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猫屋のプロット作成法

 Twitterなんかを見ていると、わりとプロットの作り方に悩んでいる方がいるので、そういった人に役立てていただければと、私なりの方法と、それを使った実際のプロットをお見せしようと思います。

 あくまでひとつの方法ですし、珍しくもないのですが、私はこれでわりと文字数のコントロールができるようになったので、

・狙った文字数内に届かせてor収めて作品を書き切りたい
・迷子にならずに最後まで書き切りたい
・脱線させずに書き切りたい

といった方に特におすすめできるのではないかと思います。

今回は私がウェブで公開している「『きみは強いからひとりでも平気だろう』と言われた令嬢、本当に強かったのでモンスターを倒して生きています」を使用して説明していきます。

作業行程は大きく分けてふたつ。

まずひとつめは
起承転結で物語のざっくりした筋を作ります。

「きみ強令嬢」の場合は

【起】イリメル、「きみは強いからひとりでも平気だろう」と婚約破棄されて、半ばヤケになり己の強さを試すためにモンスターを倒しに。わりと強いことを自覚するが、強いモンスターに襲われたところを冒険者ディータに救われる。なりゆきで、彼とギルドへ行くことへ。

【承】世間知らずなため、モンスターを倒せばお金になることを知らなかったイリメルは、ディータと簡易パーティを組み、共に冒険をしていくことに。小ドラゴンを拾って一緒に育てたり、ゴブリンに捕まったドMを拾ったり。

【転】冒険を続けていくと、世界に異変が起きていることを感じ取る。ディータに何やら訳ありなのも、小ドラゴンの様子がおかしいこともわかってくる。ドM、ご主人様と再会するし、ご主人様はイリメルの知り合いだと判明。

【結】世界の異変は邪竜の復活の兆しとわかる。世間から総スカンを食らったイリメルの元婚約者と略奪した令嬢は、罰として邪竜の生贄にされることに。彼らが後の世に英雄として語り継がれるのが我慢ならなかったイリメル、自分で邪竜を倒すことに。ディータたち仲間と立派なドラゴンに育った小ドラゴンと共に邪竜に立ち向かい、無事に討伐。その後、イリメルとディータはくっつく。

こんな感じで雑な起承転結を作ったら、次からがプロット作成作業の大事なところです。

次は                 トータル何文字書くか想定して、場面を区切っていきます。

たとえば、「きみ強令嬢」の場合は10万文字を想定、そしてウェブ連載なので1話あたりの文字数は少なめの3000字と考えました。1話3000字で10万文字くらいにするには、ざっと考えて30話くらい必要という計算になるので、一言でも短くてもいいので、先ほど作った起承転結プロットを30話に分けて細かく書いていきます!

面倒くさいですが、これをやるとすごくあとが楽になるので!途中で執筆を中断しても(仕事が忙しくなるとか体調悪くなるとかね)この作業さえしておけば執筆再開しやすいので!ぜひ!

↓以下、実際のプロット↓

【起】イリメルの置かれた状況とディータとの出会い

1、イリメルの婚約破棄と現在→絶体絶命のピンチ
2、ディータ登場→服破れてる
3、冒険者の賃金とギルド→ギルド登録拒否
4、ディータのとりなしによりギルド加入→難しい試験
5、試験は火吹き鳥の卵の採取。火吹き鳥を殺さず卵をゲットする、つまり動きを魔法で止める必要があり難易度高い。だが、イリメルはやってのける。無事に合格し、ギルドに加入。だが、登録料取られる。

