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今や世界中で実用化が進む「ディープランニング」。 人間の的確な「問いかけ」こそが、AI活用の第一歩。

1950〜60年当時は推論の領域でしかなかったAI(人工知能)は、いくつかの段階を経て急速に進化を続け、今や「ディープラーニング=深層学習」によって、さらなる発展を遂げようとしています。

ディープラーニングは、人間が行うタスクをコンピューター自身に学習させる仕組み「機械学習」の中でも大きく進化した、要素技術のひとつです。最近では、車の自動運転や音声認識、機械翻訳などの自然言語処理でも重要な役割を果たし、全世界の様々な分野で実用化が進んでいます。2016年にAIの囲碁プログラム「AlphaGo」が、世界トップレベルの実力を持つ韓国のプロ棋士に勝利したニュースを記憶されている方も多いのではないでしょうか。

技術のベースは、人間の神経細胞の仕組みを模した「ニューラルネットワーク」。多層構造のニューラルネットワークに大量の画像、テキスト、音声データなどを入力することで、データに含まれる特徴を各層で自動的に学習し、さらには「分析の際に注目すべきポイント=特徴量」をAIに自己判断させることができます。人間からの指示を待たずにAIを進化させていくディープラーニングは、言葉で特徴を定義するのが難しい場合に効果を発揮し、例えば言語表現が難しい消費者の服や靴の好みでも、AIが消費者がどの商品をクリックしたかという情報を元に、好みに合いそうな商品を絞り込んで提案してくれます。

この特有の構造と学習手法により極めて高い精度を誇る一方、時には人間の認識精度を超えることもあるため「ディープラーニングはブラックボックスだ」と批判する人が多いのもまた事実。これまでの機械学習は、人間がある程度学習の方向性をコントロールできていましたが、ディープラーニングは自ら思わぬ方向に進化し、学習が進む可能性があるからです。

とはいえ、いわゆる「人間のように考えることができるコンピューター」が実現した、というわけではありません。今現在AIにない「洞察力」を持った私たち人間側が、「何のデータを」「どのような形で」「どれだけの量読み込ませるか」を正しく判断し、ビジネスや社会に役立つ「問いかけ」を行うことが、AI活用の第一歩となります。これまで私たち人類は、ひとつの「Question」に対して、いかにスピーディかつ的確に「Answer」を導き出すかを重要視してきました。しかし「第3次AI時代」と言われるこれからは、何よりも「Question」の内容が大切になります。例えば「人はなぜ花を美しいと感じるのか」など、これまで答えの出なかったような問いかけをすることこそが、ディープラーニングのパフォーマンスを高め、新たな発想やアイデアを生み出し、様々な研究やビジネスのために効果を発揮することになるのです。



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