請願は陳情・要望とは違います

 PEACHでは、都道府県の教育委員会に対して部活動に関する請願を送る活動を行っています。愛知・三重・長野ではすでに送付済み、茨城では発送準備を進めているところです。
 教育委員会への請願は、愛知や鳥取などのように明文で規定されているところは少なく、扱いが事務局の裁量となっているところも少なくないようです。(別記事ですでに長野のケースを取り上げました。)
 茨城についても同様で、「教育委員会に請願法上の請願を行うことは可能か」と質問したところ、次のような回答が返ってきました。

「本県では議員の紹介があって議会に出すものを請願と呼んでいる。それ以外は陳情であろうと要望であろうと請願であろうと陳情等ということで一括に承っているが、出されたものについては全て誠実に処理させていただく」

 議員の紹介があって議会に出すものを請願と呼ぶことに異論はありません。しかし請願法第3条に「請願書は、請願の事項を所管する官公署にこれを提出しなければならない」とあるように、提出先は必ずしも議会に限定されていません。国民(正確には未成年者や外国人も含む)の権利である請願権を、行政が一方的に狭く解釈するべきではありません。

 陳情や要望には請願ほど明確な法的根拠がありません。市民がいわば「事実上の行為」として行政に働きかけてきたものです。文書ではなく口頭によるものも陳情や要望には含まれます。
 しかし請願は、法律どころか憲法(第16条)にも規定されており、陳情や要望とは法的性質が全く異なります。形式についても、「請願は、請願者の氏名(法人の場合はその名称)及び住所(住所のない場合は居所)を記載し、文書でこれをしなければならない」(請願法第2条)と定められています。

 事務局の実務上の扱いとして陳情等という括りを設けることは構いませんが、国民の権利である請願権をもう少し重く見た対応をしていただきたいと思います。例えば、教育委員会への請願手続きをウェブサイト上で紹介することによって、誰もが気兼ねなく請願権を行使できる環境を整えるべきではないでしょうか。教育委員会に多くの請願が寄せられれば事務局の対応が変わってくるかもしれませんので、私たちの側ももっと積極的に請願を出していけるといいですね。

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