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10年以上連れ添ってきた存在と別れることにしました。

わたしとiTunes

サブスクリプションサービス全盛期の今となってはデータをデバイスに移して音楽を聞く……なんていうこともすっかり時代遅れになってしまった気もしますが、10年ほど前の当時としてはやはりiPodというのは革命的な存在でした。ポータブルMDプレイヤーからステップアップしたわたしは、その洗礼されたデザインや機能に衝撃を受けたことを覚えています。
わたしが最初に手にしたiPodは、まだ当時はClassicなどという言葉がなかった頃のハードディスク搭載の第5世代iPodでした。

iPodのデータ転送には必需品だったので、わたしがiTunesを音楽管理ソフトとして使用し始めたのはその頃だったはずです。以来10年以上わたしの音楽再生と共に連れ添ってきた存在でしたが、しかしその関係には段々とヒビが入って来ました。
iPodユーザーだったわたしはハードディスクの宿命か、数年で寿命が来てしまった第5世代iPodからiPod Classicへと移行しました。当時はとにかく160GBという大容量が魅力的で、それなりに肥大化した音楽データ群を持ち歩くとしたら少なくともiPodではClassic以外の選択肢はありませんでした。しかしそんなClassicも時代の流れの中でリリースが途絶え、Appleのニューリリースをチェックしていても一向に新たなClassicが出てくることはありませんでした。

気がつくと世間の音楽プレイヤー第一シェアはいつしかスマートフォンになっていました。わたしの愛用していたiPod Classicも案の定ハードディスクの宿命でかなりボロボロだったのですが、買い換えようにももはやClassicは新製品どころか新品すらまともに販売されていません。
大容量音楽プレイヤーを求めた時、既にハードディスクの時代ではなく、数千円で購入できるmicroSDにて十分に事足りるような状況でした。ここで私は音楽プレイヤーをWalkmanに乗り換えることになります。この時管理にSonyのソフトを使っても良かったのですが、乗り換えるのが面倒なのと、得てしてあまり評判が良さそうではなかったため、慣れ親しんだiTunesで音楽データを管理しながら直接Walkman内のフォルダに移動するスタイルになります。
わたしはスマートフォンもAndroid派でしたので、これがiTunesに拘る理由のなくなった大きな理由の一つと言えます。

それでも音楽管理ソフトとして、"機能面では"iTunesにそれほど不満はありませんでした。とはいえこのソフトがMacに最適化されていたせいか、どうにもiTunes for Windowsは動作が重さが常にネックになるソフトでした。本当に使い始めた頃はどうだったかあまり覚えていないのですが、少なくともここ数年はずっと重かった気がします。
iTunesの鈍重さを痛感することになったのは、一度Apple Musicに無料期間に釣られて登録した時です。それ以前に使っていたSpotifyのソフトが爆速というほどではなかったのですが、Apple Musicのために利用するiTunesは検索するにもいちいちワンクッション待ち時間を挟まないといけないような有様で、不満を感じることが度々ありました。他にもアップデートしたら毎回勝手にジャンル名を日本語に変えていくだとか、音声出力デバイスを切り替えたら再起動しないといけないとかそういう細かい不満が積み重なっていたのもあり、もはやiTunesに拘る理由が「慣れ親しんでいる」以外なかったわたしは、思い切って移行することを考え始めます。

foobar2000への移行

数ヶ月前、TwitterでiTunesの検索の重さについて愚痴っていた時にフォロワの方からfoobar2000を薦められました。
以来どこかのタイミングで乗り換えたいなと思っていたのですが、なかなか乗り換えのエネルギーが得られず、ハチャメチャに時間ができた最近になってようやく重い腰を上げたことになります。最近Appleアカウントが勝手にログアウトされてしまい、取り込んだ音源を聞きたいだけだしパスワードの再設定も面倒なのでそのまま使おうとしたところ、iTunesから苛烈なほどにログインを要求されたことにキレたというのもそこそこ衝動的な理由としてはあります。

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foobar2000は名前自体は前々から聞いたことがありました。当時はインターネットでデスクトップをクールにカスタマイズするのが少し流行っていた時期で、拡張性の高い再生ソフトとしてよく名前を聞いた記憶があります。当時のわたしは難しかったのでもっと簡単なWinampを使ったりしていましたが、いつしかデスクトップをクールにカスタマイズする事自体がどうでもよくなったので結局慣れたiTunesを利用していました。ちなみにわたしが今でもショートカットをデスクトップにあまり置きたがらないのはその時の名残です。

しかし今はイケてるスキンのfoobar2000が必要なのではなく、純粋に軽いiTunesであるfoobar2000であれば良いのです。イケてるスキンを求めていたあの頃からは随分ハードルが下がったように感じられました。

