Centerに込めた想いなど
今回はちょっと趣向を変えまして、私たちがCenterに込めた想いや、実際に運営してみてこんなことを感じているということを整理してみようかと思います。少しこっ恥ずかしい気持ちもありますが、店をやる上で大切なことなので書き留めておきます。
Centerのコンセプト
Centerは栃木県鹿沼市にある、「明日が少し楽しくなる」をコンセプトとしたアーティストが運営するオルタナティヴ・スペースで、1階に多目的スペース、2階に宿泊施設を併設しています。新しい世界を発見したい人や旅人の拠点、実験的な表現活動の場、そして新たな文化が醸成される世界で唯一無二の場所を目指しています。
夫婦2人で運営していますが、2人とも新たな物の見方や世界を発見することにワクワクするのが共通点です。開業の地を鹿沼に決めたのも、まだ知られていない物事がたくさんありそう=掘りがいがありそう、と感じたのが大きかったと思います。実際に、次から次へと魅力的な人や場所に出会い、まだまだ鹿沼を知り尽くせていない『鹿沼2年生』の我々です。(2024年8月で『鹿沼3年生』になります)
また、「大人も子供も楽しめる」というのもキーワードで、子供が産まれてから遠ざかってしまいがちな表現活動や旅を実現するためのスペースでもあります。(実際、子供を連れての美術館やギャラリー、ライブハウス、旅行はとてもハードルが高かった経験をベースにしています。)
鹿沼やCenterを楽しむには
Centerをオープンしてもうすぐ2年、実に様々な方々にご利用いただきました。肌感として、鹿沼やCenterを目的地としてお越しの方は全体の3割くらいで、他は東北への道中だったり、日光や宇都宮への訪問者だったり、仕事やイベント参加でご利用の方もいらっしゃいます。
中にはたまたま日光方面に行く際にCenterに泊まっただけのはずが、気づいたら街の人たちと仲良くなって最高に鹿沼を楽しんでくれて、関西まで行ったのにまた鹿沼に戻ってきてくれた海外のクリエイターもいて、鹿沼のモチーフを制作に活かしたいとのことで今でも連絡を取っています。一方で、時には何も言わずにサイト上で残念な星評価だけを残していかれる方もいらっしゃったり、、そんな中で鹿沼やCenterはこんな方に楽しんでいただけるのではないかな…と最近感じています。
・自分で楽しいことを見つけたい方
・なんでも用意された観光地にはちょっと飽き飽きしてる方
・違いや発見を楽しめる方
逆に言うと、観光名所を巡りたい方、定番や主流に安心する方、用意されたシチュエーションで楽しみたい方にはあまり満足してもらえないかもしれません。そんな方はぜひ有名観光地の大手チェーンホテルをご利用いただくのが良いかと思います。鹿沼は観光地ではないし、Centerはあいにく普通のホテルではありません。。
また、鹿沼の特徴として、人とのちょうど良い距離感というのがあると思います。向こうから土足で踏み込んでくることはありませんが、こちらから興味を持つと、あれこれと教えてくれたり案内してくれたり。勇気を持って一歩踏み出すと、どんどんと繋がっていくのが面白いところだと感じています。Centerも、毎晩パーティーが開かれるようなゲストハウスではなく、ゆったりと過ごしつつ、緩く情報や人の交流が生まれる場所でありたいと思います。
複合施設としての機能
Center1Fのスペースでは、私たちが活動してきたフィールドである実験音楽や実験映画を軸に様々なイベントを開催してきました。軸はありつつも、2022年8月のオープン以来、2年間でかなり濃い企画が出来たかなという自負があります。(EVENT参照)
・ライブイベント
・上映
・ワークショップ(振動、フィルム、現代美術、光る泥団子、等々)
・バー、スナック、昼呑みイベント
・音楽トーク
・まちあるきイベント
・マルシェ的なイベント
・夏祭り
・展示(現代美術、サウンド・インスタレーション)
・ラジオイベント(朝市)
・盆踊り
・お茶会
