ガンガーに還る

お盆ですね。
お盆は先祖の魂が戻ってくるとか言うけれど、仏教では四十九日で人は生まれ変わるんじゃなかったっけ?いったい何が戻ってくるのだろう。まあ、別になんでもいいか。

死んでゆく人と見送る人たち。

いろいろ自分の旅に影響を受けた本で藤原新也の「印度放浪」という本がある。それを読んでから一度は火葬の現場を見てみたいなと思っていた。

川のへりで薪で遺体を焼いて川に流す火葬である。

影響を受けたと言いながらインドには全然行かずだったので、初めて火葬を見ることになったのはネパールだった。

ネパールもインドと同じくヒンズー教徒が多く、ガンジス川の上流にあたるバグマティ川でも大きな寺院では火葬してその遺灰を川に流す。
遺灰は下流でガンジス川と合流し、輪廻転生の理に飲み込まれていく。

ネパールの首都カトマンズにパシュパティナート寺院という、ネパール最大のヒンズー教寺院があり、そこは観光名所でもあり火葬場でもある。

まあ、最大とか名所となると、観光客もいっぱい来るわけで、そうなるとその観光客から金をうまいことせしめようとするネパール人も集まってくる。

横から勝手に寺院や川やネパールの説明をしだして、ガイド料払えとか言ってくる。

近づいてきてなんか言い出したら「いらんいらんいらんいらん!」と念仏のように唱えて追い払う。

ここお前たちの聖地だろ。よーやるわって感じ。

来世より現世が大事だもんな。輪廻よりも今日の空腹をどう乗り越えるか。

自分が行った時間帯は観光客もあまりいなく、火葬も1件だけ。
火葬も金あれば薪がいっぱい使えるのだけど、金が少ないと薪も少なく、半焼けくらいで川に流されるとか聞いていたので、なるべく貧乏火葬なのがいいなと不謹慎なことを思っていたが、薪がっつり組まれていてちゃんとしている火葬だった。

遺体も布で巻かれているんだけど、薪いっぱいすぎて火が付けられたら、なんとなく足みたいのが見えるけど、うーん、木かな?なんかよくわからんなこれ。。。

って感じで20分も見てたらすっかり飽きてしまった。

なんかとても凄いものが見れると思っていたけど、まあそんなもんである。
人が死んで葬式やってるのに不謹慎極まりないが、地元のクソガイドも隙をみつけてその観光客から金をうまくかすめてやろうとしてくるし、もう現世が辛い。

頬肉が焼けて骨が見えてくる様が見れたら良かったのだろうか。
内臓が火でぐつぐつしているが見えたら良かったのだろうか。

結局そんなのは見えなかったのだけど。

何をみたところで何でもなく、結局は死んで焼かれていくだけなんだな。
何かとんでもないものが見れるのではと思って行ったら、なんのことはなかった。

だけど、なんでもなかったなとなるまでの、心の軌跡というか感情の移動みたいのの積み重ねが、人が生きていく上で背骨と背筋みたいになっていくんではないかなと思うことがある。結果だけ知ってもしょうがないんよね。ガンジスの川の流れのように、流れ流れて流されて。

結果、なんてことなかったな。という旅があなたの血となり肉となりますように。

でもいっぱい暑い国を旅行したくせに、暑いのには一向に強くなりません。
今年の暑さも盆まで。そう思ってあと数日過ごしたい。

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