ガイドのお仕事-日々思うこと

「あなたを頼って、親戚の叔父さんや叔母さんがカナダに来たら、どの様に案内する?」

これが基本中の基本であると考えています。

しかし、残念ながら、そのような考え方とはかけ離れた姿勢のガイドさんもいる。
というか、会社もある。

  • 利益効率だけを考えて、お客様の人数の見込めないツアーは催行を辞め、お客様の数が見込めるツアーだけの販売を行う。

この地域でいうと、氷河観光とヨーホー国立公園観光が最も人気のツアー。
しかし、恐竜博物館に行く、ドラムヘラー観光も必要な選択。しかし、殆どのガイド会社がドラムヘラー観光の催行を辞めてしまった。
効率的に利益を出せないから。

  • 観光の目玉である氷河観光。経費削減を優先し、英語圏の中にお客様を放り込んで日本語ガイドが氷河に同行しない。

氷河の上はクレバスも存在する危険な場所。ただ見える景色や氷河の話だけではなく、その危険性についてもお客様にお伝えするのも、大切なガイドの仕事。安全があって初めて心から旅行が楽しめるもの。何かあってからでは遅すぎるということをも考えて、氷河に同行するのはツアー責任者として最低限必要なことでもあると思います。

  • これも経費削減の一環、ガイド会社が自宅で準備したお弁当をお客様にお渡しし、食のプロであるレストランでの食事サービスを行わない。

今は無くなってしまったガイド会社で、家で用意したお弁当をお客様のお渡しし、食中毒を発生させてしまった事がありました。その関係から、ロッキー地区以降の旅行行程にも大きな影響を及ぼすことになってしまったこともありました。

海外旅行という非日常の中で、お客様が安心して安全に楽しむことが出来るよう、細部にわたり配慮をするのが現場を預かる者の使命であると考えています。


残念ながら、顧客のことよりも利益優先しか考えていない会社の方が圧倒的に増えているという事実。

ツアーガイドって、観光地に連れて行くだけではなく、そのお客様にとって最も頼りになる存在であるべき。

このツアーガイドに出会えてよかったと思える存在であること。

しかし、一見さんであることが殆どであることから、顧客満足度よりも、利益を上げることばかりに目が行ってしまっている。

親戚が訪れたときにも、同じサービスで良いとするのだろうか。
本音と建て前を使い分けているようにも見える。


天気の良い日は確かにお弁当を外で食べるのも良いかもしれない。
天候が悪い時は、車内で食べるというみじめな結果も。
天候はツアー会社やガイドの範疇に負えない世界。


晴天のツアーであっても、天候が良くないツアーであっても、最も素晴らしい思い出が作れるようにするのがツアー会社、ガイドの仕事だと思っています。

日本のサービスは世界で最も素晴らしいと言われている。
しかし、私の知る限り、私の周りのツアー会社、ガイド会社のツアーの質は残念ながら落ちる一方。
現場でツアーガイドがどのようなことを感じているかは参考にされない。
経営側が利益最優先で、顧客満足度を無視した状態が続いているのも事実。

ネット販売で優位に立つことが出来れば、一定数の顧客を得る事が出来、高い料金の割に、低いサービスのツアーが当たり前にあるという現実。
質の良いサービスを行わなくても、ネット販売会社から一定の顧客を得る事が出来れば、それ以上の努力が見られない。残念なことです。

ビュッフェレストランでの昼食+氷河での日本語案内あり $300.00
レストランのサンドイッチ昼食+氷河での日本語案内なし $380.00
自宅で作ったお弁当をお渡し+氷河での日本語案内なし $320.00

最大80ドルの違い。

このお金があれば、夕食を食べる事が出来る値段。

この事実を知ってもなお、ネット露出度の高いツアーが良いツアーだと思うかどうかは、顧客の判断によるものなんですがね。





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