お前の知らないライミングの世界2
前回はライミングの効果や基本的な踏み方について書いたけどここからはさらに深くライミングについて考えよう。応用編だ。
①完全韻と不完全韻
1.完全韻(パーフェクトライム)
そのままだ、母音を完全に揃える。特に例を挙げる必要はないと思うが、楽曲で使われた完全韻の中でも最も長いかもしれない有名なライムを挙げておく。
というかDragon Ashはヒップホップグループじゃない。ロックバンドだ。まあ元々ミクスチャーロックをやっている関係で、ヒップホップを取り入れていた時期もあったが、それを差し置いても並のラッパーを超えてくる何かがある。
そういえば降谷建志、最近MEGUMIと離婚したね。
2.不完全韻(インパーフェクトライム)
これがじつはかなりややこしい。色々タイプがある。
•case1 単語の頭と尻だけ踏む
「なまった/なめた」「パッション/パーカッション」で踏んでいるが、完全に母音は揃ってない。しかしとりあえず単語の頭とケツだけ踏んでれば間がなんであれ全部踏んだように聞こえるのは不思議だ。
•case2 フロウをつけ無理やり踏む
韻マンの語感踏みは有名だ。母音を揃えず歌い方や、文字通り語感で無理やり踏んでくる。韻マンはこのバトルで遅刻し、終始「すみませんでした」で踏み続けたというのは有名な話だ。
「紅の豚/スペシャリスト集団」は本当によく出来ている。とくに「豚/集団」が顕著で、「豚」を「ぶーた」伸ばして歌って「集団」と踏めるようにしている。
•case3 「ん」「ー」「っ」などを無視、または無音化
伝説のライム。もうずっと踏んでいる。
「一度きりの人生/1秒1秒死へ」を見ると、「一度きりの/1秒1秒」の「びょう」の「う」を無声化していて、「人生/死へ」で「じんせい」の「ん」と「い」を無声化している。
case2とややかぶってる内容かな。
不完全韻を覚えただけでもライミングにおいて選べる言葉の幅が広がるのは確かだ。
②同音踏み(ホロライム)
今までは母音のみを揃えていたが、今度は子音まできっちり揃える。ダジャレといえば分かりやすいか。踏んだことが一目瞭然なのが良い。
前者は「逆撫で/魚で」「イワシ•タイの差/
言わしたいのさ!」
後者は「スリッパ無し/(出)す立派な詞/擦りっぱなし」で同音踏みが使われている。
後者のFORKのバースは伝説とされているライミングだ。FORKはこれ以外にも同音踏みを多用するので気になるようであればチェックして欲しい。
③頭韻
短歌でも多用される大変ポピュラーな手法だ。音節の頭を同じ音で揃える。逆の「脚韻」もあるがそちらはあまり使われない。
「(柿)くへば (鐘)が鳴るなり法隆寺」
「(メ) ジャーの (メ)ディア戦略よりも(目)に焼き付ける (目)からうろこ」「(革)命起こす(拡)声器」
と言うように、言ったら「『か』で始まる言葉を並べる」みたいなことだ。
漢 a.k.a GAMIは頭韻が特徴的ということでよく取り上げられる。
CODEな会話のこちらのリリックは怖いぐらい頭韻が踏まれており、これを超える頭韻はあるのかとすらも思う。このバースを書いたDEV LARGEもまた好んで頭韻を使う。恐るべし。
そしてこの③の項目の文章自体にも頭韻がめちゃくちゃ使われている。俺は頭韻が1番好きです。気になりゃ読み返せ。
④セミライム
単語同士ではなく中途半端な所で踏んだり、一旦別の音を挟んだりする踏み方だ。
「どこまで/追っかけ/国家権/の『かけっ」で踏まれている。「の『かけっ」の中途半端な感じが特に顕著だと思う。こちらの踏み方もライミングにおける言葉選びの幅を大きく広げる。
まとめ
ライミングに関して喋るのはおそらくこれが最後だ。今回の内容はどちらかというとラップ向けだけど、何かヒントになるようであれば幸いではある。
こう考えると韻ってメチャクチャ面白いなとつくづく思う。
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