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100 年、200 年先の絵空事を描きだせ。

AI やディープラーニングが広がることで、
人間一人ひとりの使える時間が増えていく。

「人間の役割とテクノロジーの役割」について考えてみます。AI やディープラーニングの進化によって、車の自動運転や、店舗・工場の無人化が現実化のものとなり、その結果、人間の仕事が奪われてしまうのではないかという不安をよく耳にするようになりました。しかし、テクノロジーに仕事の一部を委ねても、人間にしかできないことがあります。変わっていくのは、人間の役割やテクノロジーとの関わり方です。

中でも、大きく変化するのが「時間」です。現場での仕事に費やす時間が減った分、それ以外の時間が一気に増えることになるからです。では、増える時間を使って何をすべきか?大切なのは有効活用。時間の流れそのものは変えられなくても、密度はいくらでも変えられます。例えば同じ 1 時間でも、発想力や構想力、感性、直観力を使って、新しいアイデアを生み出す 1 時間もあれば、自分自身のやりたいことを明確化し、それに向けて活動する 1 時間もある。もちろん休息に使う 1 時間もあります。時間の使い方は、人によって大きく変わるのです。

今後はディープラーニングの発達によって、我々人間が研究していること、考えていることのスピードが加速度的に早まります。研究者や開発者の立てた仮説やイメージを AI にシュミュレーションさせることで、従来では 100 年、200年かかるような発明や発見、進化や進歩が、10 年足らずで実現する可能性があるのです。30 年後の 2050 年には、火星に人が住み、月で子どもが生まれる世界がやってくるという未来も、もはや夢物語ではありません。

無駄や失敗を活かせることが人間の得意分野。
描いた絵空事から発想やアイデアが生まれる。

「100 年先」と聞いて「ずいぶん先の未来のことだ」と思うかもしれません。しかし「人生 100 年時代」と言われる今となっては、もはや遠い未来の話ではありません。0 歳の赤ちゃんにとっては、将来そのものなのです。

これからの人間がなすべき役割のヒントは、失敗や無駄、いわゆる「バリ」と言われるものにあります。テクノロジーが特に苦手とする分野だからです。「ダメだった」ことを「この結果が、もしかしたら何か面白いことに繋がるかもしれない」と掘り下げて考えることができるのは人間だけです。失敗した経験、うまくいかない経験を支点に、思考を重ねてみる。その過程こそが、画期的な発想やアイデアの源となるのです。つまり奇想天外な発想ほど面白いものが実現できるわけです。

例えばコーヒーカップと信号機を関連づける発想力。 どのような倫理観や道徳観で絵空事を描くかが重要。

昨今「絵空事」という言葉にあまりいいイメージを持たなくなってしまいましたが、この「絵空事」こそが発想力を磨きます。アメリカのある大学の講義では、例えば「コーヒーカップ」+「信号機」といった一見全く関連性のないアイテム同士を関係づけて、アイデアを生み出すというトレーニングを行っています。考えるきっかけを作ることで、直観力、先見力、構想力を身につけることが狙いです。ただし、ここで忘れてはいけないのが、倫理観や道徳観。誰もがクローンや生物化学兵器、原子爆弾までも作れるような時代を迎えた時、どのような倫理観や道徳観に基づいて絵空事を描くか。アート的志向を高めていくのか。そこが何より重要なのです。

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