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短編ホラー「The Oldest View」に感じたVaporwave的趣向


自分はよくネット音楽を嗜む、まあ時おり嗜む程度ではあるんだけど、Vaporwaveもその一つだ。Vaporwaveがなんたる物なのか気になる人はググって欲しい。

大雑把に説明するとVaporwaveとは2010年代にインターネットを中心にブームとなった音楽ジャンルだ。

これからする話は、そのVaporwaveに関する俺がどうしても話したかった話だ。

Backroomsシリーズで一躍時の人となった若き映画作家、kane pixelsが「The Oldest View」を公開した。前作同様ファウンド•フッテージもので、4つの動画からなる。まだ観たことがないという人は、是非観てほしい。


①The Oldest View - Renewal

The Oldest View1本目の動画、この時点では多くは明かされず、ダンボールで組み上げられた顔の模型が映し出される所で動画は終わる。

②The Oldest View - Beneath The Earth

とある男のファウンド•フッテージ。森の中に空いていた穴を覗くと階段があり、降りるとショッピングモールのような空間が広がっている所で動画が終わる。

③The Rolling Giant (The Oldest View Part 3)

前回の続きとなる動画。
地下に続く階段を降りると、そこは取り壊されたはずのショッピングモール「バレービューモール」のコピーだった。一通りモールを探索した撮影者は、地上に帰るため降りてきた階段まで戻るが階段は崩落しており、モールに閉じ込められてしまう。

仕方なく探索を続けることになった撮影者。ある時、暗闇の中に静かに佇む巨人の人形を発見するが……

④Life Of a Giant

バレービューモールに設置されていた巨人の誕生から、その末路までを追った動画。モールの繁栄と衰退、失われていく希望。大量消費社会からは切っても切り離せない宿命とそれに対する哀愁が詰まっている。


ここでVaporwaveの本質的な意味合いをおさらいしよう。

ヴェイパーウェイヴ(またはベイパーウェーブ、蒸気波、英: Vaporwave)は、2010年代初頭にWeb上の音楽コミュニティから生まれた音楽のジャンルである。 過去に大量生産されて忘れ去られた人工物や技術への郷愁、消費資本主義や大衆文化、1980年代のヤッピー文化、ニューエイジへの批評や風刺として特徴づけられる。

wikipediaより

The Oldest Viewは、Vaporwaveそのものだった。「過去に大量生産されて忘れ去られた人工物や技術への郷愁」はさることながら、Life Of a Giantで使用されていたBGMもVaporwave的なケムい加工(スローダウン、リバーブ)が用いられているし、The Rolling GiantはVaporwaveの派生ジャンルであるmallsoftに十分該当する。

自分はVaporwaveを音楽的な特徴でしか捉えることが出来ず、本質の部分をなかなか理解できなかった。そもそもVaporwaveは登場してから時が経つに連れて本質が失われ「死んだ」とすらも言われている。しかし、The Oldest ViewはVaporwaveの本質を、映像作品として誰にでもわかる形で提示してきた。Vaporwaveを知らない人にすらVaporwaveを感じさせる。それがすごいなと思うわけ。


ちなみにこのショッピングモールと巨人像はかつて実際に存在している。気になる人はそちらもチェックして欲しい、物語の真相により近づけるかも……。

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