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AIは、Intelligenceを超えてLifeを指向する。 生命の新種「ALife」は、世界を更新していくのか。

「ディープラーニングが人間のコントロール下を離れて学習が進むため、自ら思わぬ方向に進化していく可能性が ある」と言われています。
昨今の AI における学習技術の発展はめざましく、画像認識の精度は人間のレベルを超えたとされています。例えば、2015 年に Google が発表した「DeepDream」や、2016 年に「AI がレンブラントの新作を書いた」などのニュースは、記憶に新しいことでしょう。 また画像認識の分野以外でも、IBM ワトソンを活用した、シェフ・ワトソンによる新たなレシピ開発など、世間を驚かすような AI 進化の話題が続いています。
一方で、AI の進歩が人々の不安を掻き立てはじめているのも事実です。オックスフォード大学の AI 研究者マイケル・A・オズボー ンが提示した「なくなる職業リスト」がセンセーションをひきおこしたのは、その一例といえるでしょう。また、アメリカの発明 家レイ・カーツワイルの唱えるシンギュラリティー論もまた、当初こそ多くの人が懐疑的でしたが、2016 年 Google の囲碁 AI「alphaGO」が世界最強棋士に勝つと、いよいよ現実味を帯び始めてきました。 こうした潮流に対する人々の不安や嘆きは、ロボットや AI の特異性を人間目線で判断していることに起因していると言えるのでは ないでしょうか。少し視点を変えて捉えてみるならば、別の地平が拓けます。
2016 年「WIRED」の初代編集長ケヴィン・ケリーは、「AI を『Alien Intelligence( 異質の知能 )』の略と言うこともできる」と発言しました。 ケリーは、この Alien と言う表現に、AI が人間よりすごいかどうかではなく、人間の思考とは全く異なる思考・能力を持つとのだ、 という意味を込めたのです。
同じ志向として、「ALife」(人工生命)の研究が近年活性化しています。Alife 研究をリードする池上高志氏は、コンピューターやロボッ トから人工的に生命、あるいは生命とおぼしきものをつくりだす試みを通して、生命の定義の更新。「機械と人間の関わりあい」を 生み出すには、「Intelligence( 知能 ) ではなく Life ( 生命 ) と言う大きな箱が必要」だと話しています。
AI を「生命の新種」としてとらえようという新たな概念「ALife」。日本においてはまだ浸透しているとは言えず、一部を除き研究 もあまり進んでいないのが現状です。

このような ALife の現状や、アートとサイエンスの最新の関 係を俯瞰して考えていく書籍『ART SCIENCE IS. アートサイエ ンスが導く世界の変容』(『BoundBaw』編集長 塚田有那著)を、 2018 年夏に上梓しました。本書は大阪芸術大学に新設された「アートサイエンス学科」の創設にむけてローンチされた、世 界のアートサイエンスシーンを伝えるウェブメディア 『BoundBaw』を通して得られた最新の知見から、アートサイエンスの現在を紐解いていこうというものです。

世界が新たな未来に動き出している。先ずはその状況を知ることから始める事が大事かと思います。

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