これはひとえに「面白そうなことはやってみよう」という我々の実験精神の賜物であると同時に(?)、鹿沼でやるからには地域の皆さんと一緒に楽しみたいという想いから来ています。イベントには鹿沼市内や栃木県内のお客様をはじめ、時には県外や都内から駆けつけてくださる方や、2Fに宿泊中の海外のお客様が参加してくれることもありました。また、今年3月には滞在制作のため、イギリスのアーティストが3週間ほどCenterで過ごし、そこから生まれた地域の発見や新たな出会いもありました。
1FのショップではCDやアーティストの制作物、鹿沼木工、街や旅をテーマにしたZINE(個人が制作する出版物)も取り扱っており、Centerから各地へ、各地からCenterへとつながる役割も果たしています。
今後もCenterならではの企画や作品取り扱いを続けることで、Centerを目的地として世界中から様々な人がやってきて、Centerが情報の発着地となることを目指しています。
尖っているけど開かれた場という矛盾
実験実験と言いながら、実は言うほど尖っている人間でもなく、周りのアーティストを見回すとつくづく自分は平凡だな~と痛感します。しかしながら、平凡だからこそ出来ることもあると、出来る限りイベントや出演者、取り扱い作品のことを分かりやすく説明したり、誰でもがアクセスしやすい開かれた場になるよう心掛けています。ただ、それ以外にもCenterが開かれた場になっている要因が大きく3つあると感じています。
①宿泊施設が併設
宿というのがそもそも機能的に開かれたものであり、各地から人が来ては去っていく場所です。常に新たな出会いや別れがあるので、人や情報が滞ることなく、Centerの風通しを良くしているように感じています。
また、宿というのは地域との連携が欠かせない存在でもあり、周囲の飲食店をはじめ、魅力的なスポットや人々との連携や協力があるからこそ、成り立っている部分も大きいです。(この場を借りて鹿沼の皆様ありがとうございます!)そのため、閉じたままでは成立できないという理由も大きいです。
②路上に面している
Centerの1Fは元ガレージで、通りとシームレスになっています。(※建具はそのうち設置したいので色々と画策中) 否が応でも環境的に開かれてれいるのも大きい要因だと思っています。
しかしながら、開かれた場になっているというのはやはり私たちの思い込みかなと思うこともあります。というのも、やはり地元の方々にとっては「一体ここは何の店?」という印象が主のようで、入りづらさなどを感じている方も多くいらっしゃるようです。まだまだ宣伝を頑張らなくてはと感じています。公の場所ではないので、万人に開かれている必要はないし、扱っている内容的にも誰もが楽しめる訳ではないので、変えるつもりも変わるつもりもありませんが、もう少し市民権を得られればなあと感じている今日この頃です。
③子供が出入りしている
意図せずして我が家の子供たちが近所にあちこち顔を出したり、Centerの周辺で遊んでいるのですが、それがちょうど地域とのつながりになっているように感じています。いうなれば無理やり風穴を開けているというか。(この場を借りてお相手してくださっている皆様ありがとうございます!)
そして、子供がいる場所には子供が集まってくるのが道理で、近所のお店のお子様や、出演者・お客様をお迎えするのが子供たちにとっても楽しみのひとつとなっているようで、このことがCenterの雰囲気作りにも一役買っているのかもしれません。子供が分断されない、大人も子供も新たな発見が出来る場所を目指していると同時に、子供たちの将来のためにも、(画一的なものしかないつまらない街ではなく)個性ある楽しい街であったり、多様性を認めて誰もが暮らしやすい世界に少しでも近づけばという裏のテーマもあったり、子供たちにオルタナティブな選択肢を(身をもって)提示したいという想いもあったりします。
こんな具合で、尖っているけど開かれた場所、実験的なこともやるけど子供もいる場所、といったように常に矛盾を抱えているのがCenterの宿命なのかなと常々思っています。地域でのあり方含め、模索しつつ実験しつつ、3年目も精進していこうと思います!
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