6、登録料はディータが肩代わりしてくれたため、彼と一緒に冒険することに。「今後は俺がイリメルのお師匠さんってことで」と。地道にお金を稼いでいこうとする中、二人パーティーだとなかなかいい仕事がない。→怪しげな鳴き声を突き止めにいく仕事
7、ディータはいつもソロでも受注OKな仕事が発生するまでのんびりしているのだという。で、怪しげな鳴き声を突き止めにいく仕事は相手の正体が見えないぶんリスクもあるため、ソロや実力不明のパーティーでもふってもらえる仕事。装備を整え現地に向かう。最寄りのスポットまではギルドの設備で飛ばしてもらえる。→道中、小物を狩ったり草を取ったり(精算アイテム)→やばい声がする洞穴発見、イリメルのお腹が鳴った→やばい声、お腹の音に似てない?となり、洞穴の中にいるのは腹を空かせたモンスターなのでは?とヤバさが倍増
8、ディータ、何を思ったのか野営をして肉を焼き始める。匂いにつられて出てきたところを倒すなり正体を確かめるのでいいのでは?という作戦。おいしそうな匂いがしているのに臨戦態勢という厳しい状態の中、ポテポテ出てきたのは真っ白な小龍だった(イリメルたちにはずんぐりむっくりの小トカゲにしか見えてない)
吠えながら肉を欲しがる姿にイリメル胸キュン、引っかかれながらもその生き物をなだめ、肉を食べさせる
9、懐いてしまったため、とりあえずギルドに連れて帰る。クエストは成功したものの、得体の知れない生き物は引き取れないとのことで、対処を二人で相談。売るのも可哀想だということで、世話することに。ペットを連れて泊まれる宿に行く。目まぐるしく始まった生活、ディータにお世話になりっぱなしだなと感じるが、彼は「イリメルがそいつに感じてる気持ちを、俺もきみに感じてるだけ」と言われる。小龍はスイーラ(ラテン語で豚肉)と名付けられる。※ディータに教養あるフラグ
10、細々と採取クエストをこなしながら日銭を稼いでいたが、道中モンスターに襲われることが多いことに気づいていた。なんかみんな荒れてるね…と流すが、フラグ。イリメルの装備のメンテを細かくやらなきゃいけない問題が発生。装備屋がいうには、魔力をチャージしとく系の値の張る装備じゃなきゃ無理かも…となる。ディータはそのとき、店の中のとある装備を見てる。そのことをイリメルに問われるも、はぐらかす(本当は魔法剣を買ってあげたいけど、プロポーズみたいで重いな…と悩んでる)
11、食費もかかるし装備のためにお金を貯めたいから、少し厄介なキノコの採取クエストに行くことに。雷の日だけおとなしいという凶暴なキノコ、だがゴブリンが守っているため手出しできない。しかし、ゴブリンはキノコに怯え集落に引き篭もっている。だから雷魔法で弱体化。討伐したことでゴブリンたちの信頼を勝ち得る。感謝の印にもてなしを受け、〝イス〟をあげると言われる。そのイスがあきらかにおかしい
12、イス、「さあ、早く座ってごらんよ」と促してくるマゾ。ドン引きのイリメル。「え?おかしなもの押し付けようとしてないですか?」と事情を聞く。ゴブリンたち曰く、罠にかかっていたが人間だから食べられない。追い出そうとぶったところで喜ぶだけで手を焼いていた、とのこと。ディータは悩むが、おいしいご馳走のお礼にマゾを引き取ることに。スイーラのいい歯固めになる、という言い訳。
13、一緒にギルドに帰ってみると、マゾがかなり優秀なソーサラーであることが判明。だが、記憶喪失になっているため、処遇が難しい。ペット枠増える、ディータ頭を抱える

