ふゆくさの

寒さをも恃みにしたき夕なればあかぎれの手を握りしめ行く

人はあれど人間の無きくるしさを如何に伝えんあの柔き目に

リセットを押せど剥がれぬ記憶にて言葉を解さぬものになりたし

後先もなく逃げ出せるあの部屋の蛍光灯の頸の白さよ

ふゆくさの青かなしみて土のうえ私にもまだ陽は当たるらし



だれのこともうらまないただあのばしょでこころがかたくなるのがこわい

#短歌

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