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週刊プロフ

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中央アジアの炊き込みご飯「プロフ」を愛する人たちが、毎週プロフについてアツく語るマガジンです。
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2018年10月の記事一覧

プロフのきほん その4

プロフは米料理であるので、もちろん米が主役である。中央アジアのバザールで米売り場を覗くといろいろな種類の米を見ることができる。白米や赤米、短粒米や長粒米など様々である。中国南部の長江の下流域で始まった稲作はさまざまなルートを経て中央アジアへ伝えられた。中央アジアへはいつ、どのような経路で米が伝えられたか詳しいことはわかっていないが、中央アジアは東西交流の経路にあたり常に人や文化が行き交う地域であるので米の伝来は数次にわたってもたらされたのであろう。 これまでの週刊プロフ「プ

プロフのきほん その3

前回の週刊プロフでは中央アジアのプロフに欠かせない材料である米とニンジンと羊肉のことを紹介した。今回はこのうち羊肉のことを取り上げてみたい。 もともと中央アジア南部のオアシス地帯の定住農耕民の間で広まったご馳走であるプロフには羊肉が欠かせない。この羊肉であるが今でこそバザールの肉売り場で簡単に手に入れることができるが、かつてオアシス都市自体はそれほど大きくはないので大量の家畜を飼育することは難しかったのではないだろうか。そこで目を向けるのは中央アジア北部に広がるステップと呼

プロフのきほん その2

中央アジアにおける代表的な料理であるプロフは米の他に羊肉とニンジンを使ったものである。これにニンニクやヒヨコ豆などの豆類、あるいは干しブドウやバーベリーなどが加わり味付けのアクセントとなる場合もある。中央アジアに隣接するイランではディルなどのハーブを混ぜ込んだりするなどバリエーション豊かなポロを見ることができるのが中央アジアとの違いである。もともと同じペルシア文化圏に属するイランのポロと中央アジアのプロフでは使われる材料が異なるのは地域性であると言うことができる。 今回の

プロフのきほん その1

中央アジアの代表的な料理のひとつがプロフという炊き込みご飯である。今週からの週刊プロフは『プロフのきほん』と題して4回にわたってプロフの基本的な情報について私見を交えて紹介していきたい。 プロフは大量の油で炒めた羊肉やニンジンなどの具材を、その炒め油と水で米を炊き込んだ料理である。黄色く染まった米はスパイスによるものではなく大量に使ったニンジンの色である。中央アジアの料理の味付けの基本は塩とクミンのみというシンプルなものが多いのであるがプロフも同様である。しかも羊肉の炒め

最終章 文化は流れるもの

〜炊き込みご飯VS炒飯 or 炊き込みご飯→炒飯?〜 よく訊かれる質問として、 “炒飯とプロフ”って何が違うの?” というものがある。 その違いは、前者が ・既に炊いた米を炒める(加熱調理する) プロフは ・生の米から炊き込む という事だ。 中国や東南アジアでは焼飯(炒飯)のイメージが強く、炒飯の他にも韓国の炒飯(볶음밥…ポックムパプ と呼ばれる。炒めたご飯 の意)、タイのカオパッ(ข้าวผัด…意味は上に同じ) などは日本人にもよく知られており、一般的な食堂でもよく見か