マガジンのカバー画像

父と私とジャイアンツ

26
2019年6月に他界した実父との回顧録です。
運営しているクリエイター

#人生修行

腰を低くしながらも決して舐められてはいけない

父の他界してから13ヶ月が過ぎようとしている。 一般的に、実父や配偶者といった近しい人の死に際して喪に服す期間は、13ヶ月。 この期間を、あまり意識してきたつもりはなかった。だが、ここのところ何か吹っ切れる感覚を立て続けに実感している。 「やはりそういうことだったのだ」とでもいいたくなるような出来事に遭遇してきているからだ。 ◇ 父は、私に対して、諭すような言葉をチョクチョクとかけてくれる人だった。 三人きょうだいの中で、父と過ごす時間が比較的長かったからかもしれ

托鉢の僧侶に施しを

先日、都心へと出かけていたときのこと。 日本橋の下で托鉢する僧侶がいた。 僧侶のほうをチラッと見ながらも、私は急ぎ足で通り過ぎた。時間に追われながら所用を済ませる必要があったからだ。 そして私は目的地へと向かう間、父との記憶を手繰り寄せていた。 初めて「路上で托鉢をしていた僧侶に施しをした」と父に伝えたとき、諭された言葉を思い出したのだ。 父の考えによると、托鉢をしている僧侶の中には乞食のような考えの者もいるのだという。僧侶の恰好をしてタダでお金をもらおうとするとい