前出の青山氏)



今問題となっているTPPだけではない。貿易や流通など、戦後の日本はアメリカ型の経済システムの導入を余儀なくされてきた。それを象徴するのが、"大型スーパー"の導入だ。

「中内㓛は57年にダイエーを創業。巨大スーパーマーケットに日本人は慣れ親しみ、全国津々浦々に判で押したように同じ店舗が並ぶことになりました。大型スーパーの登場により、輸入品があふれ、街の商店は軒並みつぶれ、競争激化を強いられたのは事実です」(前出の政治部記者)



中内氏は62年に「国際スーパーマーケット大会」の日本代表としての本場のスーパーマーケットを見学して衝撃を受け、ダイエー拡大路線を決意したというが、これにも裏があった。

「実はこのとき、中内氏は向こうの食品業界などの大物から派手な接待を受け、"ナカウチを全面支援する"という密約を取り付けていた。だからこそ、ダイエーの拡大路線を一気に実現できたんです」(前同)

アメリカ式の市場経済を良かれと思い、そのまま輸入した経済人の戦略は果たして正しかったのか。



日本の生産年齢人口(15~64歳)は95年にピークを迎え、翌96年から減少が始まる。巨大マーケットが右肩上がりで、いつまでも伸び続けるわけではない。

「結局、時代に取り残されたダイエーは90年代後半から経営危機に陥り、のちにイオングループの傘下に入って救済されました」(全国紙経済部記者)



人口減少、とりわけ生産年齢人口の頭打ちは20年前の時点で明らかに見えていたにもかかわらず、政府も日本企業も時代の変化に対応しきれていない。

そもそも、人口も国土もアメリカとはまったく違うのだから、イケイケドンドンで成長を目指すアメリカ式の行き方ではなく、成熟した国家としての営みが求められているのだ。
マクドナルドも音楽もWBCもゴリ押し 危険な食生活と文化編



実業家の藤田田氏は71年に日本マクドナルドを創業し、バブル真っ盛りの89年には、おもちゃ店チェーンのトイザらスを日本で開業した。

「フランチャイズ権を得た藤田氏は豊富な資金力を背景に次々と店舗を拡大し、当時はチェーン店などほぼなかった郊外にも出店していきました。実は藤田氏、郊外進出には消極的でしたが、米本社側の意向には逆らえず、不本意だったようです」(流通ジャーナリスト)



マックの登場は日本のファストフード市場に革命をもたらし、とりわけ90年代、00年代を通じて外食産業のデフレ化を進める引き金となった。

外食デフレ路線を牽引したマクドナルドは、相次ぐ「食の安全」問題によりピンチに陥っている。今年6月の時点で、売り上げは12か月連続2ケタ減という極めて危機的な情勢だ。

「ここにきてマックがピンチに陥っている現状は、少子化でシュリンクする日本にアメリカ式市場経済が適応できなくなっている象徴かもしれません」(前同)



食生活だけでない。世界に冠たる電機製品もピンチに陥っている。80~90年代、ソニーはウォークマンによって世界市場を席捲した。

だが、デジタル時代に移行し、01年にアップルから初代アイポッドが発売され、ソニーは凋落するばかり。

「07年にアイフォンが、10年にアイパッドが発売されると、両者は世界中で爆発的にヒット。ウォークマンに代表される日本企業の製品は、デジタル製品の波についていけず、同時に日本国内のCD売り上げも右肩下がりとなりました。アップルの創業者・スティーブ・ジョブズの登場によって、日本の音楽関係の製品は世界の流れから取り残されたわけです」(前同)



スポーツの世界でも、オレ様アメリカの横暴が見受けられる。夏のオリンピックはメジャーリーグのシーズン真っただ中のため、メジャーのスターはオリンピックに出場できなかった。

05年には北京オリンピック(08年)をもって野球が廃止されることが決定すると、アメリカ主導でワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が始まったのだが、これも裏がある。



「WBCはメジャーリーグの主催ですから、FIFAという国際団体が開催するサッカーW杯とは性格がまったく異なります。オリンピックにはメジャーの主力選手が出場できないため、野球を利用してアメリカ主導で金儲けできるよう、WBCを仕組んだんでしょう」(スポーツ紙記者)

WBCの敗者復活ルールはデタラメであり、前回大会では日本戦5試合のうち、3戦は韓国が相手というムチャクチャな結果になったことを考えれば、いかに日本不利のルールだったかが分かる。
「実は、プロ野球もメジャーの食い物にされつつあります。野茂英雄が活躍し、メジャーが日本選手獲得に積極的になりました。"日本のスターは集客やグッズや放映権などで金になる"ために、ダルビッシュ有や田中将大などの投手を獲るわけです。日本球界のスターをこぞって持っていかれるのだから、プロ野球の人気低迷にもかなり影響していますよ」(前同)

戦後70周年を迎えた今、日本はアメリカの属国のままでよいのだろうか。

日本人が知らない「闇歴史」アメリカに支配された70年の真実2015.09.21 06:10 公開