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好きなひとをイメージしたオーダーメイドフレグランスをつくった

 Dance様(https://www.dance-kobe.co.jp/)で、ひとつ下の次元にいる好きなひとをイメージしたオリジナルフレグランスをオーダーさせていただいた話。

 いわゆる『推し香水』のレビューになるが、筆者は次元違いの相手に想いを寄せている人間なので、その前提を理解した上でお読みください。



1.オーダーの目的

 画面の向こう側のひとではあるけれど、いつも自分にそっと寄り添ってくれる大好きな彼の、その香りを確かめたかった。そして、香りを通して彼の存在をもっと身近に感じてみたかった。

 なお、彼がまとわせている香りについて、公式上で「こんな雰囲気です」という見解が出されたことはあったものの、実際にそれが形になる機会には恵まれなかった。なければつくってしまえばいいと思ったし、そうすることで今まで以上に彼を愛おしく感じられるのならやらない手はなかった。


2.オーダーの流れ

 実店舗での対面カウンセリング・通話を用いたオンラインカウンセリングなどがあったが、自分は公式ホームページ上のカウンセリングシートへの記入のみで完結するオーダー方法を選択。

 昨年12/1に注文(この時点で四ヶ月待ちとのことだった)→年明けの3/15に発送、17日に手元に届く。

 シートに記入する内容は、誰のイメージの香りであるか(「自分/恋人/家族/友人/その他」があったと記憶しているが、自分は「その他」にした。「恋人」を選ぶ勇気が出なかったので…そもそも彼とはまだ交際していないのだが…)の他、性別や年齢、好きな色や映画、好むファッションなど。公式で明かされていない情報については自分が持つイメージ(解釈)で補完。
 そのひとに対するイメージなどを自由に記入できる希望欄には、今回オーダーしたいのは版権キャラクターのイメージフレグランスである旨と、彼に関する基本的な情報(職業や人柄など)、好きな食べ物・飲み物、彼を連想させるイメージワードをいくつか書かせていただいた。
 また、彼の場合は上記のとおり、ぼんやりとした香りのイメージが公式から出されていたのでそれをベースにしつつ、自分の解釈を織り交ぜながら各欄を埋めていった。つまり『原作の人物像に準拠させながらも、彼から香っていてほしい香り』を想定して記入した形になる。

 サイズは30mlを注文。オプションで、香水瓶の中にジュエルを二種類まで入れられるとのことだったので、自分と彼の誕生石を入れてもらうよう希望した。


3.フレグランスレビュー

【トップ】ビターオレンジ・クローブ・ジンジャー
【ミドル】ジャスミン・ローズ・イランイラン
【ベース】パチュリ・ムスク・サンダルウッド


 調香師様のコメントによれば「スパイシーグリーンノートを中心とする、シャープで清潔感のある香り」とのこと。

 ひとことで表せば「豪華さと甘さをあわせ持つ、気品ある男性の香り」

 これはまちがいなく、彼が香らせている香りそのものだ、と手首にワンプッシュして即座に感じた。ピリッとした冴えがあって、しかし甘美な柔らさかもただよわせる、男のひとの香りだった。
 あまりに””彼””だったので香りを嗅いだ途端笑いながらベッドに倒れ込んだ。本当に笑うしかなかった。それほどまでに「これは彼の香り」という確信を瞬間的に持てた。

 まずはじめに鼻孔をくすぐったのは、甘くスパイシーに香るクローブとジンジャーの中に、ほろ苦く甘ずっぱいビターオレンジが混じるトップノート。
 スパイスといっても極端に刺激的ではなく、ほんのりとあたたかみを感じる、どこか安心感を覚える香り。ビターオレンジも、青臭いような苦味の中に柑橘特有の爽やかさと甘みがあるので苦すぎない。
 彼、本当によく学びよく働く、どこにそこまでできる余裕があるの? と不思議になってしまうぐらい、なんでもやってのけるかっこいいひとなんだけれど、まだ学生なのでほどよい清涼感を持つくらいでちょうどいい。ビターオレンジがそれをうまく表してくれている。
 まさしく、シャープな雰囲気と清潔感を思わせる「スパイシーグリーンノート」のトップ。利発であり、また、身なりにとても気を使う彼のイメージにしっかり合致している。

