人から言われた衝撃的な一言 #151

何でこんなに可愛くない子がモテるんだろう?と思って

あられちゃん(15)

あれは高校に入学した初日。入学、といっても私の高校は中学からの内部進学が7~8割だったので、多少の新鮮味が足されたクラス替えみたいなもの。中学時代に仲の良かったクラスメイトはほとんど別クラス、何だかんだで5年間の腐れ縁になりそうな男子はあいつねそうですか、とさして感慨もなくふんふんと座って見知りのメンバーを眺めていた気がします。

そこへ私の席にちょこまかっ!とやってきたのが、中学では別クラスだったあられちゃん(仮名)。あられちゃんは中学時代、私のクラスのハンサム男子に恋い焦がれていたので、しょっちゅう私のクラスに焼いてきた手作りお菓子を持ってきていました。あられちゃんはあられちゃんで、彼にだけ渡すのはちょっとストレートすぎるので、周りにもお菓子を配ってくれる。「良かったら食べてー!」私は全力の食い意地を発揮してそのカモフラージュに協力する!(食べたいだけ!)「おいしいおいしい!また持ってきて!」と叫ぶ。恋する女子ねえ、お菓子をありがとうねえ。そんな関係性でございました。

話を高校初日に戻します。そんなかわいいかわいい小動物のような恋するあられちゃんが、ちょこんと私の机の前にしゃがんで言うのです、「チャーハンちゃんと同じにクラスになれて、嬉しい!」くりくりのおめめで私を見上げるあられちゃん。人からそんな真っ直ぐに好意を伝えられることに慣れない私は、狼狽して「お、おう」みたいな返ししかできず。でも何故だか目をハートにしたあられちゃんは続けます。「チャーハンちゃんのことダンス部の公演でいつも見て憧れてたの!ずっと友達になりたいと思ってて、だからほんとに、とっても嬉しい!」そんなこと言われたら誰だって嬉しいよね。わあありがとう、嬉しい、と呟きながら続きを聞きます。

「最初はね!」中学も3年間ありますから、なるほど私を知った経緯と認識の変化もありましょう。特にあられちゃんは小学校からの内部組だから、それこそ中学から入ってきた子達のことは転校生みたいに見ていたはず。「最初はね、何かすごいモテてる子がいるって聞いて」うん?うん。「何でこんなに可愛くない子がモテるんだろう!?って思ってたんだけど!」

……ん?今なんつった?

すいません、この先はマジで一言も覚えていないです。おそらく、流れ的に、ほぼ間違いなく、そこからどう認識が変化し私に好意を持つに至ったかが語られていたのだと思いますが……今、なんつった?

この可愛い可愛いあられちゃんのとんでもない悪意のなさがとにかく凄くて。補足しておくと、本当に彼女は嫌味を言いに来たわけではなく、ただただ真っ直ぐに私と同じクラスになれていかに嬉しいか、を語りに来ただけだということは確実で、その後のクラス活動を通してちゃんと仲良くなりましたのよ。でも、その一言は忘れられないでしょ!その流れでその一文が来るのは衝撃なのよ。何かもう、怒りとか通り越してびっくりすることしかできなかったよね。思い返すとかなりオモロイ記憶なので、気に入ってはいます。

そんなこんなで、今からちょうど1ヶ月後、恋に恋を重ねてぐるぐるしていたあられちゃんの記念すべき結婚式に参列してきます!花嫁キラキラの全力かわいいあられちゃんを見てくるぜ!楽しみだ!



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