音声EQのハンドブック-宅録した音声の魅力を引き出す方法-
今回は音声の魅力を引き出すEQを紹介します。YouTubeやポッドキャスト、声劇など、自宅で録音した声を編集する時に役立ちます。
最初に
▶︎高価な機材の購入はちょっと待ってください!
自宅で声を録音した場合、音声に問題が起きがちです。なぜなら、録音に適していない環境、比較的安価な機材など、スタジオとは違う録音になるからです。しかし、防音室や高価な機材の購入したとしても問題が解決するかわかりません。
そこで、無料で使えるEQで音声の問題を解決してみましょう!
▶︎EQの設定でもう悩まない
EQの設定で悩んだことありませんか?EQはできることが多いことで、悩む人が多くいます。そこで、これまでの経験で手に入れたEQの設定を共有します。これがあればEQの設定に悩むことはありません!
YouTubeやポッドキャスト、声劇の音声を改善したい方。
高価な機材の購入を検討している方。
音声EQが難しくて諦めた方。
そんな方々のためのEQハンドブックになります。
① 下処理をする
音声EQとして、ほぼ必ずするのはローカットEQです。
■ローカットとは、、、
低音域をカットすること。ハイパスフィルター(HPF)と表現することもある。
■音域のイメージ
低音域:〜250Hz
中音域:250〜2,500Hz
高音域:2,500Hz〜
(1,000Hz=1kHz)
声にローカットをするのは、音質の調整というよりも下処理として行います。録音した音声には、余計な低音が含まれていることがあるためです。ゴォーという環境音、ボワボワとした音、部屋の反響音など、これらをローカットで除去します。
ではローカットに設定する周波数はどのように考えれば良いでしょうか?低音域には声の主要成分も含まれています。適当に設定してしまうと、声が聞き取りづらくなってしまいます。声を削らないように声の周波数を考えることで上手くいきます。
■声の主要成分がある周波数(基本周波数帯域)
男声:80〜160Hz
女声:165〜255Hz
(自分の基本周波数を簡単に知りたい方は、声を分析できるWebアプリ「Voice Analysis」を使ってみてください!)
上記を元に考えると、80Hz以下はどなたでもカットして問題はなさそうです。しかし、ローカットの周波数設定を80Hzにしても、80Hz以下が完全になくなる訳ではありません。ローカットEQは、設定した周波数以下を緩く下降させていきます。そのため、80Hzより少し上の100Hzくらいからカットしても問題ありません。
■声のEQ設定例
Filter Type ▶︎ ローカット(HPF)
Frequency ▶︎ 80〜100Hz
Slope ▶︎ 24 dB/oct
② 硬さを抑える
高い声の人や高音に特徴があるマイクを使った時など、音が硬く感じる場合に使えるEQです。特に女声に使えるEQになります。
■硬い音とは、、、
一般的に低音よりも高音が強く、響きが少ないこと。
硬い音は耳疲れを感じやすいです。長時間聴いていただくようなポッドキャストなどでは特に解消しておきたいポイントです。硬さを抑えるには、高音域になり始める2,500HzあたりをEQで下げると良いです。
■声のEQ設定例
Filter Type ▶︎ ベル / ピーク
Frequency ▶︎ 2〜3kHz
Gain ▶︎ −2dB 前後
Q ▶︎ 4.0
③ モコモコ感を抑える
安価なマイクの使用時やマイクセッティングが近い時などに、モコモコ感を感じる場合に使えるEQです。モコモコ感を抑えることで、ナレーションなどの音声が聞き取りやすくなります。
■マイクセッティングが近い(近接効果)
マイクセッティングが近いことで、低音が強調されることを近接効果という。
モコモコ感じる原因は低音にあります。そのため、200〜300Hzなどを下げることもあります。しかし、声の主要な成分があるため、声が弱く聞こえてしまうこともあります。ここでは、ナレーションなど「ひとり」の音声を想定して、声を弱くさせることなく音の濁りを解消します。
■声のEQ設定例
Filter Type ▶︎ ベル / ピーク
Frequency ▶︎ 400〜500Hz
Gain ▶︎ −3dB 前後
Q ▶︎ 4.0
④ 複数人の重なった声を聞きやすくする
複数人で録音した時に、声が重なって聞き取りづらい場合に使えるEQです。また、低音が豊かな男声に使う場合もあります。
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