とりあえずインストールをしたわたしは、いつものようにインターネットの知恵を存分に頼ることになります。

すんなりColumns UIのインストールiTunes Mediaフォルダの読み込みまで済んだわたしは、その時点でそれなりにiTunesめいたfoobar2000の姿に感激しました。この時点で7割ぐらい成功だろうと高をくくっていたのですが、こういうのは得てして残り3割を整えるのが大変ということで、それなりに苦労することになります。

foobar2000を整える

わたしは普段音楽をアルバムごとで聞くことが多いのですが、アルバムがアルファベット順で並んでいるよりもリリース順のほうが気分が良かったので、iTunesでも”読み”を入力することによってリリース順に並べ替えていました。以下はiTunesの画面です。

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このように「A - 年/月/日 アルバム名」という感じで入力することで、どのようなリストにおいても年代順に表示されるようにしていました。アーティスト毎の選択だけではなくジャンルの選択でもかなり簡易にですがその歴史がアルバムの並びになったような心地がして、なかなか気に入っていました。シングルが混ざるとわかりにくくなりますので、その際は頭のAをSにすることでアルバムが固まって表示されるようにしていました。

しかしこの"読み"はiTunesの機能なので、foobar2000においてそのまま表示というわけにはいきません。
iTunesにおける"読み"が曲データのタグでは<ALBUMSORTORDER>であるとか<ARTISTSORTORDER>であるということを理解して、

Preference/Columns UI/Filters/Behavior

の設定を

%ALBUMSORTORDER% - %ALBUM% -%DISCNUMBER% - %TRACKNUMBER% - %ARTISTSORTORDER%

という感じにしてリストの並べ替えをしたのは良かったのですが、Filterパネルのアルバムの欄まで反映させることができませんでした。
本当はそこもiTunes同様「アルバム"読み"での並び替え」かつ「表示は読みではなくアルバム名」という形にしたかったのですが、「アルバム名表示だとそのままアルファベット順」にどうしてもなってしまい、「A - 年/月/日 も表示して並べ替える」という手段しか自分の理解ではわかりませんでした。読みまで表示してしまうと見た目がスマートではないですし、わたしの入力ミスで若干書き方が違ったりすることがあり、ソート上では問題ないですが表示としては見るに堪えず、全部を直すのもあまりにも手間、という壁にぶちあたりました。
結局のところ、Filter/AlbumのFieldを

[%Date%] %album%

としてアルバム名の先にリリース年だけ表示することでなるべくスマートに並べ替えることにしました。”月”以下はアーティスト単位であれば表示しなくてもほぼ困ることはなく、表示としてもそれなりにスマートです。
これだとシングルとアルバムが混ざってしまうことがネックだったので、シングルのリリース年のDateを全部消すことも考えたのですが、それも面倒なのでSpotifyなどのサブスクサービスのようにアルバムとシングルなどでタグを分けてもう一つFilterを設けて分類すればいい、と思いつき、iTunesのグループ相当の<GROUPING>のタグに「Album」や「Single」と入力することにしました。シングルを購入してあるような一部のアーティストだけ分ければいいので、個人的にはそれほど手間でもありません。

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あとわたしはAlbum Artistをそこそこ設定していて、これはコンテンツ系の楽曲の整理に大変便利でした。例えばリステというコンテンツにはKiRaRe、ステラマリス、オルタンシア……などいろいろなグループやその上ソロなどもあり、"アーティスト名"が次々に増えていってしまうことが悩みでしたが、これをAlbum Artist:”Re:ステージ!”とでも統一しておけば一つのコンテンツでまとめることができます。他にもオムニバス盤や”feat”付きの楽曲などを管理する際にも変に乱雑になることを避けることができます。
iTunesはAlbum Artistが設定していれば優先表示、そうでなければ通常のArtist表示、という風にいい感じにできたのですが、foobar2000ではそうもいかないようです。なので一括でAlbum Artist表示にしたのですが、そうなると設定されていないデータがすべてAlbum Artist""Various Artist"になってしまうらしく、抜けているところをすべて埋める必要がありました。これは仕方がないので地道に入れましたが、データ編集もそれほど苦ではない仕様だったのは本当に助かりました。iTunesだと反映時に次のウィンドウを開いたりはできなかったですからね。

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ということでひとまずこんな感じに落ち着きました。
タグをつけてアルバムやシングルを分類することで、ライブ盤だったり編集盤だったりといったものを整理することができるようになったのは嬉しいメリットですね。

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それほどバチバチにイケてる感じにいじったわけでもないですが、パネルを並べるだけでもよくわからなくて結構苦労しました。わたしは「英語は何言ってるかわからないから海外の曲はイイよね」などとヘラヘラしているぐらい英語が苦手な人間でしたので、日本語の解説を読みながらとはいえ何がどうなっているかの最低限の部分をまず理解するのに苦労しました。
iTunesから離れたのに見た目かなりiTunesで、別れた恋人のことを忘れられないみたいな感じになっていますが、そりゃ10年以上つきあってたら生活スタイルだって多少はそれに合わせて変化したりしてしまうものです。多分。まあわたしはそのあたりの人間の性質のことはよく知りませんが……。

とにかくめちゃくちゃ軽くて満足しているし、検索も本当に軽快でこれだけでも一日頑張った甲斐があったなと思っています。
ということで特に他の方の参考になる話でもないですが、個人的な覚書の話でした。

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