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間も無く「独身の日」開始 中国EC各社の取り組み

中国EC業界恒例の祭典「独身の日(ダブル11)」、今年は13年目の開催となる。アリババが2009年に始めたこのイベントは、中国消費市場の動向を示し、毎年たくさんの注目を集めている。

13年前と比べ、中国のEC勢力図は大きな変化を遂げた。現在は、アリババ、京東(JD)、拼多多(pinduoduo)の3強局面となり、ショート動画2社のDouyin(抖音)、kuaishou(快手)もライブコマースを通してEC業界への影響力を高めている。

このイベントの着目点は、なんと言っても年々更新されるGMV(販売総額)である。元々アリババ1社による開催だったのが、今や複数のプラットフォームがダブル11に参加。この年々更新されるGMVが世界中に中国市場の成長を示し、このイベントは一体どこまで成長するのか、関心が集まっている。

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▲独身の日のアリババ(Tmall)GMVと前年比伸び率

今回チャイトピ!はアリババ、京東、Douyin3社の取り組みをまとめ、今年のトレンドを分析してみた。

開催期間
アリババと京東は、10月20日20時〜11月11日23時59分とし、去年よりスタート時間を4時間前倒しにした。例年、0時スタートだったため、消費者の健康面を考えてのことだろう。

Douyinは他社よりも5日早い、10月15日から開始する。

双11

▲EC各社のダブル11取り組み(チャイトピより作成)

この3社の取り組みをまとめると、主に以下の4点である。

• セール期間をさらに延長
• ライブコマースに注力
• 中小出店者に対する支援
• 消費者の体験改善


■アリババ
① 出店者の日常運営にプロモーションやトラフィック支援を実施。タオバオアプリでは、ライブコマースのチャンネルを画面トップに設置し、出店者がライブ配信をすることで、多くの露出を無料で提供する。

② 消費者に対し、「种草机」(宣伝)機能をリリース。お買い得な商品情報をランダムに表示することで、イベント開始前から商品の割引情報をチェックできる。

③ 買い物かごのシェア機能も10月末にリリースする予定だ。大型セールを見逃したくはないが、何を買うか悩んでいる人に対し、この機能を使うことで友達の買い物リストを参考にできる。

④ 格安ECアプリの「タオバオ特価版」がwechat payの導入に積極的であり、決済コードを通して支払う(直接アクセスはできない)ことが可能になると発表。

政府の圧力を受け、中国のネットサービスが相互ブロックを解除しつつある現在、ダブル11の前にwechatとタオバオのブロックが完全に解除されたら、アリババに新しい成長をもたらす可能性があるだろう。


■京東
① 中小出店者のイベント参加ルールや、ライブ配信の参加条件を緩和。広告やトラフィックなどの方面で支援を実施。

② 京東は今回新商品の発表に注力。4億点の新商品をイベントで発売予定している。

③ 京東アプリでは「小時購(購入すると1時間で送達)」を開始。位置情報を基に、3~5キロ以内であれば1時間で送達を行う。ダブル11では、例年買い物ラッシュで商品が消費者の元に届くまで長時間要していたため、このサービスにより改善を試みる。


■Douyin
Douyinは2019年からダブル11のイベントを開催。今年は出店者にトラフィック上の支援を実施する他、消費者体験を向上させるための措置を取る。

① セール後に商品値引きが発生した場合、消費者が出店者に差額を請求できる「価格補償」制度を公開。

EC事業歴が他の大手より浅いため、ユーザー体験が悪いと言われているdouyinは、消費者体験の改善をメインに進めているようだ。


チャイトピ!編集部より
今年は電力不足により、一部地域の出荷に影響。そのため、ダブル11は以前ほど楽観視できないという意見が挙がっている。さらに、中国EC業界ではセールイベントの数がかなり増えてきていることもあり、消費者にとって大型イベントの希少性と新鮮さが減退していると言えるだろう。

ダブル11のGMVは、毎年メディアが最も関心を寄せる話題であり、EC各社も数字のプレッシャーに追われている。

今回各社の対策から見ても、消費者の買い物意欲を引き出すため様々な手を打っているが、果たして今回のダブル11はさらなるGMV更新となるか、チャイトピ!は引き続き最新情報をお届けします。

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