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ルミさんは、「このワゴンを片付ける仕事があってよかった!」と言われた。 このワゴンというのは、彼女の部屋にある医療的処置をする為のガーゼやテープ、点滴などの物品が整理されているワゴンだった。 この聖域は、自分にしか管理できないということを周りに主張しているようにも見えた。毎回、なぜか微妙に位置が変わっており、「ガーゼはどこにありますかねぇ?」と伺うとちょっと嬉しそうに「ガーゼはね、ここよ」と教えてくれた。 後にご主人から「ちょっとせん妄状態みたいで夜になるとずっとワゴンの整
その彼は いつも気さくで 優しい気遣いの人。 楽しい会話で笑いが絶えない。 部下からも おばさまたちからも 慕われて 人気者だったと 奥様は言われていた。 いやぁ〜、絶対人気者だと思う。 部下にも こんな風にニコニコしながら フレンドリーに声を 掛けられていたのだろうなと思う。 こんなに普通なんだけど その彼・・・ハタさんは 大きな大きなお腹を抱えて ベッドに横たわっていた。 退院後に初めてお会いした。 本当にハタさんは 1ヶ月くらいしたら この場所から 居なくな
<はじめに>2年半前にこんな記事を書いていた。 ギャンブルの果てに廃人のようになってしまったしげさんの話。 実は、このほぼ寝たきりだったしげさんにはこの後ミラクルな人生が待っていた!! その前にちょっとしげさんのおんぼろぼろぼろアパートのおさらいをしておこうと思う。 <おんぼろぼろぼろアパートの住人しげさん> そのおんぼろぼろぼろアパートは、雑草が鬱蒼とした陽の当たらない住宅街にあった。外もジメジメしているけど、中は、ジメジメ度が増していて、なんとも形容し難い匂いがす
以前、この記事の中で、お客さま(沙羅さん)が天使になって旅立たれたお話を書かせて頂いた。 全力は尽くしたつもりだったのだけど、一つ大きな大きな後悔があった。 沙羅さんは、いつも凛としていて毅然としていた。 がんは、美しい沙羅さんの体を容赦なく覆い尽くしていた。 この為、がんによる苦痛を取り除く為にセデーション(鎮静)が必要な状況になった。 その寸前のことだった。 写真が見たいとお願いしたら、最近のはあまりないのよねと言いながらもご家族が持ってきてくださった写真の中に
「小さい頃はね・・・可愛すぎてねー、いつも家まで女の子がついてきてたのよ。本当に可愛かったの」と 80歳のご婦人は涙ぐんだ目で仰った。 マスクをしていても目鼻立ちの整ったご婦人だと分かった。 あー、彼はお母さんに似ていたんやなぁと思った。 * その可愛いすぎた小さなマコトさんは、40歳半ばになっていた。 マコトさんと出会ったのは、その1ヶ月くらい前。まだその頃は、ベッドのところに1時間座って話すことができていたけど、食事量は、かなり減っていた。 沢山の辛い治療
出逢いあの瞬間、ヘアゴムを指さしたあの仙人を 私は、心からかっこいいと思ったし、 足元にも及ばないと思った。 と同時にこれまでの人生の寂しさも感じた。 その仙人には、その日初めて会った。 俗っぽい世間から離れて 独特の世界を持たれている空気があった。 白い髪が伸びた齢を重ねた男性だった。性別も男性とも女性とも違う中間の感じがした。 まるで「仙人」のようだったので敬意をもって このようにここでだけ呼ばせて頂くことにした。 初めて会ったのにウエルカムな感じだった。 昔から