【承】討伐と冒険、はぐれマゾと小ドラゴンとの出会い

15、スイーラの秘密
アヒムの提案で魔石がとれる鉱山ダンジョンへ。(というのも、スイーラがアヒムの脚をかじるのは装備に蓄積された魔力を欲しているから)後衛を信じて戦ってみろとアヒムに言われ、イリメルは前衛でバンバン殴る。ディータのサポートではなく、ふたり並んで戦えることに気づき、これがやりたかったのだと爽快感。魔石獣を倒してたくさんの魔石ゲット。スイーラ、それを食べて成長。
魔石がスイーラの栄養になることがわかったが、理由はそれだけではなかった。
16、ご主人様との再会
アヒムのご主人様との再会のため、教会へ向かうことになる。そういえば、もう何ヶ月も教会へ行っていないなと思い出す。アヒム、魔石を集めた理由はご主人様に許してもらいたかったから。「彼女が大事に集めていた魔石を、破壊してしまったんですよ…怒られたくて」との呆れた理由。そして、詫びを入れるために集めたのかと思いきや、教会付近で花火のように打ち上げ始める。すると、怒髪天を衝く勢いでひとりの女性が飛んでくる。ライダーキック、喜ぶアヒム
17、ミアの事情
再会のアヒムとミア。そしてミアこそがイリメルの恩人だった。再会を喜び合い、ミアに事情を聞く。
ミアはもともと没落令嬢で、お家再興のために遠縁の親戚に突き回されていた。「私をどこぞの金持ち爺と結婚させて金をゲットて企んでたみたい。アヒムに言ったら、暴れるから、ひとりで片付けてきた」暴れるなんて信じられないとイリメルたちが思うと、「こいつ、前にいたパーティーを抜けたの、仲間たちをぶっとばしたから」と。
そういえば王都に行ったときイリメルについての情報も持って帰ってきてたんだと話始めようとしたミアを慌てて止める
18、忘れていたもの
ミアとふたりきりになり、イリメルは自分が身分や出自をディータに隠していることを語る。理由を聞かれ、「侯爵令嬢ではなく、ただのイリメルで生きてみたかったの」と答えるとミアも同意する。そしてミアは、王都で見聞きしたエーリクとレーナについての情報を教えてくれる。
二人は婚約破棄&略奪愛ということで世間から嫌われ、おまけにのちのレーナの傍若無人な振る舞いにより評判を下げ続けているのだという。そのため、イリメルと和解することで評判を取り戻したいと考え、連れ戻そうとしているらしい。それと同じ動きなのか、イリメルの実家も探しているそうだ。
あの夜会の日に感じた屈辱を思い出し、イリメルは苦しくなる。家族の狙いがわからないから接触はしたくないけど、手紙を出そうということに。ミアが届けてくれる。
今後の人生どうするの?と聞かれ、ディータのことが頭に浮かぶ。
19、ディータside
残されたアヒムとディータ、話弾まない。アヒムはすくすく育つスイーラを見て、「彼は立派な竜に育つでしょうね」と言う。それを聞いてディータは怒る。「どうして竜を忌むのです?邪竜ばかりではないんですよ。それに今時、邪竜であっても普通の人ならそんなに嫌わないんですよ」と言われ、ディータは嫌な気持ちに。「そういえば、かつて邪竜によって滅ぼされた国がありましたね。小さくても豊かで平和な国。多くの人が死に、残りも散り散りになった。王家の人間もごくわずかに命からがら逃げ延びたという噂ですが、今はどこで何をしているのか」「さあな。国がなくなれば、逃げ延びた先で何とか生きてくしかないだろ。当時のことを覚えている人間も、もういないだろうし」
「その国には、伝説があるそうですね。聖女を得た英雄は、どんな敵をも打ち倒すことができる、と。イリメルさんはさながら、ディータさんの聖女」
気まずい空気が流れる中、アヒム「すみません。ディータさんの髪色がこの国ではお見かけしないものだったので、もしかして亡国の民かと思ったのです」と言う。「俺はしがない冒険者だ」「そういえば、かの亡びた国では代々王位を継ぐ者には共通の愛称があったそうですね。〝ディディ〟もしくは〝ディータ〟という。ディートリヒのもじりでしょう」「アヒムは物知りなんだな」で会話は終わる。やっぱり、こいつは仲間に加えるべきではなかったのかもしれない。イリメルとの日々が、ずっと続けばよかったのに。
20、久しぶりの帰省
ミアに「これっきりになるか、それとも今後も仲良くしていけるかわかんないけど、気になるなら一回家には顔を出しておけば?」と言われ、帰省を決意。話してどうかなるとは限らないから、ディータに自分の身分を明かす。ディータは特に驚かず「何となくわかってた」とのこと。
王都付近の宿をとり、そこにみんな待機していてもらう。ひとりで行こうとするが、ディータが「誰かついてこなくていいのか?俺は、イリメルが自分の意志を貫く手伝いがしてやりたいと思ってずっとそばにいる。誰かが〝仕方がない〟って言葉で不自由を強いられたり、何かを奪われたりするのは、嫌だなって思うんだ」というので、ついてきてもらう。いざとなれば、一緒に逃げてもらうために。
イリメルの家につくと、ディータは完璧に振る舞う。「イリメル嬢の護衛をしていた」という彼の言を家族は信じる。家族はエーリクより先にイリメルを保護したかったから探していた、とのこと。それを聞いてほっとする。父は、イリメルは婚約破棄のショックと恥ずかしさで出奔していたと思っているため、もう安心して帰ってきていいと言う。
21、イリメルの決意
強さを証明するために家を出たイリメルだが、自棄になっていたのも確かだった。冷静になって、どうするべきだろうと考え、まだ戦いたいと思う。それを伝えるが、エーリクの言葉に縛られるな、自分を不幸にした男の言葉を呪いにしてはいけない、と父に言われ、少し悩む。だが、ディータが「イリメル嬢は己の強さを誇っていい。思うままに生きる、その支えは俺が引き受けます」と言ってくれる。イリメルは家族に頭を下げ、まだ冒険を続けることを宣言。
すると兄が、「それなら、イリメルに領地の様子を見てきてもらうのはどうだろう?領民がモンスターに悩まされているんだ」と言う。

