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昨晩のオーストラリア戦について~

昨晩行われたワールドカップアジア最終予選、
サッカー日本代表がアウェーでオーストラリアに2-0で勝ち、
7大会連続7度目のW杯出場を決めました。

重圧がかかる厳しいアウェーの雰囲気の中、激しい雨でピッチ状態は最悪。
短いパスによる組み立てを得意とする日本代表にとっては不利な状態での
試合の入りとなりました。

◆予想外な展開

試合前の予想では、オーストラリアが自陣深く引いて相手を誘い、
ロングボールで裏を狙う戦い方をするという見方もありましたが、
意外にもお互いオープンに打ち合う展開となり、
ピッチ上で互いのポジショ二ングが間延びする形となりましたが、
前半はどちらも得点を奪えず、0-0で折り返しました。

後半になると、日本代表は落ち着きを取り戻し、
前半とは打って変わって慎重に戦うようになりました。
そして試合終了間際の後半44分とロスタイムに三苫選手が、
立て続けに2得点を挙げて、最終予選を6連勝で飾りました。

◆日本代表の勝因は3つ

日本代表の勝因は3つ。
前半無失点だった事、日本代表の選手個人の能力の高さ、
そして、攻守の切り替えの早さです。

日本代表は相変わらず試合の中での決めごとというか、戦術と呼べるものがほとんど無いように見えました。
言い方はあれですが、目的地を決めないで旅行に出るような感じです。

特に守備の場面ではチームとしてどうやってボールを奪いに行くのか明確でなく、特に前半は相手チームに自由にボールを回される状態になっていました。
相手チームの中盤が深い位置で3人並ぶような形になっていたので、
日本代表のインサイドハーフ2人に対し、相手が1人余る形になっていました。

また、全体的に互いの選手のポジショニングが間延びする形になっていたので、互いにノーガードで打ちあう流れになってしまっていました。
もしも、前半で失点していたら試合結果は違っていたかもしれません。
相手のファウルの判定で取り消されたオウンゴールの場面はヒヤリとしましたが、その後は守備陣がしっかりと守り切ってくれました。

後半になると相手に付き合う事はなくなり、落ち着いて戦えるようになりました。
ただ、相変わらずボールを奪いに行く場面では個人の走力を頼りにしており、狙って奪いに行くのではなく、とにかく走って奪いに行く場面が多く、攻撃の場面でもチーム全体ではなく、個人の能力で打開する場面が目立ちました。

それでも勝てたのは、全体的に選手の能力がオーストラリアよりも日本の選手の方が高かったからです。
現在のオーストラリア代表には、かつてのケーヒル選手やケネディ選手のような日本の天敵となるような選手がおらず、選手層も決して厚くはありません。
気になるのは、ボランチの10番のフルスティッチ選手くらいでしょうか。
オーストラリア代表は怪我などの離脱者が多かったですが、それは日本代表も同じです。

試合終了間際の2得点も、1点目は山根選手がボールを下げると見せかけて右サイドを崩し、質の高いクロスを入れた事で勝負が決しました。
器用さも感じましたし、山根選手の判断力は非常に高いと思います。
2点目は完全に三苫選手の個の力に圧倒された形でした。
(正直、今の三苫選手はベンチに置いておくのがもったいないです)

そして日本代表は、選手一人一人の攻守の切り替えがとても速いです。
これは日本代表が持っている強みの一つと言えるでしょう。

◆浅野選手の使われ方が良くない

トップの浅野選手は決して動きは悪くなく、前線で孤軍奮闘していました。
ただ、昨晩の試合での使われ方は決して良いとは言えませんでした。

攻撃の場面ではオーストラリアの背の高い中央の2センターバックの裏を目がけて雑なロングボールを上げて浅野選手を走らせるシーンが多く、相手チームが最終ラインを高くしていない状態で、決して高さに自信のあるタイプでない浅野選手をそのように使うのは得策ではないと感じました。
加えて中央へのロングボールがはじき返されると、そのままカウンターにつながる恐れもあり、その点でもあまり良い判断とは言えません。
それならば、相手のあまり質の高くないサイドバックの裏を狙わせるべきだったと思います

また、守備の場面では相手の選手4人を1人で同時に見る状態になっており、
前述のように、相手チームにボールを自由に回される原因の1つになっていました。

◆相変わらずの長友選手のポジショニングが良くない

いつもながら長友選手は低い位置でボールを受ける際に、サイド際に張って受けようとしますが、それだと次にボールを出す選択肢が、縦に出すか後ろに戻すしかなくなってしまうので、もう少し内側に絞って受けるべきかなと思います。
逆サイドの山根選手はそれができていました。

◆今の戦い方では上のレベルのチームには通用しない

前述の通り、今の日本代表には戦術と呼べるものがほとんどなく、
選手の個人の能力の高さに助けられています。

ですが、これはあくまでもアジア予選のレベルでの話です。
本大会のレベルであれば、恐らく通用しないでしょう。

勿論、このまま本大会に行くつもりだとは思っていませんが、
4年経ってチームのベースとなるものがほとんど固まっていないというのは正直考えられません。4年間何をやっていたのか、という話です。
(監督経験がほとんどなかったジーコさん以来かなと思います)

代表チームとして、集まれる時間が限られてしまう事は承知ですが、
時間が無かったからできなかったというわけではなく、
最初からやっていないという事では、言い訳はできないと思います。

◆今後の課題は?

恐らく何事もなければ、このまま森保監督で本大会に進むのだと思います。

ただ、以前の記事でも言及した通り、選手に戦術を決めさせているというのは確かなようですが、チームとして、監督として、戦い方の基本的な部分すら決められていないのはやはりおかしいと思います。

まずは、本大会までにチームとして上のレベル相手とどう戦うのか、
どうやってボールを奪って、どうやって攻めるのか、
以前の遠藤保仁選手のような、ピッチ上の監督のような存在も今はいませんし、そこをきちんと固めてもらえればと思います。

また、現在のスタメンを固定するやり方では、
相手にも研究されてしまいますし(というか既に研究されつくしています)、
何より、選手の競争力が上がらず、選手層が薄くなってしまいます。

現状ではこれまでの主力メンバーが優先的に起用されるのに対し、所属チームで活躍する選手が冷遇され、メンバーにすら選ばれないときも多いです。
今回は所属チームで9得点を挙げている堂安選手や所属チームのエースである鎌田選手が代表から外れ、大迫選手の代わりに選ばれ、現在ベルギーで活躍中の林選手はベンチにも入れませんでした。

森保監督の傾向として、可視化しやすい特徴(足が速い、当たりが強いなど)
が無い選手と、若い選手は使われにくい傾向がある気がしています。

三苫選手にしても、最後の切り札という使われ方がベストというわけでもないでしょうし、昨日の試合にしても、あの10分で結果を出せてしまう三苫選手が素晴らしいと思います。
なので、今後はスタメンで起用する事を検討しても良いのではないでしょうか?

今後はできるだけ多くの選手にチャンスを与え、一旦予選での活躍は置いておいて、フラットな目線で評価してほしいところです。



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