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Cegaがレバレッジ・オプション商品を立ち上げ

レバレッジ・オプション商品の概要

Cega は本日、伝統的金融エンジニアリングの知見を活用して新たな可能性を生み出す、DeFi 領域のイノベーティブな商品「Leveraged Options Vaults (LOVs) 」を発表いたしました。

LOV のメリットはレバレッジオプションの仕組み債を通じて最大 5 倍の収益を実現できる点にあります。従来であればレバレッジを利用するのに外部の流動性供給源を必要としたところ、LOV では入金された資金や取引される仕組みのレベルでレバレッジが組み込まれております。DeFi プロトコルは過剰担保の要求や、レバレッジポジションを維持するために資産別の資金プールを用意する必要があることから生じる流動性の断片化という課題を抱えていますが、この手法はそうした課題をレバレッジの導入によって解決する優れた方策であるといえます。

組み込み型レバレッジを活用した利回り

LOV の取引ストラテジーはユーザーが入金した USDC を単一のバスケット(Pure Option Vaults)ではなく複数のバスケットに分散して運用することによって、あらかじめ固定されたレバレッジで通常よりも高い利回りを生み出します。このストラテジーにより、利回りは最大で通常のおよそ 5 倍へと非直線的に増加します。以下の表にローンチ時点で利用可能な 3 種類の LOV ストラテジーの概要を示しましたので、ご確認ください。

Cega が提供する LOV の技術的な詳細は以下のようなものです。Cega の標準的な「Pure Option Vault」はワースト・オブ・オプションであり、行使価格を 100 %とした時 X %にノックイン・バリアを設定しています。各用語の定義は以下のようなものです。

  • 「ノックイン・バリア」はオプションのダウンサイドが顕在化する価格ラインを示しています。例えば 50 %のノックイン・バリアが設定されていた場合、それは「プット・オプションの損失は現物資産の価格が行使価格の 50 %を割り込むまで実現しない」ということを意味します。

  • 「ワースト・オブ・プット・バスケット(Worst-of-Put Basket)」はバスケットに2つ以上の原資産(BTC や ETH など)が設定されているものを指し、これらの資産のうち当初の価格を下回ったものが償還時の計算で考慮されます。

  • 一例として、Cegaが提供する「Starboard」では条件が次のように設定されています。「BTC (Bitcoin) と ETH (Ethereum) のいずれもこれから 27 日間で 50 %以上下落しない場合、年率約 12 %の USDC 金利を得る」

LOV の構造に関しては、ワースト・オブ・プットのスプレッドが重要です。あるユーザーが N 倍(2 倍など)のレバレッジをかけている時、このポジションは (1) 100 %を行使価格に設定したプットオプションのバスケットを N 倍ショートし、同時に (2) 行使価格を [1-(1/N)] に設定したプットオプションのバスケットを N 倍ロングしています。

LOV の実際の例

  • レバレッジを 3 倍に設定した時、ユーザーは同一の行使価格でアット・ザ・マネーのプットを 3 倍ショートしています。(3倍するとプットの行使価格は 66.66 %上昇し、合計の払い出しはゼロになります)

  • レバレッジを 5 倍に設定した時、ユーザーは同一の行使価格でアット・ザ・マネーのプットを 5 倍ショートしています。( 5 倍するとプットの行使価格は 80 %上昇し、合計の払い出しはゼロになります)

行使価格の 100 %の際の価格と [1-(1/N)] の際の価格の差により、利回りの増加は非直線的に表現されます。一方で、ユーザーはUSDCのステークにより利回りを資本効率に優れた方法で上昇させることができます。この結果、利回りは最大で年利 50 %程度となります。詳細は後の補足を参照してください。

ユーザー資金払い出しの例

ユーザーは LOV を活用することで利回りを増加させることができます。このため、発生する可能性のある複数のシナリオを把握し、損失が増加するリスクもあることを理解しておくことが重要です。

各ケースの具体的事例はドキュメントを参照してください:
(未訳:近日中に日本語訳の公開を予定しています)

リスクとその軽減について

Cega が提供するストラテジーはリスクを伴う複雑な投資商品であり、商品を十分理解していない方やリスク許容度が低い方には適していません。この商品に付随するリスクを認識し、十分に理解した場合にのみ利用するようにお願いいたします。

この商品は以下のリスクを含みます:

  1. 信用リスク:マーケットメイカーが債務不履行に陥った場合、マーケットメイカーは Cega に資金を入金していたユーザーに対して 27 日間の取引に対する金利を支払うことができないおそれがあります。一方で、ユーザーが投資した資金そのものはオンチェーンで 100 %担保され、レンディング等に貸し出されることもないため、信用リスクはありません。Cega は法的拘束力を持つ ISDA(International Swaps And Derivatives Association)契約をマーケットメイカーと締結しており、また KYC を完了し十分な信用上の記録が過去にあるような信頼に値するマーケットメイカーを選定するなど、強力なリスク管理手法を実践しています。

  2. 元本毀損リスク:市場が大幅に(例:50 %)下落し、暗号資産の原資産価格がノックイン・バリアを超えた場合、ユーザーは初期投資の一部を失う可能性があります。

  3. ノックイン条項が発動した場合の損失の拡大リスク:LOV ではレバレッジをかけたポジションを構築するため、取引期間中にノックイン条項が発動した場合、ユーザーは償還期限の時点で通常よりも大きく元本を毀損することになります。損失はオプションにかけたレバレッジの倍率(2 倍など)によって大きくなりますが、最終的に投資額よりも損失が大きくなることはありません。

  4. スマートコントラクトリスク:オンチェーンで資金を入金する際にはスマートコントラクトのリスクが存在します。セキュリティを担保するため、Cega はトップレベルの監査機関によるコード監査を完了しており、新機能についても監査を実行しています。Ethereum で展開するコードは Ottersec 社と Zellic 社により監査されています。Solana 上のコードは Ottersec 社により監査され、開発プロセスにおいて Zellic 社からセキュリティ上の助言を受けています。

複数回の監査による安全の担保

Cega が提供する LOV はコードの安全性を確保するため、2 回にわたり監査を受けています。Cega の監査は業界における最高のセキュリティ監査機関の一角である Ottersec 社と Zellic 社によって行われました。これらの監査では深刻な脆弱性は検出されず、その他のコードの安全上の助言については全てコードベースに反映し終えています。

これらの機関による監査レポートは以下でご確認いただけます:

Ottersec:
https://drive.google.com/file/d/1a0nYzQ41kZMFDxDDDOJua3V2UTK8v2jX/view?usp=sharing

Zellic: https://drive.google.com/file/d/1qcNiP-5vQpqUqo4WzlNT6gsjzKSd8IqZ/view

LOVの利用方法

ムービー形式の手順紹介https://www.loom.com/share/3de26a60135e4bd081853d4852a142fe

記事形式の手順紹介

補足:利回りがレバレッジ倍率に合わせて直線的に変化しない理由

一例として、ユーザーが 4 倍のレバレッジをかける商品に資金を投じる場合、ユーザーは本質的にこの資金がレバレッジポジションの構築に利用されることを許可しています。しかしながら、レバレッジ倍率が一定の値を超えると、ユーザーは価格がポジションと逆方向に動いた際元本の全部を失うリスクを抱えることになります。

例えば、ノックイン・バリアを 50 %に設定して 2 倍のレバレッジをかけた場合、ユーザーは原資産の価格が清算価格を下回ると元本全てを失うことになります。レバレッジ倍率をこれ以上上昇させるとプットオプションの勾配はより急になり、原資産の価格が清算価格を下回った時でさえ、この損失を取り戻すにはより価格が上昇する必要があることを意味します。

このため、各商品の利回り曲線の平坦域は元本の利用可能性とノックイン・バリアによる潜在的な損失によって形成されていることになります。この点を超えた利回りの上昇はノックインイベント後の損失回復能力にも影響します。もしユーザーに価格がノックイベントの後すぐに復帰するという確信があるならば、利回りを最大限高く設定した上で回復バリアも変更します。しかしながら、もしもユーザーが価格が回復するシナリオはありえないと考えているならば、彼らはよりレバレッジを低くして潜在的な損失を軽減しようとします。

究極的には、どの程度の元本がリスクに晒されても良いかという認識、ノックインイベント後にどの程度価格が回復するかという読みへの自信の強さはユーザーの意思決定プロセスに依存します。ユーザーの皆様は資金を投じる前にリスクとレバレッジごとに異なる潜在的な報酬をよく理解していただくことが重要です。

参考:商品別ノックイン条項発動可能性

インプライド・ボラティリティの値は2023/3/6、ノックイン条項のヒストリカルデータは2023/3/6までの分析値


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