長男との旅-振り返って
カナダに住む我々。
同じカナダに住む人や北米に住む人、ヨーロッパに住む人の中で、一定数いるのが、
夏の時期に一時帰国をして、小学校などに子供を入れるという方々。
9月に新しい学年が始まり、6月の終わりに学年が終わる。
そうなると、現地校が終わったら即座に日本に帰り、約1か月間日本の学校にお世話になり日本語を習得させる。
そのような方々を多くみてきました。
しかし、我が家は私が夏に忙しい仕事をしている為、他の方々が行っているような日本の学校に通わせるという事が出来ませんでした。
時期が異なっても日本に連れて行くことさえも出来ませんでした。
恐らく、定期的に小さい頃に日本に連れて行っていた場合、今回のような旅にはならなかったと思います。
長男が通う私立の現地校にて、高校生になると毎年のように海外へ行くというイベントがあります。修学旅行というわけではなく、海外で様々な歴史的な建物だったり、美術館や博物館などを巡るという、社会科見学をまとめて4泊5日などで行うという感じの旅行。
以前、長男がLAに行った際、思い出の記録を取るものとして、コンパクトカメラを渡しました。
当時長男はまだ携帯を持っていなかったので。
帰国後写真をみせてもらおうとした所、
「1枚も撮ってないよ、面倒だったから。」
そういって、家族が嘆いたということがありました。
今回の旅行で、自分の興味のあるアニメ系だけを記録するのだろうと思っていましたが、見る物触る物全てを記録しても記録したりない様子の長男。
LAの旅行とは異なり、着いたその先から写真を撮ったり、ビデオを撮ったりしていました。
長男にとって、日本語学校の友達が何度も日本に行っている姿を横目でみながら、自分は全く日本に行ったことが無かったことに、何かしらの劣等感のようなものを感じていたかもしれません。
間もなく高校を卒業するタイミングで、春休みという期間に日本への旅行に行く事が出来たこと。
長い間、日本に連れて行く事が出来なかったことから、内容の濃いものにしてあげたいという親としての気持ち。
色々なものが混ざり合って、我が家のルーツを訪れ、高野山での宿坊宿泊体験、温泉体験などなど。
食事に関しても、出来るだけ被らないように、事前に色々と調べて、グーグルマップにはかなりの数の旗を立ることにしました。
恐らく長男は、直ぐにでも日本に再訪したいと言うでしょうね。
毎年のように日本を訪れることを希望するかもしれません。
日本には、まだまだ見る価値のある原風景が多くあると思います。
全ての価値はお金で決まる。
そんな風潮の世の中となっていますが、コスパなどでは測れない日本の価値という物もあるでしょう。
日本各地に根付いている、コンビニなどでは食べる事が出来ない食べ物も沢山あるでしょう。
昔から受け継がれたお漬物など、あと数10年で無くなってしまうかもしれない食べ物も沢山あると思います。
お金にならないものはこの世から消えても構わない。
そんな乱暴な考えが当たり前ともいえる今。
少しでも、それとは全く正反対の世の中があるということ。
仏教でも、神道でも、キリスト教でも、イスラム教でも、どんな宗教でも人々の命の大切さや平和を願っている。
コスパとは最も程遠い所で、平和を祈り、欲望に対する戒めを説いている。
しかし、残念なことにそれとは正反対の世の中となり、お金が全ての価値だというような信仰に近いものが蔓延している。
日本の原風景でもある紀伊山地の信仰の姿を見る機会に恵まれた今回の旅。長男の心に何を植え付けたのか。
それらがいつ芽を出すのか。
新たな何かなるのかもしれません。
今まで、長男の希望である、日本に行くということを実現出来なかった分、出来るだけ長男の財産として今回の旅行という経験が残ってくれることを願い計画しました。
第2回があるか分かりませんが、まだまだ日本には学ぶべきもの、失わせてはいけないものが沢山あると思います。もし機会があれば、次回もそんな旅が出来ればとも思います。
日本人として、忘れてはいけないものを、私自身にも思い出させるために。
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