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【Jude File】Episode1.『はじめまして』

マドリー公式がべリンガム加入を発表してから、まもなく2か月を迎えようとしている。

マドリディスタとなったべリンガムの軌跡を定期的に振り返ることができるコンテンツを作りたいと考え、”Jude File”という名のマガジンを作成した。

今回は、ここまでの彼の(約)2か月をEpisode1.として振り返る。


入団会見

6月14日の加入発表を受け、その翌日に入団会見を執り行った。彼が今シーズン3人目の新戦力であり、入団会見の時間も場所もフラン・ガルシア、ブラヒムの場合と同様だった。彼らと違ったのは、持っていたユニフォームと関係者の数だった。

レアル・マドリーは、23/24シーズンのユニフォームデザイン発表の約2時間後にべリンガム獲得を発表した。4、5日ほど前に入団会見を終えていたフラン・ガルシアとブラヒムには、もともとマドリーにルーツがあることをいいことに、昨シーズンのユニフォームのままで強行突破した。それに対して、マドリーはべリンガムには金額相応のおもてなしを図った。この事は大きな話題とはならなかったが、釈然としない対応だと言われても仕方がないものだった。

関係者の数も違った。弱冠19歳の英国人の会見には、フラン・ガルシアとブラヒムのそれの2倍以上の関係者が詰めかけたと言われている。本来であれば、屋内での入団会見の後、白色のユニフォームに袖を通した初々しい選手達は、ベルナベウに足を踏み入れる。直近では、皮肉にも元7番・ベルギー代表が記憶に新しいだろう。同列に扱うわけではないのだが、クリスティアーノにもベンゼマにもかつて同じような空間が用意されていた。

しかし周知のとおり、ベルナベウは終わりなき改修工事のため使うことはできず、ディ・ステファノもカスティージャの昇格プレーオフ決勝を数日後に控えているという理由で使えなかった。結局、ベルナベウの代わりがバルデべバス内の練習コートとなり、オーディエンスは関係者のみの小規模のままで終わった。元7番・ベルギー代表に次ぐ歴代2位の移籍金プレイヤーに対して、レアル・マドリーはド迫力のある宴にしたかったことは間違いないだろう。

目移り

一通りの催し物が済んだ後、べリンガムは弟ジョーブ・べリンガムとバカンスを謳歌するためにマドリードを離れた。

サッカージャーナリスト・ロマーノ氏の決まり文句から約1週間は、マドリーにとってみればべリンガムのプロモーション期間だった。その期間を終えると、次は契約延長問題を解決していく期間に移った。
マドリーは、クロース、ナチョ、セバージョス、モドリッチの順にファンを安堵させ、その後、クラブは今夏の2度目のピークを迎えることになる。

それがアルダ・ギュレルの加入発表だ。

ギュレルの獲得には、べリンガムのような年単位の話は存在せず、噂から現実までが非常にコンパクトにまとめられた移籍だった。だからこそ盛り上がった。

ベンゼマ、アセンシオをはじめとしたアタッカーが一気にチームを離れ、カルロが持つ今シーズンのアタッカーは、ヴィニとロドリゴ、そこに加わったブラヒムとホセルだけになった。そしてフランスの彼の話も未だ混沌としている中、アルダ・ギュレルの名が突如として現れた。

結果的にはバルセロナ側が持ち込んだ話をマドリーが決着をつけるような形となり、数日前にべリンガムに向けられていた視線は、いとも簡単にギュレルの方へと釣られた。

そうこうしているうちに、べリンガムは20歳になり、チーム始動が近づいていた。

チーム始動とプレシーズンマッチ

7月11日、バルデべバスでの最初のトレーニングを終えたべリンガムはシンプルな文章と4枚の写真をSNSに投稿し、それはチームの始動を心待ちにしていたサポーターたちへの挨拶代わりとなるものだった。

国外から渡ってくる選手たちにとって言語の違いは、大きな壁となる。幼少期にスペイン語を学んでいたことがあるべリンガムは、現在はスマートフォンに語学の学習アプリを入れていると言う。また、ルーカスやブラヒムが先生となり、スペイン語の汚い言葉を教わっていることを面白おかしくインタ
ビューで語った。


7月19日、マドリーはアメリカでのサッカー・チャンピオンズ・ツアー2023に参加する選手を発表した。
ACミラン、マンチェスター・ユナイテッド、バルセロナ、ユベントスの4チームとのプレシーズンマッチが予定されており、べリンガムの起用法が注目されていた。

現在の執筆時点では、クラシコまでの3試合を終えている。

プレシーズンマッチでは、前半と後半でメンバーを総入れ替えすることも珍しいことではなく、あくまでテストマッチな要素が強い。


第1戦 ACミラン戦

この試合では、カルロは前述の通りに前半と後半で大幅な入れ替えをした中で、べリンガムには後半途中までプレーさせた。
ブラヒムとホセルの2CFの下に10番としてべリンガムを配置。後半はポジションを変えずに、ヴィニとロドリゴとの関係を確認した。
フォーメーションの強度はさておき、べリンガムの輝きにマドリディスタは大きく頷いた。

チームに10番のポジションを作ることを厭わないカルロは、べリンガムをこう絶賛した。

これほどのクオリティを持つ選手は珍しい。そして彼が20歳で見つかるのは奇妙だ。

第2戦 ユナイテッド戦

第2戦のユナイテッド戦では、早くもマドリーでの初ゴールが誕生した。それは、今シーズンから最終ラインからロングフィードを積極的にトライしているリュディガーとの息が合ったゴールであり、両者にとって良い結果の現れであった。

前半42分には、リサンドロ・マルティネスからの悪質なタックルに対して怒りを見せたものの、試合後には「幸運を祈っている」と告げられたとの主旨を明かし、大きな問題へと発展することはなかった。

第3戦 クラシコ

初ゴールの祝福も束の間、初めてのクラシコがやってきた。

この試合でも、べリンガムはヴィニ、ロドリゴの2CFとトライアングルを構成した。ACミラン戦、ユナイテッド戦と比べてより実践的な90分間をカルロは用意したが、スコアを見れば呆気なかった。
(特に記すこともない。)

膝に違和感があると報道されることもあったが、ここまでは順調にトレーニングをこなし、プレシーズンマッチでも高評価を得ている。


Episode2.へつづく