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とんねるずに楽曲提供しなかったミュージシャン

1996年2月。とんねるず名義で出した最後のCD『おまえが欲しい』が発売された。

その後も新曲を出すため、石橋貴明はミュージシャンに楽曲提供の依頼をしていた。


『うたばん』(1996.10.29)
ゲスト:小沢健二

中居:小沢さんは、タカさんなんかとんねるずになんか曲をこう。
石橋:そう。僕、頼んだのよ。
中居:ええ。提供する、しないでなんか。
小沢:そうなんですよ。それで秋元(康)さんからだったんですけど、聞いて。
石橋:そう。
小沢:で、是非書きたいと思って。
石橋:本当!?
中居:とんねるずに?
小沢:去年のやつです。なんだっけ?
石橋:去年の『ねる様の踏み絵』。
中居:はいはいはいはい。

1995年10月。とんねるずがTBS火曜日21時の枠で始めた最初の番組が『ねる様の踏み絵』。その番組の曲を小沢に依頼していた。

小沢:そう。あれで、憲武さんがいて2人だから、ワム!みたいなやつがいいかなと思って。
石橋:ワム!だよ。「♪タラララッタタララ~ラ タタタ~タタ~」(『バッド・ボーイズ』)だよ。
中居:……
小沢:それで、ワム!が『ウキウキ・ウェイク・ミー・アップ』っていうのやってて。
石橋:ワム!が、なんかすごくアイドルアイドルしてる頃ですよね。
小沢:そうそう。最初に売れた時ですかね。
中居:じゃあもう、かなり前。
小沢:それで“ウキウキ”っていうのがいいなと思ってたら、段々それが膨らんできちゃって、『痛快ウキウキ通り』っていう自分の曲になってですね。
石橋:……それじゃあ、何もなってねえんだなあ、おい。
小沢:ふふふ(笑)

とんねるずに提供するはずだった曲が、小沢健二のヒット曲に変わってしまった。



『うたばん』(1996.12.10)
ゲスト:篠原涼子

石橋:前は陽水さんに書いてもらって、今回は清志郎さんで。
中居:そう。小室さんに書いてもらって、陽水さんに清志郎さんですもん。
石橋:いい人書いてくれますよね、みんなね。
篠原:そうですね。

小室哲哉から『恋しさと せつなさと 心強さと』『もっと もっと…』『Lady Generation』。
井上陽水から『ダメ!』。
そして、今回の忌野清志郎からは『パーティーをぬけだそう!』。

大物ミュージシャンから楽曲提供されている篠原涼子。

石橋:俺なんか小沢健二くんに裏切られて。
中居:(笑)
篠原:(笑)
石橋:みんな書いてくんねえもんなあ。

依頼はするが、叶わず。

石橋:こないだ、つんくにも頼んだんだけど。
中居:うん。
石橋:「ダメですよ、曲っていうのは自分で歌わないと。やっぱり人にやっちゃうと、なんか愛着とかそういうのありますからね」。
篠原:ああ。
石橋:ダメだって。
中居:ダメ?
石橋:ダメ。

とんねるずの大ファンでもあるつんくにも断られていた。

中居:でも秋元康さんがいっつも書いてくれてんですよね。
石橋:う~ん、まああの人ほら、おもしろいの書くの上手いからね。
中居:ふふふ(笑)。おもしろいの?
石橋:おもしろいの。
中居:やっぱ良い詞つくるじゃないですか。

頼みの綱は秋元康。



『うたばん』(1997.12.9)
ゲスト:ウルフルズ

   ウルフルズが登場するとすぐに、
石橋:いつ曲書いてくれんだよ!
トータス:怖いなあ(笑)。さっきもいきなり楽屋現れてビックリしましたよ。
石橋:曲書いてくれって頼んで、今回すいません」。
トータス:いやいや、そうそうそうそうそう。
石橋:電話、携帯一回だけ入ってたよ。
トータス:あ、入れたでしょ?
石橋:うん。
トータス:そうなんですよ、すいませんもう。

トータス松本にも断られる。

石橋:で、ヒマになった?
トータス:いや、忙しいんですよ。
石橋:ウソつけ!二十日間休みあったって書いてあんじゃねえか。
トータス:ははは(笑)
中居:あら、辻褄が合わないですねえ。
トータス:それは休みじゃないですか。
石橋:何?休みの時書いてくんなきゃ、いつ書いてくれんだよ!嫌いなんだろ?
トータス:(笑)
石橋:言ってくれよ、ハッキリ。
中居:タカさんは本当芸能界の人、敵を作るの好きですね。
石橋:初めての時、「握手してください」って言って、俺、あん時握手してやったや~ん。
トータス:(笑)
石橋:冷てえよな、ウルフルズ~。
ジョン・B:いや、じゃあサンコンが書きますよ。
トータス:そうそうそう。
石橋:あ、じゃあ自分で書く。
中居:ウルフルズのメンバーみんな一緒じゃないですか!
石橋:だってサンコン(ドラム)叩くだけじゃ~ん!
トータス:はははは(笑)

