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逮捕されて、留置場に行ってきました【女子留置場編】 警察署から留置所へ

前回、警察署での一連の流れを書きましたが、その後どんな事があったのか、警察署から留置場へ移送された時に起きた事を書いてみます。

前回⑥で、弁護士への連絡について記載しましたが、思い当たる弁護士が居なければ本当に誰にも連絡される事なく、そのまま留置場にて勾留されることになります。という事は、ニュースなどで報道されなければ、2日間くらい所在不明となる可能性があります。報道されたとしても、自分が知って欲しい相手に必ず伝わるかどうか分かりません。誰もが「お宅の誰々が捕まったね」と、直接は言わないでしょうから。

もしも家族(或いは、恐らく知人でも)が異変を察して管轄の警察に連絡をしてきたら、お話できる。でも、警察からは連絡できない。

これが、警察のルールのようです。

逮捕され、勾留が決定した時点で弁護士を指名できる人はそんなに多くないはずです。指名できる人は、過去に弁護士に依頼しないと解決できない問題を抱えた事のある人、幸運にも友人や知人に弁護士がいる人、または会社経営者等で顧問弁護士が居る人くらいでしょうか。初めて逮捕された人は、かなり戸惑うと思います。

私は思い当たる弁護士が居たので留守電に連絡を入れて貰いましたが、私の家族の連絡先などは知らない先生で、実際に留置場に来て貰えるか分からない状況でした。「んー、今日は無断欠勤決定だな」と思いながら、心配しすぎても仕方ないので、思考を一旦ブロックしました。もう一度言いますが、弁護士と会えなければ、本当に誰にも連絡できないんです。

さて、移送に話を戻します。

私が警察署を出る時は、とても仰々しいものでした。手錠ONの状態で3人の私服警官(若手2人は何故かスポ着)に囲まれて車両に乗り込みます。この日はちょうど、お偉いさんが部下の仕事ぶりをチェックする日だったようで、若手の警察官が妙に緊張していました。普段、免許証の更新や車庫証明書の申請などで、ある程度の数の警察官は目にしていましたが、この警察署にこんなに沢山の警察官が居ったんかい!とツッコミを入れたくなるくらいの数の警察官にお見送りされて出発しました。車両は高級な部類のワンボックスワゴンで、私の両脇に警察官が座りました。

確か車に乗り込んでから、普段飲んでいる薬が有るか聞かれたと思います。「有ります」と答えると、提携していると思われる病院に電話連絡の上、連れて行ってくれました。手錠が掛かったまま、病院裏手の、他人とすれ違う確率が限りなく低い入口から診察室へ通されました。ここでは、「この薬を飲んでいる」と言えば、そこで診断された病状ではなくても薬を出してくれました。警察官立会いの下、手錠が掛かった状態での診察ですが、慣れた感じで親切に診察してくれました。病院に関しては後日また記載する予定です。内容上、閲覧に制限を掛けるかも知れません。

診察終了後は車の中で待機し、担当刑事が薬を持ってきてくれてから出発。そして、刑事が度々電話連絡を入れながら、やっと原宿署に着きました。竹下通りと目と鼻の先、といえば分かりやすいでしょうか。昔と場所が違うな、と思ったのですが、どうやら10年位前に現在の場所へ移転していたようです。車両は建物の中へと入っていき、留置場のあるフロアに到着しました。

留置場の出入口の扉は2重になっていたように思います。付き添いの若い警察官も初めて入る、との事で少し緊張気味。程なくして身柄を留置場に引き渡されます。留置場行きが決定した時点で、ある程度の不愉快な出来事が起きるのは承知の上でしたが、それも含めての未知との遭遇的な、留置場ってどんな所なんだろう、という好奇心に近い気持ちが有ったのは否めませんでした。

さてさて、留置場の中に入ると、正式名称は忘れましたが「新入り受入室」的な、そんな名前の部屋に通されます。ここら辺から、いよいよ本格的に犯罪者としての扱いが始まり、おやおや、これは人権的な観点でどうなんだろうか?と思う事も多少出てきました。

