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CATL、バッテリースワップ事業に注力 EV業界の競争が激化

最近、世界最大手である中国車載電池メーカー「寧徳時代(CATL)」はEV
メーカー「NIO」の本部が位置する合肥にバッテリースワップステーションを設置した。サプライチェーンの上流にあるCATLがこうした下流にある事業に注力していることで、投資者らは同社がEV製造にも進出するのではないかと憶測を立てていた。

バッテリースワップ分野への進出

韓国の市場調査会社SNE Researchによると、去年1~11月ではCATLが31.8%の市場シェアで世界一を獲得した。また、たったの2年間で時価総額は2,000万元(約4億円)から一時1.6兆元(約30兆円)にまで急速に伸びていた。

6月23日には次世代の高性能車載電池「麒麟(qilin)」を発表し、技術面でも業界の先頭を走り続けた。

そんな中で、同社は今年1月にバッテリースワップ業界への進出を宣言し、傘下ブランド「EVOGO」を発表した。

▲ EVOGOバッテリースワップステーション(CATL公式サイトより)

NIOなどバッテリーを丸ごと交換する競合と違って、同社はバッテリースワップ向けに組み合わせ可能な車載電池「巧克力换电块(チョコレート・交換式バッテリー)」を開発した。利用者はバッテリー残量と自身の需要に合わせて、必要なバッテリーの数を選ぶことができる。同社のバッテリースワップステーションにて約1分で交換することが可能だ。

▲ EVOGO用車載電池(CATL公式サイトより)

4月にCATLはアモイを最初の都市としてステーションを設置し、6月には合肥へと範囲を拡大していった。同社は今後2~3年で同事業を世界最大規模にまで成長させることを目指している。

EV業界の競争激化

CATLがバッテリースワップ事業に着手した理由としては、NIOやBYD(比亚迪)などのEVメーカーが車載電池分野に進出したことへの牽引だと思われる。

NIOは2019年から車載電池の開発計画を進めてきており、今年3月には新たな特許を出願した。また、上海で車載電池の研究開発プロジェクトを計画しており、約2.2億元(約45億円)の資金を投入する予定だ。

ガソリン車事業を切り捨て、EV企業に転身したBYDも勢力を伸ばしている。中国でEV販売台数トップを誇る同社は、自社開発した「ブレードバッテリー」のシェア拡大にも着手している。最近では競合であるテスラに車載電池を提供する予定だと明らかにしたことで話題を呼んだ。

競争が激化する中で、CATLはバッテリースワップ事業に足を踏み入れ、専用のバッテリーを打ち出すことでシェアの低下を防ごうとしているかもしれない。

一方で、事業拡大においてサービス運営の経験に乏しいことがネックとなる可能性もある。

CATLのバッテリースワップ事業がどのように発展していくか、引き続き注目していきたい。

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