和訳(La guerre pour se plaire/1789 バスティーユの恋人たち)

1789, les Amants de la Bastille(1789 バスティーユの恋人たち)の全訳です。仏語話者というわけではないので、誤訳があるかも。見つけたらご指摘ください。

曲のタイトルの和訳は、日本公演時の邦題からとっています。

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アントワネット「嫌よ、いやよ! 私も逝かせて! 私の息子!」

[La guerre pour se plaire(この愛の先に)]

(ロナン)
ここではっきりさせたい、俺の敵として
君への愛は毒となって、この身体を蝕んでいる

(オランプ)
お願いよ、あなたの考えは私を苦しめる
あなたと戦えたとしても、あなたの気持ちはわからない

(二人)
私たちを縛り付ける鎖から
抜け出そうとして迷子になって
あなたと戦っている
自分と戦っている

それでもまた傷から目を背けるべき?
歯形の足かせを拭いさるべきかしら?
どうか諦めて 私たちは何もかも違う

私たちを惹き合わせたものが
私たちを引き離す
私たちを惹き合わせたものが
私たちを引きずりこむ
私たちを結び付けるのは
私たち自身なのかもしれない

(ロナン)
心は決めていたはずなのに、俺は変わってしまった
俺たちの想いが、戦いより強ければなんて

(二人)
隣へ来て 君の手を、俺の憎しみの上に置いて
心は満たされないだろう
君に屈しはしない いいね、屈さないよ

俺たちは信念のもとに戦うべきか?
それとも口を噤んで愛し合うべきか?
違いから目を背けて

それでもまた傷から目を背けるべきか?
歯形の足かせを拭いさるべきだろうか?
どうか諦めて
俺たちは何もかも違う

俺たちを惹き合わせたものが
俺たちを引き離す
俺たちを惹き合わせたものが
俺たちを引きずりこむ
俺たちを結び付けるのは
俺たち自身なのかもしれない

(ロナン)俺たちは戦うべきか?

(オランプ)口を噤んで愛し合うべき?

(二人)違いから目を背けて?

俺たちを惹き合わせたものが
俺たちを引き離す
俺たちを惹き合わせたものが
俺たちを引きずりこむ
俺たちを結び付けるのは
俺たち自身なのかもしれない

俺たちを惹き合わせたものが
俺たちを引き離す
俺たちを惹き合わせたものが
俺たちを引きずりこむ
俺たちを結び付けるのは
俺たち自身なのかもしれない

アルトワ伯「ルイ! 第三身分の代議員たちが国民議会の成立を宣言した。国家の代表は自分たちだけだと。国王に反抗している」
ルイ16世「私にどうしろというのだ」
アルトワ伯「貴方は国王だ、兄上――軍を動かして、奴らの政府とやらを抑え込もう。さもないと明日にでも、奴らはここに押し入ってきて、この王家を破壊して回るぞ」
ルイ16世「フランス国民を殺したくない」
アルトワ伯「奴らは貴方の民じゃない! ――先代から託された王冠は、貴方が子孫へと受け継いでいくものだ」
ルイ16世「息子は死んだ」
アルトワ伯「お子はひとりじゃない。奴らと戦うんだ。それとも、もうこの国などどうでもいいのか?」
ルイ16世「そんなことがあるわけないだろう! 人々を愛している、この国を…でも主は、私が王位など望んでいなかったことをご存じだ」
アルトワ伯「王宮の会議場を閉鎖する命令書だ。明日から施行される。第三身分の代表はどんな集会もできなくなる。――サインしろ!」