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父と私とジャイアンツ

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2019年6月に他界した実父との回顧録です。
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2020年3月の記事一覧

君子危うきに近寄らず?

どこかで聞いたことはあるだろう、この言葉。 賢く教養のある人間は、危険なことには近づかないといった意味合いで、怪しい儲け話を断ったようなとき、その理由を一言で告げるといった場面で用いる。 けれども、私は、この言葉に違和感を感じていた。 賢く教養のある人間は、そもそも危険なことに遭遇しないよう注意して行動するのではないかと考えたからだ。 父が危惧していたこと世の中の全てを見てきたわけではないと思うのだが、父はそれなりに経験を積み、仕事をしてきた。きれいごとでは済まない世

「生まれてきてよかった」と思える日まで

3人きょうだいの真ん中っ子。 幼き日、祖母から「あなたは要らない子として生まれた」と告げられたことで、心に闇を抱えて育った私は、生きていて申し訳ないと思いながら大人になった。 「生まれてきてよかった」なんて思える日がくるとは思えなかったが、それは、生まれてきてよかったと思える日まで生きていないだけのことだったのだ。 生まれてきてよかった。 50年以上も生きなければ、それを感じることはできないなどと、思春期の頃の私は想像だにしていなかったのだ。 ◇◇◇ 思春期の頃に