【転】マゾとご主人様再会、魔物の異変の噂

22、世界の異変
兄が言うには、少し前から領地にこれまでは現れなかったモンスターが現れたり、無害だったモンスターに襲われたりという事件が起きているのだという。ギルドに依頼はしても、根本解決には至っていない。しかも、人が暮らしているところへの討伐は責任問題なども発生するため、あまりいい顔はされないのだという。そこで、もともと環境調査などをしている教会に頼んでいたのだという。
教会はずっと神の遣いである聖なる竜の生まれ変わりを待ちわび、探している。五十年前も聖なる竜さえ生まれていればとある国は滅びなかったと考えられているらしい。その調査の一環で環境を調べている教会が、ずっと世界の異変を訴えているのだという。
話を聞き、アヒムたちと合流し、イリメルたちは実家の馬車で領地へ向かう。
木こりを襲う巨大蜂の群れを討伐し、農作物を荒らすイノシシを倒し、他にもいろいろ退治するが、確かにこれでは埒が明かない。何か根本の理由を叩かないとだめだということで、一度帰宅。

23、恐怖と神託
イリメルの実家へ帰ると、何だか騒々しいことになっていた。理由を聞くと、教会から邪竜の出現が発表されたらしい。そして、その生贄にエーリクとレーナが捧げられることになったと神託がくだったのだという。だから今生の別れと謝罪にきたらしい。
消沈する二人を見て気の毒に思ったイリメルだったが、話を聞くと二人がちっとも反省しておらず、死にゆく自身たちに酔いしれていることがわかった。あくまで二人は真実の愛に生き、人々に認められることなく苦しんだが、神が最後に許されるチャンスをくださったのだとレーナは信じているらしい。「私たちの命は尽きますが英雄と聖女として後世の人の記憶に刻まれるのなら本望です」と言い放つレーナにイリメルは怒りを堪えて「どうぞお元気で」と淑女の挨拶。
その後、悩み抜いた末に「私、邪竜を倒したいです」と宣言

24、決意と変身
「生贄を捧げた程度で、邪竜はどうにかなるのですか?数年抑えられる程度でしょう?それなら、領民たちのため、この国の人々のために根本の原因である邪竜を滅ぼすべきでしょう」と言う。イリメルの怒りにディータもアヒムもついてこられないが、ミアが「実はさっきの二人は、この子の元婚約者とそれを略奪した女なの」と解説。それを聞いたディータは少しショックを受けた顔で「やはりまだ婚約者のことが…」と尋ねようとするが、イリメルが「誰が英雄と聖女なんかにしてやるものですか!」と一生汚名を返上できないまま生きればいい!と怒りを炸裂。それを聞いたアヒムは大爆笑。「最高。そういう理由なら、僕はイリメルさんの話に乗らせてもらうよ。いやー、素直に感情爆発させる人、大好き」「じゃああたしも乗る。あいつらが邪竜のところへ到着する前にさっさとぶっ倒してやりましょ。そんで邪竜の死体引きずって王都へ凱旋パレードよ。ついでに用無しになった生贄二人も市中引き回しね」
ディータ、その会話を聞いて戸惑う顔。アヒム「ディータさんにとっても、都合がいい話でしょう?歴代ディートリヒたちの悲願が、ここで叶うのだから」、「俺は…こんな俺の都合がいいように進んでいいのか…?」
彼が何を言おうとしているのか聞こうとしていると、イリメルの体が光りだす。スイーラ、吠える。

25、白き竜の背に乗って
アヒム「あー、イリメルさんは怒りで魔力を垂れ流しちゃってるんですね。魔力チャージする系の装備にしてないでしょ。そして、スイーラくんはイリメルさんの魔力を吸って…」ボン、とスイーラ大きくなる。その姿は、竜そのもの。それを見て、アヒムが解説する。
「かつてある国に、こんな伝説がありました。『世の中が乱れるとき、聖なる竜と聖女が現れる。聖女、英雄を伴い、乱れのもとを断つべく、聖なる竜の背に乗る。そうすれば、どんな敵をも打ち倒すことができる』という。本当はもっとかっちょいい文言ですが、現代語に訳すとこんな感じ」ミア「それってつまり、イリメルが聖女でスイーラは聖なる竜ってこと?」と盛り上がり、出発することに。
イリメルの家族たちも「うちの娘が聖女!ざまぁみろ、クソッタレ公爵家め!うちが正義だ!」と本音爆発。

