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【NBA】2020 #BullsNation Review (1)

新しいシーズンが開幕して早いものでもう10試合以上消化しました。今季は開幕前に述べたように、しばしば掲げたテーマに従ってレビューを行っていこうと思っています。

①ラビーンのAST及びマルケネンへの安定供給
②PGローテと役割分担
③ダンッ、バレンタインの捲土重来
④ギャフォード=ネクストタージ?

前回、以上4点を予め掲げましたが、このうち①~③について形を変えて以下言及してみようと思います。

【1.PGローテと3PGラインナップ】

プレビューにおいて、プレシーズンでサトランスキー、ダンッ、ホワイトの3人について、それぞれAST、STL、PTS各分野で役割を果たしているということを示しました。実際、シーズン開幕後でも同様の傾向がスタッツには表れ、サトランスキーは平均5.5AST、ダンッは2.2STL、ホワイトは11.1PTSを記録してPGローテのメイン3人は既によく機能していることがわかります。ロスターには上記を含め5人もPGがおり、長くても平均30分以下のPTしかないため、タイムシェアは重要な問題となっています。そのタイムシェアの解決法らしきものが、ボイレン執心のマルチボールハンドラーシステムの一環と思われる3PGラインナップです。

①O. Porter Jr., .K. Dunn, .R. Arcidiacono, .L. Kornet, .C. White
②K. Dunn, .R. Arcidiacono, .L. Markkanen, .L. Kornet, .C. White
③K. Dunn, .R. Arcidiacono, .L. Markkanen, .W. Carter Jr., .C. White
④T. Young, .K. Dunn, .R. Arcidiacono, .L. Markkanen, .C. White
⑤T. Young, .K. Dunn, .R. Arcidiacono, .L. Kornet, .C. White
⑥T. Young, .K. Dunn, .R. Arcidiacono, .W. Carter Jr., .C. White
⑦T. Satoransky, .Z. LaVine, .R. Arcidiacono, .L. Markkanen, .C. White

※最低2試合、1分間以上試行。

以上の7パターンは、筆者が確認できたCHIが開幕10試合で試行した3PGラインナップです。この中で最も試行回数が多いのは⑥の7試合(2勝5敗)パターンです。また+/-上で最もポジティブなのは①(1勝2敗)の+1.7でした。

これらの例に共通しているのは、全パターンにホワイトとアーチィが名前を連ねているという点です。これは先述のメインPG3人のほかにこの3PGラインナップを形成するために10試合で平均14.4分間のPTであるアーチィの存在がカギとなっていることがわかります。言い換えると、3PGラインナップを形成するためにアーチィがいるといってもいいかもしれません。しかしながら、10試合のうち多くて7試合で試行した3PGラインナップをどうしても使わなければならない理由は何かと問われると、答に窮します。ですが、先日以下のツイートを発見し、これが理由なのではないかと推測しています。



つまり、バレンタインを使いたくないためにその代役としてアーチィが抜擢されているのではないかということです。この間、ハッチが怪我をしていたので、普通に考えればバレンタイン起用の余地はあったはずですが、それを無視して3PGラインナップに執心していたのではないかと考えられます。これはプレビューで掲げた「③ダンッ、バレンタインの捲土重来」という問題設定に大きく関わります。つまり、バレンタインの捲土重来の機会は現状一切与えられていないということです。少なくとも、3PGラインナップが続く限りは。

【2.マルケネンへのボール供給源としてのPG】

開幕前のプレビューにおいて、ラビーン→丸金というラインのAST増加を期待しました。それはチームに平均20PTS台の選手を増やす上で重要なホットライン構築の要素だからでした。しかし、蓋を開けてみるとラビーンのASTは増加せず丸金の得点に至っては昨季よりも低下しています。丸金は自分で得点機をクリエイトするタイプの選手ではない以上、周囲からの演出が不可欠だと考えているのですが現状では真逆の方向に向かってしまっています。

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※今季のものは10試合消化時点、昨季のものはシーズンを通してのスタッツ。

上掲は丸金へのパス供給者TOP5をFREQ R(パス供給の割合)で降順にしたものです。昨季はダンッがパス供給の割合、平均パス数、平均ASTいずれもトップでしたが、今季はそれがサトランスキーに入れ替わってます。しかし、パス供給の割合以外はダウンしていることがわかります。サトランスキーの供給先としても丸金は3位であり、ラビーンとWCJ以下となっています。また、肝心のラビーンにいたってはもはや1試合に1本丸金にASTを送ること自体が稀になりつつあります。先述の3PGラインナップの話に絡めると、ロスターにPGが多くいて、3PGラインナップを試すものの、それが丸金へのパスの供給源を増やすという方向にはつながっていないようです。

しかしながら、改善のヒントはここまでの10試合の中にない訳ではありません。それは今季3勝目となったATL戦のトラッキングデータにありました。


上掲のサトランスキーのパストラッキングをさらに具に見てみると、サトランスキー→丸金へのパスは9本が通り、サトランスキー8ASTのうち2本が丸金の得点につながっていることがわかりました。つまり、いずれも先に確認した今季の平均以上の数字ということです。そしてこの日の丸金はFG6/11の高確率で17PTSをあげており、こちらも平均得点よりもよいスタッツを残すことができました。ATL戦のようにサトランスキーのボールタッチ回数が圧倒的に多くなる試合というのは稀ですし、試合ごとの最多ボールタッチの選手もコロコロ入れ替わって安定しませんが、ラビーン→丸金ラインを構築できないのであれば、サトランスキーにその役割を担ってもらう方が得策のようです。

以上、今回はPGの話を中心にいくつか指摘してきましたが、開幕後にこれはテーマとすべきでは、と思う点が他に湧いてきたので、次回への展望として記して締めたいと思います。

それは3PGラインナップの功罪の罪の部分(功の部分がどこにあるのかは知りませんが)として、今季のCHIのリバウンドの弱さがあげられます。WCJはゴール下で奮闘してくれていますが、彼だけではカバーできないほどCHIのリバウンドは脆弱です。したがって、いずれはこの点にも言及せざるを得ないでしょう。また、このリバウンドの弱さにも起因していると思われるのが、ゲーム終盤での勝負弱さです。まだ10試合しか消化していないにも関わらず、二桁リード或いは最終盤で築いたリードを守り切れずにやらかすという試合が度々見られます。これからPOを目指そうというチームがRSでもゲームの締め方に隙を見せるようでは、先が思いやられます。今後は以上の二点も既出のテーマと併せて見ていきたいと思います。


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2018年12月23日 有料設定を変更しました。記事内容は無料にてご覧いただけます。記事を読まれた上でご購入いただける方は、100円にてご購入をお願いします。

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