私が目にした女子留置場に配置されている警察官は基本的に全員女性で、制服警官です。その部屋に通されるとき、若い女性警察官が大きな声で「新入り入りま~す!」と、少し嬉しそうに声高なアナウンスをしました。この「ま~す!」にクセがあって、「はい、今からあんたは囚人だから、そこんとこ覚悟しといてね」的な、若干イジの悪さを感じました。既に受入れに必要な人員はスタンバってるのに、一体誰に向かって言ってるんだか。  「新入り」が来ることは、若い警察官にとって数少ない楽しみなのかも知れません。

それから、警察署でやった所持品検査をもう一度行います。まるで世間話をしているような感じで何故ここへ来たのか聞かれましたが、これは単なる興味で聞かれたように感じました。

当然、身体検査も有ります。「スッパ?」「穴というの穴の中まで??」的な下世話な疑問。これは多くの人が知りたい所でしょう。私も知りたかったです。

そしてその答えは、「スッパ」。ただ、病院で検査する時に使うようなガウンのような物は体の上から掛けていました。でも、前から見たら肩の部分だけ隠れた、ほぼ裸体の状態です。
それから、身体的特徴を隈なくチェックし、書類に記入していました。比較的小さな傷痕や、少し大きな肌のシミまでチェックされます。「穴という穴の中まで」はやりませんでしたが、前がガバっと開いたガウンで、正面から見たらほぼ裸体が確認できる状態で、足を軽く開いて屈伸を2-3回。結構屈辱的なシーンだと思いますが、なんせ留置場に入るわけですから、仕方ないですね。

さて、スッパの検査が終わったら、留置場仕様の服に着替えます。何故か、全てがグレー。グレーのスウェット上下、グレーのTシャツ、グレーのパンツ、グレーの靴下。全てがグレー。房内に持ち込み可能で色が違ったのは、ハンドタオルとヘアゴムでした。ヘアゴムでさえ、着けてきた物は回収され、留置場の物を使用します。これは後日入手した情報ですが、男性の留置場はある程度の服装の自由があるようですが、女性の場合は全くと言って良いほど自由がありませんでした。

また、生活必需品は買う必要がありました。石鹸(ケース付き)、歯ブラシ、歯磨き粉、リンスインシャンプー、ハンドタオル。オプションで買えるのは、ニベア(化粧用クリームとして使う)、薬用リップスティック、生理用品くらいでした。

薬用リップスティックは所持品で持っていても、外で購入した物は留置場内には持ち込み禁止なので、ここで新たにショッピング致します。歯磨き粉は、今まで見たことのないメーカーの物でした。何が幾らしたか全く覚えていませんが、留置場に入ったらこういった物を自分で買う必要があるので、必ずお金が必要です。差入れに行かれる方は、少し頭の片隅に置いておくと良いかも知れません。差入れに関しては後日また書こうと思います。

話は少しずれますが、マスクも没収されました。マスクのヒモがダメだったのか、顔を隠してはいけなかったのか。今回のコロナ禍初期において留置場での集団感染発生をニュースで聞いたとき、ああ、マスクもできないからな、と真っ先にこの経験を思い出しました。今は報道で見かける勾留中の人もマスクをしていますが、よく見るとマスクに番号などが書かれています。(この手の記事、ネット上から削除されているので、このNOTEも削除されるかも知れません)   

それから、留置場内での文章化されたルールの説明がありましたが、不文律が多数存在します。例えば、一番すぐに言われたのは、「足を組まない」。この新入り部屋に入ってから釈放されるまで、警察官のいる所で足を組んで椅子に座ってはいけません。理由は、「危ないから」との事。普段あまり意識せず、当たり前のように常に足を組んでいる人は多いと思いますが、足を組まない事を強制されるのは、結構苦痛でした。それを忘れて足を組むと、もれなく注意を受けます。慣れるまで結構イラッとしました。

また、ここで番号が振られます。「あなたは○○○番ね」「留置場の内ではこの番号を使って、名前や罪状など、一切他の被疑者に言わないように」と言われ、その番号を貼られた便所サンダルに履き替え、「房」に入れられます。                                          ↓ こんな感じの便所サンダル

無題

さて、今回はこの辺にして、次回は房に入ってからの事を書こうと思います。




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