【結】浮気者二人に邪竜生贄の神託、イリメルとディータが討伐、身分の差を乗り越え結ばれる

26、家を出る前、家族の者にあるものの手配を頼んだイリメル。父、必ず届けさせると約束。
邪竜が住まうのはイリメル家の領地をさらに進んだ山。目覚めの兆候があるだけあって、禍々しい。領地屋敷で一泊して体を休めようということになるのだが、夜にディータの様子がおかしい。
「誰か他の人がきみの願いを叶えると言ったら?それでも、危険を冒す?」と尋ねられ、イリメルは「どこまでできるかわかりません。でも、やるだけやってみたいです。どうやら、伝説の聖女?とやらになったみたいですし」と答えると「選ばれたものは、生き方まで強制されるのだろうか…」と言うから「少なくとも他の人にできないのなら、その人がやるべきなんでしょうね。でも、仕方なくとかではなく、やらなければと思う心も含めて選ばれたと思いたいので」とイリメルは言う。それを聞いて思い詰めた顔。
翌朝、ディータはいなくなっていた。

27、ディータの過去と決意
幼いときから自分は、世が世なら人の上に立つべきやんごとない身分だと教えられていた。小さな村に暮らしながら、傅くもの傅かれるものに別れて暮らしている、さながら偽りの王国のように。来たるべきときが来れば王国を取り戻せるといいながら何も具体的なことをしない親や周りの人にうんざりしていた。貧しく、誇りだけ高く、そのちぐはぐさに幼いときから疑問と嫌気を感じていた。
十代に入り、一念発起して村を出ると伝えると誰もが喜び、「やはりお前は他の者とは違う。必ず悪しきものを倒し、我々に栄光を取り戻してくれるだろう」と〝王〟である父に言われ、うんざり。
その後は強くなるのが楽しくて、森で剣の修行に明け暮れた。だが、運悪く強敵と当たったときに師匠と出会い、世話をしてもらいながら流れ流れて冒険者をしていた。師匠自身も流れ者だったため長く一緒にいたわけではないが、基本的なことはすべて彼が教えてくれた。
その後、目的などなく生きていた。ただ、村にいる頃より生きているという感覚だった。
そしてイリメルと出会って、最初はただ心配で面倒見ていた。そのうち彼女こそが自分の〝聖女〟なのではないかと思い始めて、嫌になった。
そしてこれは自分こそがすべきことなのだと感じたのだ。でも、もしかしたら死に場所探しに来ただけなのかもしれないと、邪竜の棲家を前にして怖気づく。そこへスイーラに乗ったイリメルたち登場。

28、おまたせしました
「遅くなってごめんなさい」とイリメル登場。本当は聞きたいことも言いたいこともあったけれど、何も言わず、ただ剣を差し出す。それは実家に頼んで急いで手配して運ばせたもので、ある日ディータが見つめていた魔法剣だった。「どうしてこれを?」「前にディータさんがじっと見てたので、ほしいのかなって。いつか恩返しとしてこの剣をプレゼントしたかったのだ、するとしたら今しかないかなって」
ディータ、悩んだ末に「ありがとう」と受け取り、何かを決意した顔。
全員でスイーラの背に乗り、邪竜の棲家へ。禍々しい雰囲気のそこはモンスターが跋扈しているため、ミアとアヒムが露払いをしてくれる。切り開いてもらった道を進み、スイーラに乗って飛ぶ。
邪竜と激闘。地上戦は無理。スイーラが噛みつき、その隙に魔法剣にイリメルが魔力チャージ、ディータと一緒に大技で仕留める。
邪竜の体は霧散。それと同時に、スイーラの体にも異変が。

29、終結
スイーラ、また小さくなっておねむ。だっこして連れ帰る。
合流して帰る。あとはエーリクのこととか顛末。
ディータ、イリメルに告白。イリメルも、まだ一緒にいたいと伝える。魔法剣は二人で使うものだったから、買うとプロポーズみたいな圧をかけるのではないかと気にしていたと言われ、「じゃあ、私がディータさんにプロポーズしたことになりますね」


…長かったですが、いかがだったでしょうか。少しでも参考になったのなら嬉しいです。

ちなみに、これだけ丁寧に書いてますが、実際はラスト付近でキャラクターたちが好きに動いているので、そのへんは手綱を取りつつ好きにさせました。

あくまでプロットは作者とキャラたちが物語を最後まで走り切るためのロードマップなのであまり縛られすぎなくても大丈夫です。

それでは、素敵な創作ライフを!


サポートしていただけたら、何か美味しいものを飲んで執筆頑張ります。