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宮崎駅弁「元祖椎茸めし」は捏造された架空の記憶と願望が具現化した味

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幼いころ、おばあちゃんが作る料理が子供の口に合わず「ハンバーグ食べたい!」と駄々をこね、おばあちゃんを悲しませた記憶。

高校生くらいになっても「友達とマック寄ってくるからご飯いらんし」と、おばあちゃんを悲しませた記憶。

そして今になって、オッサンになった今になって「おばあちゃんに謝りたい…あのおばあちゃんの味がまた食べたい…なんなら焼酎とか日本酒とかと一緒に…」と思っても、時すでに遅し。でも、あの味が食べたい…

そんな記憶は特にないのですが、架空の捏造された記憶と願望が具現化したお弁当がありました。

宮崎駅弁の「元祖椎茸めし」(800円)です。

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今年は機会があって宮崎県に数度足を運び、帰りはJRの昼行特急としては最長距離を走る特急「にちりんシーガイア」に5時間くらいトコトコ揺られておりました。

乗り込む前に宮崎駅で駅弁でも買うか~となんとなく買ったのがこの駅弁「元祖椎茸めし」です。

出汁で炊いたご飯に肉厚の椎茸の煮物がデン!
おかずは煮物や酢の物、玉子焼きにかまぼこ、そして肉団子に漬物と派手さはありません。正直、「地味…」と思いました。

ところが、食べてみると冒頭のような架空の捏造された記憶に脳がハックされ、「おばあちゃんの料理が出てきた!」と最後に見る夢が具現化したみたいな味が全身を駆け巡り、日向灘の景色も相俟って泣いちゃうくらい美味しいのです。例えるなら駅弁界の未来世紀ブラジル(のラストシーン)

つゆが染みた肉厚のしいたけが最高。正方形の紅生姜も最高。

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季節によって微妙におかずの内容が変わるようで、フキの代わりに昆布巻きになっていたり春雨の酢の物が大根の酢の物になっていたりします。

全体的に薄味で素朴なおかずの中で肉だんごだけが妙にバキバキに強めの味付けなのでものすごいアクセントになっていて、「おばあちゃんが子供が好きなものを一生懸命入れてくれた」みたいな感じがあって、それがまた最高です。

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二段重ねの「上等椎茸めし」もあります。(「上等」!)

にちりんシーガイアが走る日豊本線沿線には船オタクにとってテンションの上がる風景があちこちにあり、本当に楽しかったです。

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しばらく宮崎県に行く用事はなくなってしまいましたが、また行くことがあれば絶対に椎茸めしが食べたいです。

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