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中国マーケティングで知らざるを得ない「新中産」とは?

中国市場でマーケティングを行う際、「新中産(新中産階級の略称、新中間層)」という言葉がZ世代と同じようによく耳にするようになった。特に自動車やコスメ、ファッションなどの分野において、消費力が比較的高い新中間層は、ブランドのターゲット層として注目を集めている。

「新中産」とは?

従来の中間層と比べ、新中間層は中国の経済力向上に伴い、収入や消費力の高い若い世代の増加によって生まれ、マーケティング業界で普及してきた。

しかし、新中間層の正確な定義はなく、民間経済研究所の「胡润研究院」は、一線都市で家庭年収入が30万元以上、それ以外の都市では20万元以上の人を新中間層としている。資産のほか、一般の中間層よりも良好な教育、安定した生活環境が基準とされる。

また、データ会社QuestMobileによると、新中間層の特徴は25~40歳の比較的若い世代で、3線以上の都市に在住しており、オンライン消費力は1,000元以上。そしてオンライン消費意欲は中高レベルにあると発表している。

各社の定義を総合的にみると、新中間層は収入と消費力が高いだけでなく、良好な教育を受け、新しいものを受け入れやすい、比較的若い世代であると言えるだろう。

「新中産」の資産状況と消費傾向

▲2022年中国「新中産」の資産状況(出典:吴晓波频道)

新中間層は中国の経済発展と共に成長してきたが、近年は経済減速により、資産減少が懸念されている。中国の民間経済分析プラットフォーム「吴晓波频道」が発表したデータによると、2022年には中国における53%の新中間層の資産が減少し、2021年の8%から大幅に拡大するほか、資産の増加は、わずか6%だと言われている。▲2022年7月新中産が利用するECアプリの浸透率変化(出典:QuestMobile)

また、新中間層が懸念していることは「家族の健康・安全」、「失業・減給」、「国運が不透明」がトップ3位とされている。

▲新中産の今後の消費見通し(出典:吴晓波频道)

今後の消費見通しについては、43.5%の新中間層が現在の消費水準を保つとしている一方で、26.6%の新中間層は消費を減少、30%は消費を増やしていく計画である。

▲2022年7月新中産が利用するECアプリの浸透率変化(出典:QuestMobile)

また、新中間層の消費は理性的傾向にあり、特に日用品の消費はブランドが消費行動を影響する第一要素ではなくなった。現在は、コスパが最も重要視されるようになったことで、格安ECのPDD(拼多多)が新中間層に前年比8.5%増で浸透しており、他のECアプリよりも伸び幅が高い。

その他、「リップスティック・エフェクト(口紅効果)」で旅行の需要が増加し、短距離旅行やキャンプ、ロード・サイクリングなどが人気である。加えて、国産品への関心も高まり、8割の新中間層が過去の一年間よりも多くの国産品を購入している。

今後の見通し

中国政府が収入格差を是正し、中間層の人数を増やそうと共同富裕を唱え、今後は強力な政策を通して新中間層が増えていくと言われていた。しかし、ゼロコロナ政策が撤廃されてから一年が過ぎても、景気が期待されたようには回復できず、新中間層の衰退が懸念されている。

さらに、ITを含め、様々の業界ではリストラの波紋が広がり、若者の失業率が高止まりしているため、先行きの不透明さが新中間層の不安を煽り、消費を控える行動が見られる。これにより、新中間層をターゲットにしたブランドも業績悪化が広がっているような状況だ。

最も景気に影響されやすい新中間層の行方や、中国消費市場の動向について、引き続き世界が注目している中国経済の最新情報をお伝えします。


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