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悪口の作法 -24食目

人の悪口聞くのは結構好きです。ただし、マナーは大事。

まず、共感を求めないこと。これ最低限。あなたの嫌いと私の嫌いには関連性がないこと、嫌いに関して「勝手な同化」をしないこと、具体的には疑問形で終えないこと。「最低じゃない?」「カスじゃない?」「ブスじゃない?」問うな、問うなかれ。少しましなのは、語りかけ。「最低だよね」「カスやんな」「ブスよね」いやしかし語りかけるな、それは首を縦にふる動作を強要する。体現止めこそが最も美しい。「最低」「カス」「ブス」こちらの反応を一切加味しない、期待しない物言いこそ美しい。

二つ。「あ、俺は嫌いじゃないんだけどね」を差し挟む隙をつくること。できれば序盤。悪口を聞くのは概ね楽しいが、悪口対象が知り合いとなるとそれなりに複雑。強い思い入れはないものの別に嫌いではない知人、ぐらいの人の悪口を聞く場合、一応こちらのスタンスは伝えた上で聞いておきたい。俺とお前、違う立場ではあるけど、お前の話、聞いたるよ。という距離感を保っておきたい。これもまた共感と同じく「勝手な同化」を防ぐための作法である。序盤が望ましいのは、一通り聞き終わった後の余韻で「あ、俺は嫌いじゃないんだけどね」を差し挟むのはなかなか気まずいからである。「え、お前、そっち側だったの」と裏切り者のような扱いをされたくはない。願わくば、悪口先の名前を口にしたときのこちらの表情から好悪を読み取ってほしいものだ。

三つ。きちんと陰で言うこと。お天道様の下で言うことではない。

久しぶりに分かりやすーい「人の悪口」を聞く機会があり、色々考えました。某お教室にて。

さめガール:借金まみれの父親に苦労させられ生きてきた。結婚したけど大変なモラハラ夫でこれまた大変な目に遭い離婚。自由になったことをきっかけに淡々と働きつつ夢を追うぞ!基本スタンスはとても明るい40前後女性。

いるかボーイ:芸能一家に生まれ自分も役者などをしつつ、趣味に絡んだお仕事を自由に転々とフリーランス。趣味で繋がった結構年下の妻さんあり。明るくフレンドリーな40代後半?男性。

「縛られた会社員は肌に合わなくて……」と語るいるかボーイに、「甘えてんじゃねえ年下の妻がいるんだから真面目に働け、いい年して」「こっちはこんなに苦労してるのに!」とキレるさめガール。というよくある構図。私はいるかボーイさん好きだし、会社員合わない人がいるのはよく分かるし、なんなら私も若干その気ありだし、年下の妻さんは自由人ないるかボーイを愛しているのではと思うし、いるかボーイがふわっとしていることとさめガールさんの波乱万丈には何ら関連性が無いよね、と思いながら聞いていた。でも概ね面白かったのでそれなりに楽しんだんだけど。

あんまり私は悪口言いたくないんだけど、それは私がいい人だからじゃない。悪口聞きながら私が考えることは、悪口言う人に対するかなり冷淡な分析。ああこの人はこういう背景でこういう考え方でここを受け入れる器がないんだな……みたいなことを考えていて、これ、人にされるの嫌だわぁと思うから、あんまり言わない。要は自分が可愛い。逆に悪口普通に言いふらす人って意外と「自分が可愛く」ないのかな。そこの防衛意識が希薄なのもある意味明るいことかも知れず、多少羨ましいことなのかも知れない?そうでもないか?

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