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Sentinel-2から影の影響を減らす法(3)-DEMの作成-

こんにちは、このシリーズ3回目の今回はDEMの調整についてお話します。
すでにDEMの必要な範囲については前回お話したところですが、ファイルの作り方が少々特殊なのでそこについてお話します。

国土地理院のDEMをモザイクする

今回サンプルとして使った、衛星画像の範囲は、群馬県、埼玉県、山梨県、長野県、静岡県、愛知県にまたがっていましたので、その範囲でDEMをモザイクして、衛星画像の範囲に切り出すことになります。

入手やモザイクの方法はお使いの環境に合わせて実施していただければと思います。

なお、コンサベーションGISコンソーシアムジャパンではこの標高データについて、標高緯度経度という名前で都府県、北海道は総合振興局、振興局単位でまとめてラスタデータとして、作成配布しておりますので、もしよろしければそちらの利用もご検討ください。以降はそのデータを使う前提でお話します。それ以外のデータ利用の場合はこの限りではありません。

この標高緯度経度データでは、範囲外(海含む)をnodataとしており、その値は-9999です。そのためモザイクのとき、県境部分については注意が必要です。
例えばArcGIS Proで、「新規ラスターにモザイク」を用いるときは、モザイクオペレーターには「最大値」を指定してください。そうすると重なったところには有効なデータが割り振られます。nodataがそれ以外の値になっているようなデータではこの設定に注意してください。

また、環境タブで処理範囲の設定をすることをお忘れなく。処理範囲は最低でも衛星画像の範囲を指定します。この範囲を指定しないとすべてのデータ範囲を含めてしまい、データが大きくなります。ただ、エラーではありませんのでそれでも構いません。処理範囲は次の図の緑のポリゴンのように作ります。

モザイク処理範囲を衛星画像の範囲に合わせて決める
処理範囲を緑のポリゴン範囲にして標高緯度経度データをモザイクしたしたもの
※標高緯度経度データの作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の基盤地図情報数値標高モデルデータを使用しました。(測量法に基づく国土地理院長承認(使用)R 3JHs 592)

出力ファイル名に注意

以下の画像は前回、「Sentinel-2から影の影響を減らす法(2)」で説明に使った画像です。「新規ラスター」の出力ファイル名は、DEM画像が入っているSRTM-3のファイル名(5°刻みのもの)と同じものを使います。ここではsrtm_64_05.tifです。
元々CGIARで公開されていたSRTM-3は、緯度経度とも5°刻みの範囲なので、かなり広く、こんかいのDEMモザイク結果は、そのごく一部しかないのですが、Sen2Corでは、処理のときに衛星の範囲だけを見る仕様になっているようで、問題ありません。

DEMの範囲は緑の範囲でも名前は青の範囲で作る

複数のSRTM-3の範囲に衛星がまたがっていた場合は、DEMを処理範囲を決めないでモザイクしたあとで、その後でSRTM-3の異なる範囲(青のポリゴン範囲別)別にファイルを分割すればOKです。上記緑のポリゴンを2つ作って、処理範囲として2回そこを別々に選んでモザイク処理をするようにしてもOKです。

なお、ファイルフォーマットはGeotiff形式で作成してください。

まとめ

短いですが今回はここまでです。
まとめると、いわば5℃刻みのSRTM-3の体でDEMファイルを作っているわけです。この方法はどういうわけか、Sen2Cor2.10ではできなくなっていますが、将来的にはまた仕様が変わるかもしれませんので、その点はご注意下さい。今回は国土地理院の10mDEMを使用しましたが、SRTM-1でも同じようにすればできるので、やってみてください。
次回ですが、このDEMをどうやってSen2Corで使うのか?という話をしたいと思います。これもまただいぶyrickyなのですがお楽しみに。

いつもは北海道に本拠地を置くNPOに所属し、環境保全を主な題材としてGISやリモセンに関する仕事をしています。
コンサベーションGISコンソーシアムジャパン の活動もその1つです。

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