サンコンではなくトータスに書いてほしい。
だが、結局提供されることはなかった。



野猿

1998年4月。とんねるずは番組スタッフと結成した野猿でCDデビュー。


『LOVE LOVE あいしてる』(1998.5.2)
野猿として出演。

光一:どうですか拓郎さん?このグループ。
拓郎:知りませんよ(笑)
光一:「知りません」(笑)
石橋:拓郎さん、2曲目書いてくれませんか?
拓郎:イヤ。イヤ。
剛:これはちょっと。
拓郎:イヤ!
木梨:数秒で断られたぞ。「イヤだ」って。

吉田拓郎には相手にもされない。



『うたばん』(1998.7.7)
ゲスト:Kiroro

1995年11月。高校時代に作っていた曲を、卒業記念に沖縄の”貸しスタジオ”でレコーディングしていた。

石橋:ちなみにこのさあ、卒業記念のレコーディングで、”貸しスタジオ”で歌った曲はなんなの?
玉城:『すてきだね』と、あと別の『僕らはヒーロー』と、あと『恋に恋して』っていう他の曲があるんですけど。
石橋:あ、まだあるんだ?たくさん。
金城:あります。
石橋:くれ!
玉城:えっ!
金城:ええ!
石橋:いいじゃねえかよ。
中居:なんで?
石橋:歌ってみるよ、俺。
玉城:あ、本当ですか。でも私(とんねるずの)コンサート行きましたよ、沖縄に来たとき。
石橋:おお!良いコンサートやったろ?
玉城:良いコンサート!感動しました!私。
石橋:なあ?
玉城:それから好きになってって感じで。
石橋:じゃあ、くれよ曲。
玉城:えへへ(笑)
中居:じゃあ俺にもくれよ。
石橋:いいじゃねえか玉城、くれよ!

玉城:やってみたいですけどねえ。
石橋:くれよ。
中居:くれよ。俺とタカさん一緒に歌おうぜ!キロロじゃなくてなんか…
石橋:クララ?
中居:あははは(笑)
石橋:くれよ~。
玉城:考えておきます。
金城:でも青春の歌だから、(オジサンには)あんまり歌えないかもしれない。
石橋:ブッ飛ばすぞテメー!
金城:いやーーー!

楽曲にストックはあるが、あげる曲はない。



そして、すでに断られたつんくが登場。

『うたばん』(1998.10.27)
ゲスト:シャ乱Q

中居:だって以前、タカさんにこう…
石橋:つんく、俺にTMCの楽屋で言ったんだよ。
中居:え、なんて?
石橋:「僕は自分の作品を人に与えるってことは出来ないんですよ」。
つんく:(渋い顔)
中居:タカさんは一応依頼したんだ?
石橋:そう。「つんく、ちょっと頼むよ、一曲作ってくれよ、とんねるずに」つって。「いや、タカさんからのアレですけど、子どもみたいなもんなんですよ自分の作品って」。
まこと:ふふふ(笑)
つんく:(頭を抱える)
石橋:「前に一回、人に作品あげて全然違う感じになっちゃって、それ以来もう二度と自分の曲は人にあげまいと決めたんです」。
中居:もう決めたんだ、そこで。
石橋:「そうか。それじゃ無理言っちゃイカンな」。
中居:ああ、そこで断定しちゃったわけですか。

つんくが頭を抱え、渋い顔をした理由。

石橋:そしたら、「あれ?モーニング娘?」。
つんく:ふふふ(笑)

楽曲提供どころかプロデューサーを始めたつんく。
だけど、とんねるずのプロデュースはしない。



『うたばん』(1999.2.2)
ゲスト:Mr.Children(初出演)

桜井和寿が思う野猿

桜井:野猿さんっていうのは、逆にその、世の中の状況を逆手に取ってるアーティストなんですよ。
石橋:やっぱ良いヤツなんだな!(桜井と握手)
桜井:だから、新しいあり方ですよ。毒を持って毒を制すんですよ。
石橋:野猿の曲1曲書いてくれよ。(お願いの握手)
桜井:ははは(笑)

桜井には笑顔でかわされる。


その後、2008年。DJ OZMAと矢島美容室としてデビュー。

『おまえが欲しい』発売から28年。とんねるずの新曲はまだ出ていない。

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