オランダへ
寝る前のSNSパトロールをしていたら、アムステルダム音楽院の「フォルテピアノのマスタークラスを来週(!)行います。これはショパン協会とのコラボで、Olga Pashchenko先生かJanusz Olejniczak先生のレッスンが受講できます」という投稿が流れてきました。アムステルダム音楽院のページはいいね!とかしてないのに、なんで出てきたのか、Metaは怖いというかiPhoneは恐ろしいというかですが。
留学先を悩んでいたときに最後まで候補にあったのがアムステルダムでOlga先生に習うことだったので、どこかで一回レッスンを受けたい、とずっと思っていたのでした。サクッといける隣国で、無料で、しかもショパン協会とのコラボという特別なイベントでお会いできるならそんなに願ったり叶ったりなことはありません。
私は日本にいたときも、自分の意志で海外の先生のマスタークラスに申し込んだことがほとんどありません。過去3回くらいだと思います(うち2回はPieter-Jan Belder先生)。ですから海外での講習会など参加しようと思ったこともありません。コミュニケーションもとれないし海外怖いし国内に素晴らしい先生はいっぱいいるし、というのがこれまでは大きな理由だったのですが、ベルギー生活にもだんだん慣れてきて、まあひとりで他の国に行ってもなんとか生きて帰ってこれそうだし、レッスンもどうにでもなる!と思えるようになったので、ひとまず申し込んでみることにしました。留学は人を圧倒的に成長させてくれますね。
CVとEducation historyを送ったら、学外の学生なので参加可否は来週月曜に送ります、と返ってきました。いやマスタークラスまで3日とかになるでな?!ギリギリだな!!実際にメールがきたのは火曜日で、私は金曜日にOlgaのレッスンを受けられることになりました。
直前すぎてThalysなどは高くて手が出ず、アントワープでの因縁FlixBusを往復で取りました。金曜日は午後からでしたが遅れたくなかったので前の日にオランダ入りしてちょっとオランダ観光して、ハーグのお友達のおうちに泊めていただいて、金曜のマスタークラスに備える、という旅プランになりました。
私は大のミッフィー好きです。でもベルギーにはミッフィーは全然いません!!ミッフィーショップなんてありません!!!東京駅が恋しい!!!生まれ故郷の隣国なのになぜ!!??というわけでマスタークラスの前日はユトレヒトに行って一人でミッフィー観光をしました。50€まではグッズを買っていいことにして、大きなぬいぐるみと他にもちょこちょこ買って帰りました。みひ活が捗って幸せです。家にたくさんミッフィーがいると安心します。
夜はハーグに住む仲の良い友人が彼女の友達と餃子パーティーをするというので混ぜてもらいました。韓国人のヴィオラ弾きさんとフィンランド人のバリトンさんだったんですが本当にいい人たちで、絶対にまた来る!!と思いました。
さてマスタークラスですがめちゃめちゃ楽しかったです。私はバルカローレを弾いたのですが、弾き終わってOlgaの一言目は「あなたチェンバロ弾く人でしょう」でした。アウフタクトからアップビートの作り方がどこからどう聴いてもチェンバロ弾きらしいです。「You are a PIANIST!!!!!!!18世紀のことは忘れて」って15回くらい言われました。ブリュッセルでもレッスンのたびに「18世紀っぽいねえ〜」と言われまくっているので、やっぱりそこが課題ですね。。
Olgaのレッスンはとにかく楽譜をよく見る、あとよく議論する、という感じで、どうしてそこでペダルを踏んでいるの?どうしてそこは休符にしないの?スラースタッカートになってませんよ?とめちゃめちゃ細かく一緒に楽譜を見ました。こうしなさい、みたいなことはあまり言われず、こう弾きたいならどうしようか、という議論ができるレッスンはとても新鮮でした。
部屋の都合で私はエラール、Olgaはモダンピアノを弾いていたのですが、Olgaはモダンピアノもうますぎました。あれこそなんでもできる人、ケンバニストですね。
古楽器なるものを学んでいるとどうしても歴史とか歴史に基づくスタイルにフォーカスを置きがちですが、Olgaはロマン派の美学やピアニズムをとても追求していて、18世紀の延長にあるロマン派ではなくて、ロマン派の時代を生きた作曲家たちが表現したかったもの、打破したかったもの、みたいな、なんていうんですかね、スタイルとかってより楽譜から読み取れる作曲家個人の感情を大事にしているようでした。「歴史順に見るのは大事だけど、人は一回18世紀を勉強すると、それらに触れる前にはできていたはずの"ロマン派を歌うこと"ができなくなる」とおっしゃっていて、本当に刺さりました。わかる〜〜〜わかるんだけど〜〜〜〜〜〜〜〜できねええええええ!!!!!!修行!!
45分のマスタークラスはあっという間で、レッスンの最後は「まだまだ言い足りないけど!あはは!またね!」で締められました。笑
アムステルダム音楽院は最近建て替えられたかなんかでとっても広くて綺麗で暖房効いててトイレも綺麗で最高でした。あまりにも広いので迷子になってしまって笑、アムスに留学中で日本に一時帰国中の後輩にテレビ電話して道案内してもらいました😂Sちゃんありがとう!
さあレッスンは終わって、ブリュッセルに戻ろうとしましたが…一筋縄ではいかないのがヨーロッパです。私は16時アムステルダム発ブリュッセル北駅直行のFlixBusを予約していましたが、始発駅なのに16時になってももちろん来ません。アントワープのときは始発駅じゃなかったのでわかりますが…まあそれがバスだよなと思っていましたが、16:35ごろになっても来なくて、まだかよみたいな空気が停留所に充満してきたころ、16時発ではなくて17時発のバスが先に来ました(!!????)。16時発もこのあと来ますから〜と職員さんに言われましたが、16:55、16時発はキャンセルになりました、とメールが来ました(!!!???????)。もちろん別の便への振替や返金もできますが、17時発は直前すぎて目の前にいるのに振替ができず、18時発を待つしかなくなってしまいました。結局2時間も遅れるやんけ!!こんな寒いなかもう1時間も待てるか!!!
この日はベルリンから高校大学大学院の同期がブリュッセルに来てくれて会う約束をしていたので、私はどうしても早くブリュッセルに戻りたくて、17時発のバスの準備をしていた職員さんのところに行って「どうしても早く帰りたい、こんなに寒い中18時まで待ったら死んじゃう、これに乗せてください」っと詰めたら、私と、私と同じようなことを要求していた数人を乗せてくれました。もちろん律儀に18時発に振り替えて待ってる人も結構な数いたと思います…交渉と諦めない気持ち大事。こういうクレームみたいな場面だとスラッスラ英語が出てくるのはなんなんだろう。笑
予定より1時間半遅れでブリュッセルに辿り着き、友人とは無事に会えました!
FlixBusはとにかく安いのでこういうことがあってもしょうがないのですが(でもThalysも高いけどトラブルばかりでは?????)、こういうことがあると日本のしっかりオーガナイズされた環境が恋しくなります…
というわけで約30時間のオランダ旅は、とっても濃厚で楽しい時間でした。陸路で国境越える感覚って日本にいると持ってないので毎度新鮮ですね。次はイギリス!
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