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最強の大女優カトリーヌ・ドヌーブさま

フランス女優の大御所、泣く子も黙るフランスの大女優、といえばやはりカトリーヌ・ドヌーブです。1963年の『シェルブールの雨傘』に二十歳で主演して以来50年以上これだけの長い間ずっとコンスタントに映画に出続けている女優はほかに例がないのではないでしょうか。最近でも年に2~3本は出演していますし、相変わらず主演または準主役です。そのエネルギーには本当に頭が下がります。彼女はベテラン監督から新人監督までを問わず、役柄に興味があれば出演するようですが、新人監督でもドヌーブ様が出てくれたら、作品の注目度もぐっと上がりますし、本当に映画界に貢献している人だと思います。監督たちが今でもやはりドヌーブで映画を撮りたいと思うというのは凄いことだと思います。

そんなドヌーブの主演作と準主演の作品が、今回のセテラパックに4作品加わりました。

1つはすでに前回ご紹介しました『愛のあしあと』で、愛さずには生きられない女の運命(さが)を娘のキアラ・マストロヤンニと演じていました。そして、3作品はTV放映/DVD発売作品ですが、どれも見応えのあるものばかりです。

まず1作目は今までも多くの作品を一緒に撮っている名匠アンドレ・テシネ監督のカンヌ映画祭出品作品『愛しすぎた男 37年の疑惑』。ニースの豪華カジノの女性実業家役で、1970年代に起こった娘の失踪事件の実話を映画化したものです。ギヨーム・カネ、アデル・エネルという演技派俳優の3人の競演と、ニースのカジノを舞台にした華やかな世界も魅力ですが、娘の謎の失踪事件の容疑者カネと裁判で何年も争い続ける後半のドヌーブの演技も見どころです。サスペンスドラマとしても満足のエンタテイメントで、私はセテラの未公開作品の中でかなり好きな映画です。

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2作目はシャルロット・ゲーンズブールとキアラ・マストロヤンニが姉妹役でその母親役を演じているのがドヌーブ様、という『3つの心、あのときもしも』。こちらもフランス映画界で毎年コンスタントに映画を撮り続けている監督の一人ブノワ・ジャコの2014年の作品です。タイトルの通りで、あのときもしも、遅れていなかったら・・・・と、すべての人生の歯車がボタンの掛け違いで狂ってしまった男女3人の恋愛劇です。

豪華女優3人と共演するのが『今さら言えない小さな秘密』で、自転車に乗れない秘密を大人になるまで持っていたラウル・タビュランを演じたブノワ・ポールヴールドです。今書いていて気がつきましたが、この『3つの心、あのときもしも』でもブノワは秘密を持っていて今さら言えなくて苦しむ男の役でした! ドヌーブ様は、少しミステリアスな母親役で、これこそ“存在感”という女優のカリスマを発揮しています。

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考えてみると、ドヌーブ様は、どの映画に出ても、やはりそこにいるのが“ドヌーブ”で、それはアラン・ドロンやジャンヌ・モローに通じるものがあると思います。ドロンやモローも、どんな役をやっていても、やはりスクリーンに映っているのはドロンだし、モローで、それはメイクをしても役柄が違っても“映画スター”なので、それが映画を見る醍醐味でもあるのだと思うのです。

そして最後の映画はクライムサスペンスの『女神よ、銃を撃て』、ドヌーブ様が麻薬中毒の娘の犯罪を隠そうと死体を運んだり、麻薬組織団に向かって銃まで構えてしまう貫禄の主演です。麻薬組織団から狙われるチンピラの青年と心の交流もあるところで、チンピラの青年にとってはドヌーブ様は女神だったのかと思い、この邦題も納得です。

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しかしこの映画を見るとドヌーブ様は本当にどんな役でも果敢に挑戦する人だとあっぱれの女優魂の人だと思います。この映画には、すぐに殺されてしまいますがフランスのイケメン俳優のニコラ・デュボシェルと、ネクフという人気ラッパーが出演しています。人気ラッパーなのに、凄い役を引き受けるんだな、とびっくりです。二人とも美形ですから一見の価値あります。そしてダイアン・クルーガーも本当に美人なのに、こんな汚れ役を堂々と演じていて、これもさらにびっくりします。

というわけでドヌーブ様三昧できますが、各作品共演者が豪華ですので、それもセテラ・パックの醍醐味では、と思います。どうぞお楽しみください!

山中陽子

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