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企業トップの演説から見る中国のITトレンド 世界ネット大会

中国政府主催の世界インターネット大会が9月26日~28日に浙江省の烏鎮で行われた。最先端技術が注目された一方、中国政府によりIT業界の規制強化が行われている目下、各企業の態度や対応も注目のポイントとなった。

今大会は「デジタル文明新時代へー手を携えてサイバー空間運命共同体を構築」をテーマにし、5Gや人工知能、次世代インターネットなど、技術発展についてのサミットを実施。
オンラインとオフラインを組み合わせた形で開催され、アリババやシャオミなど、中国IT企業のトップだけでなく、テスラCEOのイーロンマスクも動画による演説を行った。

チャイトピ!は、これらスピーチのポイントをまとめ、中国IT業界の今後のトレンドに着目。

①アリババCEO張勇(ダニエル・チャン):
社会的責任を果たすため、共同富裕ESG(環境、社会、ガバナンス)を2大戦略とする。
1,000億元を共同富裕に投入する計画を進めており、今後は貧しい地区に技術駐在員を派遣し、20万人のデジタル関連人材の育成を行うことで、農村に対して技術面での支援をする予定。
ESGについては、持続可能な発展を目指し、パートナーと新しい商業形態の建設を模索する。

② アントグループCEO井賢棟:
デジタル技術発展の最終目標は、一部の企業のデジタル化ではなく、一般人に利益をもたらせることである。
開放共有はデジタル技術発展の基本精神。
デジタル発展のために安全性と個人のプライバシーを犠牲にするわけにはいかない。国の法律を守り、プライバシー保護など、技術をさらに向上すべきである。

③ シャオミCEO雷軍:
デジタル技術の格差を埋めることが重要。IT企業がデジタル経済の発展を促進する一方、さらに国や社会への責任を果たし、零細企業の発展に協力し、人々に良い生活をもたらすことが重要。

④ テスラCEOイーロン・マスク:
中国でデータセンターを設立。テスラの生産、販売、サービスに関するデータ、およびユーザーの個人情報を中国国内で管理を行う。海外に持っていくことはない。

⑤ 360のCEO周鴻禕:
IT企業は市場を独占した後、「通行料金」を取り、秩序のない拡張をやめるべき。現在のIT企業はコア技術の開発に注力し、テクノロジーの発展を促進すべきである。

チャイトピ!編集部より

企業の社会的責任、ネットサービスの開放、持続可能な発展、データの安全性は、今大会で最も触れられた話題である。今回、複数の企業トップが中国政府が掲げる「共同富裕」を支持し、零細企業の発展に協力することを表明した。

中国政府によるIT業界の規制強化が続く中、大手企業にとって、今後社会的責任などが経営戦略を練る上で避けられない部分となるだろう。



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