教育委員会請願文例① 全中を主催しないことを求める請願

 PEACHでは、参加団体の地元の都道府県教育委員会に対して、部活動に関する請願を提出する運動に取り組んでいます。ここで紹介するのはその文例です。
 部活動をめぐる実情や、請願の書式・提出方法は地域によって異なりますので、実際に提出される場合は確認をお願いします。

<全国中学校体育大会を主催しないことを求める請願>

請願の趣旨

 全国中学校体育大会(全中)は、日本中学校体育連盟(中体連)や開催都道府県教育委員会などが主催して行われる中学校運動部活動の全国大会です。

 部活動及び大会の意義そのものをすべて否定するわけではありませんが、全国大会を◯◯県教育委員会が主催することは、以下の観点から、不適切であると考えます。

 第一に、教員の働き方の観点です。給特法により、原則として教員に時間外勤務を命じることはできないほか、文科省の示したいわゆる「上限指針」により、必ずしも労働時間には該当しない時間外在校等時間についても上限が設けられました。こうした中、所定の勤務時間は言うまでもありませんが、上限を超えない範囲での時間外在校等時間を用いたとしても、全国大会に出場できるようなチームや選手を育成することは極めて困難です。仮に、時間外在校等時間の限度内での指導により全国大会への出場を果たせたチームや選手がいたとしても、大会参加資格の中にこうしたことが明記されていない以上、一般的な事例と見るべきではありません。事実上、時間外在校等時間の上限を超えて指導しなければ参加できないような全国大会を、教員の働き方改革を進めるべき立場にある◯◯県教育委員会が主催することは不適切です。

 第二に、教育的な観点です。中学校学習指導要領において、部活動は「スポーツや文化及び科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資するもの」と位置づけられていますが、ここに示された部活動のあり方を実現する上で、熾烈な競争を誘発する全国大会は、むしろ阻害要因と言うべきです。全国大会の日程に合わせ、都道府県・市町村等の大会においてもトーナメント方式を採用せざるを得ず、生徒の出場機会を奪うことになります。また、中学生の心身の発達段階を考慮すると、全国大会出場を目指した過度の練習は望ましいものとは言えません。このように、部活動のあり方や中学生の発達段階に照らし、必要性・有益性が認められず、かえって悪影響をもたらす全国大会を◯◯県教育委員会が主催することは不適切です。

 上記の観点から、全国中学校体育大会を◯◯県教育委員会が主催しないことを求めます。

請願項目
◯◯県教育委員会が全国中学校体育大会を主催しないことを求めます。

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