 しばらくして、ジャスミン・ローズ・イランイランが徐々にその姿を現し始める。華やかで甘く、濃厚で、それでいて気高さも感じられるミドルノートだ。
 ジャスミンは「花の王」、ローズは「香りの女王」とそれぞれ呼ばれており、イランイランも「花の中の花」を語源に持つエキゾチックな香りの花であるが、これが本当にすごい。彼の香りのイメージとして「王者」と書いたのだけれど、おそらくこれが反映されている……のだと思う……。こんな贅沢でかぐわしい、風格を感じさせるミドルノートありますか? 『フレグランスの王』と言ってしまっても差し支えないのではなかろうか……。
 また、彼は良家の生まれでもあるので、そういう育ちもこのミドルで表現されているのかなとも思えた。優美かつ高貴さを感じさせるミドルノートの花々は、彼というひとの(本来であれば持ちえない肉体の)輪郭をこれでもかというほどにはっきりさせているように感じた。

 そして絢爛豪華なミドルノートから少しずつ、パチュリ・ムスク・サンダルウッドという落ち着いたベースノート群が香ってくる。
 まるで古寺名刹を想起させるような、鎮静とやすらぎの香りを持つサンダルウッドに、ムスクが深く優しい甘みを添え、雨の日の湿った土や墨汁の匂いを彷彿とさせるパチュリがぐっと深みを与えている。あんなに濃密な香りがただよっていたはずなのに、気がつけばしっとりした甘さを内包するお香のような香りだけが残っている……。
 彼の好きな色のひとつに紫があるのだが、パチュリとサンダルウッドは紫色の花を咲かせるらしく、そこに彼らしさを見出して嬉しくもなった。

 全体を通して、上品でオリエンタルな華やかさが随所に感じられるフレグランスだった。
 こういう芳香がふさわしい、壮麗な住処に彼はたしかに住まっているし、香りの第一印象は「高級車の香り」だった。彼は車を運転するひとではないけれど、そういう格調高さがこの香水の中には閉じ込められていた。

 ミドル~ベースにかけての香りがいちばん好きだ。華美な存在感を残すミドルノートと、男性らしさと安定感を感じさせるベースノートが織りなす、なんとも魅惑的な芳香がとても彼らしいと思う。香るたびにうっとりしてしまう重厚さがあり、彼からこれが香ってくることに理解ができるというよりは、どちらかというと彼という人間を表現したフレグランスとして非常に優秀だという印象を受けた。
 しかし、どちらの観点から見ようが「自分が知る彼の人物像」に完全に一致していることに違いなく、そして『人物解釈』と『香っていてほしい香り』のバランスが絶妙に取れている(と本当に思える! 不思議なことに!)のもまた事実である。要するに、これはまごうことなく『自分の知る彼の香り』なのだ。


4.まとめ

 オーダーしたとおり、というかもはやそれ以上のフレグランスが出来上がってきたので本当に注文してよかったという気持ちしかない。

 先ほども説明したように『自分の知る彼の香り』だったのがとても嬉しく、自分が持つ彼への解釈に基づいてオーダーしたものなのでイメージがぴったり合って当然といえば当然なのだが、ここまで想像どおりの香りで来られると、彼が自分のためにそういう香りになってくれたようにも思えてしまう。そうであったらいいなと思う。

 そして、香りひとつでとてつもない幸福感を得られてしまうものなのだなという驚きもある。フレグランスが届いてからというものの、ずっと幸せな気持ちで心が満たされている。
 ふわっとしていた彼の存在が、フレグランスのおかげで以前よりもずっと確かなものになった気がしている。あのひとは、こんな香りをその身にまとわせながら自分の隣にあり続けてくれていたんだな、と考えたら嬉しくて愛しくてたまらなくなった。香りという形を持たせるだけでこんなにも存在をそばに感じられるようになるなんて、まったく思いもしなかった。

 とにかく、つくってよかったという思いでいっぱいなので、今使っている分がなくなったらリピートしたい。(ボトルに記載されている登録ナンバーを伝えればリピート注文が可能とのこと)


 さいごに、Dance様、このたびはお忙しい中、素敵な香水をつくってくださって本当にありがとうございました。世界にたったひとつしか存在しない、自分だけの彼のオリジナルフレグランス、宝物にします。