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夢の中でも消えない

なんでもクリスマス 高海千歌 コス衣装ない土曜日の、正午少し過ぎたくらいの真夏日。千歌ちゃんの家に遊びに行こうと自転車のペダルを全力で回し、家に着く頃には汗だくの状態で来た。全速力で漕いで来たせいか息切れしてしまい、一旦休んで呼吸を整えようと三津浜に降りる階段で休憩しようとした時だった。視界の右端に、何かデカい物体を捉えてしまう。なんだろうと、そっちの方へ向いて見てみるとほぼ桟橋の真下に、一人の少女がうつ伏せに打ち上げれていた。よく秋になるとカツオノエボシや春先になると近隣の畑から落ちたみかんが打ち上げられることは日常茶飯事であった。けれども、流石に人間が打ち上げられているところを見たのは、十五年間生きてきた中で初の経験だった。「ははっ……勘弁してよ」思わず、反射的に引き笑い気味になってしまったのも無理はない。誰だってなるだろう。現に私だってμ’s 高坂穂乃果 コス衣装なっている。その人間はぱっと見では、少女だろうか? 砂や泥、海藻類で多少汚れてはいたけれども、スラッとスカートから伸びる細く白い脚。そのスカート自体は、また別のどこかの中学校か高校のものなのだろうか。少なくとも沼津市内では見ない、青地に赤の縦線模様が入ったものだった。上半身はすっかりくたびれてヨレヨレの白無地のワイシャツだけが着せられており、そのワイシャツの上にはスカーレットの長髪が、まるでウェーブを掛けたかのように(恐らくただ純粋に海水でゴワゴワになってるだけかと思うが)波打った模様で被さっていた。何故、今まで誰もこの姿を見て助けようとしなかったのだろうかと思ったが、そもそもこんな閑散とした片田舎で徒歩での通行人なんて稀だ。車で通る人も、流石にこの桟橋のほぼ真下までは見えないだろうし、仮に何か見えたとしても気のせいだと思う人が大半だろう。

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