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にゃむ❤️の『看護まがじ〜ん』

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30年以上、自分のスタイルでやりたい看護を自由にのびのびとさせて頂いています。緩和ケアや認知症に関する記事が主になるかなぁと思います。
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#家族

いのちの時間は未定

数日でお看取りになるかもしれないと言われていたおじぃちゃん(かなめさん)が退院してきた。ご家族もそれを充分承知の上での退院だった。 初日は、確かに数日ということも有り得るかもしれないと思った。 ずっと痰が絡み続けてゴロゴロいっていた。 喉でうがいしているくらいのレベルで・・・ ご家族も吸引は指導を受けて帰っていていたけど、なかなかうまく吸引できないようだった。 初日は、吸引をする時もとても嫌がって手を持って行こうとしたり 吸引チューブをぎゅーっと噛んで噛みちぎられるんじゃな

凡人、天使の楽園にお邪魔する

久々にあるお宅に訪問に伺った。 雨に濡れたベシャベシャのポンチョを 玄関外に置かせて頂き玄関に入った。 「うわー、にゃむさん久しぶりですね、 大雨の中ありがとうございます」と お客様のご家族が出迎えてくださった。 ワンワン達もピョンピョンしながら お出迎え。 バイタルサイン測定していると いつの間にかワンワンが ちょこんと座ってくれてる。 たまらんっ(笑) 可愛すぎる! こちらのお客様は、 ご高齢で寝たきりの方だったが ご家族のチカラでびっくりするくらい お元気になら

一晩だけ

神さまは 一晩だけ 家族の待つ家に 彼女を 帰らせてあげるねと言った そして ニ晩目を迎える前に 約束の日だね・・・って 天使たちが迎えに来た 最期に 地球の空気を 小さく吸い込んで 動きを止め やわらかな光を放った ……⭐︎ 働き者で 元気いっぱいの楽しい彼女のまわりには 沢山の親族が囲んでいた この人たちにとって どれだけ大切な人だったのか お元気な頃を知らない私たちも 容易に想像ができた 意識もかなり薄れている状態で ようやく瞬きでYe

最期のとき 〜セデーション(鎮静)前のできごと〜

以前、この記事の中で、お客さま(沙羅さん)が天使になって旅立たれたお話を書かせて頂いた。 全力は尽くしたつもりだったのだけど、一つ大きな大きな後悔があった。 沙羅さんは、いつも凛としていて毅然としていた。 がんは、美しい沙羅さんの体を容赦なく覆い尽くしていた。 この為、がんによる苦痛を取り除く為にセデーション(鎮静)が必要な状況になった。 その寸前のことだった。 写真が見たいとお願いしたら、最近のはあまりないのよねと言いながらもご家族が持ってきてくださった写真の中に

看取り / あなたの言葉をちゃんとご家族に伝えますね

「小さい頃はね・・・可愛すぎてねー、いつも家まで女の子がついてきてたのよ。本当に可愛かったの」と 80歳のご婦人は涙ぐんだ目で仰った。 マスクをしていても目鼻立ちの整ったご婦人だと分かった。 あー、彼はお母さんに似ていたんやなぁと思った。    * その可愛いすぎた小さなマコトさんは、40歳半ばになっていた。 マコトさんと出会ったのは、その1ヶ月くらい前。まだその頃は、ベッドのところに1時間座って話すことができていたけど、食事量は、かなり減っていた。 沢山の辛い治療

本当のことなんて誰もわからない

何の不自由もない暮らしをして おしゃれな家に住む 素敵な家族が まさか 深い悲しみに暮れてることなんて あの窓の光を見ただけじゃ 誰も気付かない… まさか大好きなママが 誰からも愛されてたママが 天使になってしまったなんて… 外から見ただけじゃわからない 本当のことなんて誰もわからない …… ✳︎ …… ✳︎ …… ✳︎ …… 美しい天使になっていったお客様の家 少しまわり道をして通りかかってみた 他の家と同じように幾つかの部屋

コ・ウ・カ・イ(後悔) / あの時が最初で最期になるなんて・・・

“1時間半”・・・。 彼と一緒に居たこの1時間半が、最初で最期になるとは思わずあの時間を過ごしていた。 彼は、50歳代の独身男性の剛(つよし)さん。 薄暗い部屋の中でも彼の中肉中背の体が黄色く(黄疸)見えた。 そして異様なほどの大きなお腹(腹水)をみれば、“がん”が、彼の意思に反して体を占領していることが一目でわかった。 受診した時には、既にエンドステージの状態だった。 ついこの間までバリバリとサラリーマンをしていた彼が、この短い期間の中でこれだけの体の変化を簡単に受け入

届け!海の向こうの家族に 〜コロナ禍での看取り 第2弾〜

<はじめに>コロナ禍の看取りの第2弾となる。第1弾の記事はこちら。 前回の記事にも書いたように感染予防という観点で、家族の人生の最期なのに逢えないというケースもよく伺う。当たり前のように諦めなくてはいけないことになりつつある。最期の瞬間を見届けることも辛いことではあるけれど、逢えないことは、もっと辛い。今回は、海外在住のご家族がいるかたのお話をしようと思う。 国内でも中々、家族に逢えない状況の中、海外に住むご家族にとっては、大きな苦しみではないだろうか。 <アキラさんのこ