不倫の“容疑者”を追跡するため、車にこっそり全地球測位システム(GPS)の端末を取り付ける――。そんな札幌市の探偵業者の調査手法がプライバシー侵害に当たるかが争われた訴訟が旭川地裁であり、上村善一郎裁判長は22日の判決で「調査目的は正当だが、やり方は相当性を欠いており違法だ」と判断した。
旭川地裁
判決などによると、問題の探偵業者は2022年、北海道内に住む原告男性の不倫調査を依頼され、男性の車に無断でGPS端末を設置。取得した位置情報を使い、男性が妻以外の女性と滝川市内のホテルから出る際の写真を撮影するなどした。
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撮影された2人が探偵業者に計480万円の損害賠償を求めた一方、業者側は「原告ではなく『車』の位置情報を得たにすぎない」と反論。判決は「主な移動手段が車の地域では、GPSの情報でかなりの行動履歴が分かる」としてプライバシー侵害を認め、業者側に計44万円の賠償を命じた。
原告側の足立敬太弁護士は、「探偵業者によるGPS使用の違法性を認定した全国初の判決ではないか」としている。