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風景印は検索機能が優れモノ。

一般的には「風景印」または「風景スタンプ」と呼ばれますが、その正式名称は「風景入通信日付印」。直径36mmの印面に、地元ゆかりの風景や名所などが描かれた日付印です。円形が基本なのですが、中には工夫を凝らした形
(変形印とも呼ばれます)もあって、
コレクションに楽しさを加えてくれています。
 
今年、広島県尾道市の「浦崎郵便局風景印」をデザインしました。地元の名産品「いちじく」を型取り、その中に、浦崎の名称の由来とも
なった「沖の観音」と地元民が伝統的に残してきた「神楽」を描いたものです。

 
あまり知られていない風景印ですが、実は全国の郵便局24050局のうち、半数近くの11139局に配備されています(2018年1月1日時点)。
その歴史は古く、日本で最初に使用された
のは、昭和6年7月の富士山郵便局だそうです。
 
世界を見渡しても、これだけの数、地域ごとの特性を紹介しているメディアは類をみないのではないでしょうか。
日本には、たくさんの魅力的な四季折々の景色や名産品、行事があります。その豊かな文化や暮らしを描き、魅力を伝えているのが
「風景印」なのです。
 
最近では、市町村合併によって、昔からあった土地の名称が変わったりすることも多くなり
ました。その中で大切なのは、風景印に描かれながらも、失われていく地域の文化や暮らしの個性を守ること。
これこそが日本のポテンシャリティを高め、
ひいては価値を引き上げることに繋がるのだと思っています。
 
風景印に描かれた豊かな文化が、その土地に
根付いているからこそ、世界中から日本文化を学んだり体験するために日本を目指す人が増え続けているのです。私たち日本人も、これまで培ってきた自国の文化や暮らしを大切に
しながら、アイデア豊富なものづくりをして
いきたいものです。
 
この風景印には、他にはない楽しみ方も
あります。例えば、地方へ行った時、1〜2時間のすきま時間があれば、郵便局で切手を
買って、風景印を押してもらってください。
その風景印を見れば「そばにお寺がある」とか「この辺りはみかんが名産品なのか」など、
初めて訪れた場所でも、周辺エリアの文化が
一瞬で分かります。郵便局員さんに尋ねれば、風景印に描かれた場所がどこにあるかをすぐに教えてくれることでしょう。まさに優れた観光検索機能です。大量の情報が流れこんでくるスマートフォンの検索機能と違って、風景印から得られる情報は多くて3つ。凝縮されていることも大きな魅力です。
 
風景印は差出人が希望した時にのみ押して
もらえる印です。初めての場所に出掛けられた
際には是非とも風景印の置いてある郵便局に
立ち寄って発見を楽しんでみてください。

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