見出し画像

#ソシャゲの話をしよう。「商品価値の創出」

みなさんガチャは引いてますか?
ピックアップが引けなくてすり抜けばかり、確定枠や天井で救われるというパターンもあるでしょう。
でも当たりが存在するだけマシなのかもしれません。
今回は「商品価値の創出」というお話。

さて、個人的に。
当たりハズレならともかく、人権とかゴミとか産業廃棄物とかいう言い方はあまり好きではありません。
光あるところに影があるように、当たりがあるためにはハズレが必要なのです。

ユーザーの購買意欲を整理してみましょう。
魅力がある「当たり」を入手するために、ガチャを回したいという購買意欲が生まれます。
ハズレは残念な体験ですが、ハズレがなければそもそも「当たり」の価値とは?となるわけで。

しかしながら。
結局突き詰めると、当たりを引かなければ自分の望むゲーム体験は得られないわけで。
それでは、ハズレに対するヘイトを逃がしながら、当たりに価値を持たせるにはどうすればいいのか。

かつてのソシャゲは多くがステータス至上主義でした。
見た目やキャラクター性は二の次。強ければ正義。
それを使って無双して、俺TUEEEEE!!が超キモチイイという体験が原点です。

とはいえ、昨今はユーザーのヘイトやもろもろの事情から、こういう形はあまりトレンドではありません。

そこで、「絶対的価値」と「相対的付加価値」という考え方を唐突に持ち出してみましょう。
それぞれ軽く説明します。

「絶対的価値」というのは、読んで字のごとく、その商品が持つ普遍的な価値です。
例えば、バトル要素のあるゲームにおけるパラメーターなどがそれにあたります。
この商品は強い。故に価値がある。故に売れる。Do you understand?

しかしこれには問題もあって。
この強い商品が活躍するためには、その活躍の場が必要となります。
せっかく引き当てた当たりが活躍できなかったら、その価値はないも同然ですよね?

なので、当たり商品のステータスにあわせて、難易度の高いゲームを用意する必要があります。
そして、当たりの「絶対的価値」を新たに創出し続けると何が起こるか。

新しい商品≒当時の最強のパラメーターに合わせて、ゲームの難易度は上がり続けます。
いわゆるインフレと言われる状態ですね。

こうなると、途中参入の新規ユーザーや当たりを引けなかったユーザーは、ゲームに参加すらできません。
そうすれば次第にユーザー離れを引き起こし、コンテンツの衰退を招きます。

この現象に対してよくあるのが、対応できるユニットを配布したり、ガチャの当たり確率を上げる場当たり的な救済策です。
しかし、これはあまり良い施策ではありません。

なぜなら、当たりを引いたユーザー、つまり「課金してやっと成功体験を得たユーザー」の引いた「当たり」の価値を貶めるからです。

みんながうらやましがる「俺TUEEEEE!!」をやるために課金したのに、みんなにそれが無料で配布されたら「???」となるわけで。
当然ながら、こういう事態が続くと課金ユーザーの信頼や購買意欲を損ない、これまたコンテンツの衰退を引き起こします。

チケットでの引き換えや低確率の無料ガチャ、あるいは半年以上前の商品ならOKなどの内部ルールを定めても、結局起こることは同じ。
せいぜい少し寿命が延びるかどうか程度の違いです。

インフレ対策だからといって、商品の持つ「絶対的価値」を落としてはなりません。

さて、次に「相対的付加価値」について。
これは定義するならば「ゲームの進行に直接影響を与えない価値」とでもいいましょうか。
キャラクターの見た目や、キャラクターに付随するサブストーリーなどがそれにあたります。

コラボキャラクターの価値なども、「相対的付加価値」に含まれる場合が多いです。
「○○がコラボするから、このゲームやってみよう」という動機は、相対的付加価値によるものですね。

相対的付加価値の特徴は、ユーザーによって価値を感じるものが異なる点です。
あるユーザーはキャラクターAを欲しがり、また別のユーザーはキャラクターBを欲しがる……という形ですね。

ユーザーによって価値観が異なるため、長期的、あるいは多角的に価値ある商品を提供することが可能になります。

しかしながら、こちらにも問題がないわけではありません。

長期的な計画的な運用スキルが求められます。
運営初期から「いつどのキャラクターが活躍するから」「いつどのキャラクターの需要が高まり」「いつなら商品価値が高いのか」を計画する。
そもそもキャラクターの「設定」「サブストーリー」「見た目」の管理が必要など、運営コストが非常に高くなります。

行き当たりばったりの運営では不可能、実際にやっても大失敗。
綿密な計画があってこそ、初めて成立します。

商品の訴求を「絶対的価値」か「相対的付加価値」のどちらによって行うか。
ゲーム内容や運営の進行によって取れる手段は異なるものの、どちらも失敗したときのユーザーのヘイトは高いので要注意です。

初期は絶対的価値の調整でなんとかしようとしたが、どうにもならなくなって相対的価値のほうを模索する。
その結果インフレは起こるし、キャラクター設定は後付けでしっちゃかめっちゃか。その結果売上は低迷…
こんなシナリオはソシャゲでは非常によくあるパターンです。

余談ですが。
最近散見される「レアリティ低いキャラは育てやすく、大器晩成で高レアキャラに比肩する。全キャラにエピソードついてる」という形式ですが、これは育成の難易度や報酬のバランス設計、緻密な運用計画ができて初めて成功する、わりとすごい芸当ですからね……。

「強いキャラクターを出せば売れる」「エロいキャラクターを出せば売れる」という時代は、とうの昔に終わりました。
今はユーザーへの需要喚起も計画的に設計しなければならない時代です。

新たにソシャゲ運用をはじめられるチームの方々には、ぜひとも頑張っていただきたい……と祈るのみです。

今日僕から言いたいことは以上です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?