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台風が残したもの

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台風15号による被害の中で、感じたこと思ったことをつれづれなるままに。
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#台風が残したもの

自然災害を乗り越えていく

晴天の下、工事は順調に進んでいった。 本日、台風の被害を受けた家の補修工事が行われていたのだ。近隣でブルシートがかけられたうちの最後の一軒だった。 昨年9月、台風15号が通過した直後、我が家からの視界に入る家のほぼ全てにブルーシートがかかっていた。 それぞれ家屋の修理が進み、ブルーシートが徐々に減っていったものの、一軒だけ残っていたのだ。 修理業者が間に合わないだけでなく、修理の費用を工面できない人もいる。個々の事情があるのだ。仕方ない。 そう思ってはみたものの、ブ

さら地が増えるとき

「新型ウイルス騒動は全国規模の災害のようなものだ」という表現を見聞きする。 私の体感的にもそうだと思う。 というのも、昨年、2019年9月9日未明に当地を襲った台風15号により被害をうけたときと町の景色が似ていると感じるからだ。 ◇◇◇ 3月には、車検や自動車保険の契約継続など、必要最低限の実務として数人にお会いする機会があった。 軽く世間話をしたのだが、異口同音に「台風15号」と比べる言葉が聞かれた。今回は「電気も通ってるし、水も通っている」として、まだ余力がある

「他人の見たくない一面を見る」ということは

年末に向けて、近隣での修繕工事も加速しているようだ。 9月9日未明に襲われた台風15号の被害により、町全体が被災した。 周りの工事はもちろんだが、我が家のカーポートも無事修繕が終わりホッと一息というところ。 だが、明るい話題だけでもない。 被害を受けて保険金が下りたけれども、それを修繕に充てない人が散見するという問題だ。生活のレベルが低く、わずかな保険金でギリギリの修繕をするくらいなら、修繕を諦め、生活の足しにしたいのだという。 実際、保険金を修繕に充てなくてはいけ

晴れの日に傘を買う

父は格言的な謎かけ的な不思議なことをいう人だった。 その父が他界して半年足らず。悲しみが少し癒えてきたからか、近頃、父の言葉をよく思い出す。 「傘は雨の日ではなく、晴れの日に買うものだ」 この話を聞いたのは、いつ頃だっただろうか? 父が師匠と仰ぐ方から教えられた考え方なのだそうだが、人生が順調な時に不測の事態への「備え」をしておくべきだという意味合いであったと思う。 実際には雨の日だって傘を買うことはできる。だが、傘を買いに行くまでに濡れてしまう。 雨に濡れずにと

面倒くさいの極み?保険請求書類作成に時間を盗まれた話

毎日少しずつやればそのうち終わるはず。 私はそう信じていた。 台風15号の被害を損害保険で補いたいと考え、保険請求をすることに決めたのは、ひと月ほど前のこと。写真を撮ったり、書類を作ったり、見積もり書の細かいところまで目を通し、必要なものが揃ったのは、5日ほど前。 写真の整理は始めていたし、必要書類は随時整理して複写をとって、送付用をファイルしてきた。だから、ささっと終わるはずだと楽観視していたのだ。 けれども、いろいろな問題が起き、なかなか思うようには進まない。

逃避。それは人間に許された素晴らしい能力だから

人事を尽くして天命を待つ。 台風19号が猛威をふるう中、そのような気持ちでいる人は私だけではないだろう。 うなりをあげて、繰り返し繰り返し風がガラス戸をたたく。次のうなりでガラス戸が割れてしまうかもしれない。そう思うと気が気ではない。体の芯が冷たい水の中に侵されたような、心細い気持ちになる。 隣家の屋根に乗せられた土嚢は、昼間に見た場所とは違う場所に移動している。ブルーシートが風にあおられ、遠くの灯りが点滅を繰り返す。 どこもかしこも不安だらけだ。 別の隣家からは電