【今更初見感想】エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に を観ました
今更ながらエヴァンゲリオンのTV版を順番に視聴してきた私ですが(前回がこれ↓)
全部観終わったので遂にエヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に を観ました。EOEとも略されるそうですね
TVアニメと違ってこれ一本の映画ですから、感想もがっつり書いていきます
気持ち悪い(映画的な雰囲気で観ようと思って部屋を暗くしてたらポケモンフラッシュにやられた)
(調べたらこの映画ポリゴン回よりほんの数ヶ月前に上映されてた)
まずは率直な感想
25話26話の、具体的にはこういうことが起こってましたってのをちゃんと映像化したんやな
終盤は、とにかく神々しいことが起こっているのだけは分かる、いち視聴者の俺にはついていけない…
映像そのものの美しさというか…これだけのクオリティの映像をさ…今の今まで雑な形で観ずに過ごせてこれた俺を褒めたい…
完全初見でこれが観れてよかった…
事前にスキゾとパラノを読んでいたことの効能
スキゾとパラノを読んでから視聴したおかげで、特にエヴァに乗る直前あたりのシンジ君の葛藤パートがだいぶすんなり理解できた気がします
庵野は背が高くて口が達者でモテて相当女と遊んでてすぐ女の家に転がり込むがどこかでナヨナヨ構ってちゃんムーブをするので最終的に捨てられていると思われる
そういう実体験が直球で反映されていたように見えた(シンジ君は童貞だと思われるのにあそこだけ急にプレイボーイみたいになってるのが面白い)
その実体験の毒牙がゲンドウにも及んだように見えた。綾波を息子にNTRされ…ユイさんに会えるかと思ったら初号機に食われて終わった…
きっと当時から誰もが思ったんだと思いますが最後は何?
大筋のストーリーラインは意外とすんなり理解できた(理解できたという感覚を得ているだけで本当に合ってるのかは分からん)
が、一番最後だけわけがわからない…なんで首絞めたの…?気持ち悪いって何が…
きっとネットで探せば考察とか答え合わせみたいなのはいくらでもあると思うんだけどさすがに今すぐは見たくないな
余韻に浸ってる時間ぐらいは考えてみよう…
何最後…最後だけマジで一切分からん…一欠片も分からん…何あれ…どうなってんのあれ…
てか全人類どこ?元に戻ったわけじゃないの?
時系列順に振り返ってみるか
冒頭…シンジ君どうして…
かの有名なAAの実物が…こんな冒頭から…
多分だけどあれが初めてじゃなくて普段からアスカをオカズに(作中で実際使われた言葉なので健全です)してたんだろうな…そりゃそうだ…14歳男子なら当然の営みだ…
そこだけ一人称が俺だったのは何なのかしら
めばえ?(何の?)
序盤、話の大筋は
ゼーレがとうとう武力介入してネルフ本部で兵士がドンパチやるというなかなか辛い内容だった…怪獣とプロレスする夕方ロボットアニメだったはずなのに…ネルフの非戦闘員がゴミのように殺されていく…
仕方ないとはいえアスカは相当な人数を殺したよな…辛い
ゲンドウのやろうとしたことが結局よく分からなかった
ゼーレのやろうとしている人類補完計画と、ゲンドウがやろうとしていることの違いがよく分かってない
ゼーレはエヴァシリーズ(シリーズ?)を使って人類を集合意識的な一つの生命にしようとしてたが、ゲンドウと冬月先生は最後までエヴァにこだわって反対してた、でもじゃあ何をしようとしてたの?
綾波と地下のアダム?(じゃなくてリリスか?)をくっつけるのがゲンドウのしたかったことっぽい
でもシンジ君にNTRされたのでゲンドウの思惑は失敗に終わり、結局ゼーレのシナリオ通りの人類補完計画が成ってしまった(それをシンジ君が望んでしまった)ということなのかなあ?
リアタイ視聴で即座には分からん…咀嚼が要る…
アスカ無双のシーン
アスカ無双はエンタメとして最高でした!!いいぞやれー!(ただし途中まで!!!!)
アスカのお母さん、統合失調症みたいになってたけど実のところ部分的に2号機に溶けてたってのが真相だったのかな
精神疾患ではなく、ファンタジーの文脈で精神を文字通り欠損したみたいな…
本来一個体である人間という生き物をATフィールドが群体と分けてるのであって肉体はただの物理的境界線でしかない世界観みたいなので、
アスカのお母さんはそういう文脈で「アスカのお母さん」という個の大部分が2号機に入ってしまったのかな。現世の精神病の肉体は残りカスみたいなものかな
アスカ無双が終わって…
自分でもびっくりなんだけど、アスカがアレの辺りから映画の最後までほぼずっと、眉間にしわ寄せて眉が下がって口は半開きになってたわ
気づいたらそんな顔に勝手になってた。人間って強い感情が想起されると一人で映画観てるだけでも顔に出るんだな…ひどい体験をさせられた…
↓大体こんな顔(19話で四つん這いになった初号機見てドン引きしてるミサトさんの顔めっちゃ好き。このゲテモノを見る目つき)
リアタイ当時は…Airの前半部分だけがシト新生として上映され、その続きはさらにお預けを食らったってこと?
(調べた)しかもエヴァシリーズが降下してきたところで終わったのかよ…
「ウワーッここでヒキ!続きが気になるぜ!」つって待たされて満を持してEOE観に行った人、とても可哀想じゃん…
今気づいた!魂のルフランどこ!?!?!?
映画観たら聴けると思ったのに!!!そういえば結局一回も聴いたことない!
これまた幸か不幸か魂のルフラン今までの人生で一度もまともに聴いたことないから、じゃあ初めては映画でちゃんと聴こうって楽しみにしてたのに!
シト新生の主題歌!?エーッ!?
(色々探した)
はーー……これはたすかる
リアタイでシト新生観たオタクのコメントいっぱい流れとるやん。それも含めて史料的価値が極めて高い動画だ…ありがとうニコニコ
ついでにこの時、フォロワーから「これで救済されて」とスパロボの動画も紹介された。アスカの危機に色んな奴らが助けに来てくれてシンジ君の参戦も普通に間に合う熱い展開だった
やっぱスパロボはすげえわ
どんな鬱作品も公認二次創作で吹っ飛ばしてくれる…
ドモンとシンジ君の組み合わせはズルい、絶対シンジ君元気になるやん
いつものシンジ君14歳男子パートと性欲大好きフロイトの時間だよ!
ところで全体通してちょいちょい喘ぎ声混ぜてくるのやめないか
全裸の綾波のおっぱい触ってそこから子宮に向けて手を動かすゲンドウと喘ぐ綾波、もはやフロイトじゃなくてもセックスそのものだろうが。暗喩ですらねえ
シンジ君も綾波と紛うことなき騎乗位してたしなんなんだよこの映画
終盤の実写パート、当時のインターネットでボロクソに貶された文章の数々とか「庵野殺す」とかを映像に組み込んでて、誹謗中傷めっちゃ引きずってるやん庵野…(オタクの誹謗中傷の話はスキゾに色々書いてましたが、結局吹っ切れてなかったんだね…)
気持ち悪いオタク共に延々とエロシーン見せて、それで満足できたのか庵野
でも今回は逆の話が出てきた
でもこの映画、「人は生きようとしている」みたいな主張が何度もあって、これってTV版で散々擦られてたフロイトの精神分析とは真逆なんですよね
フロイトは「人間には死の欲動(デストルドー)がある、本能的に非生命に向かっていく」と哲学的なこと言ってる
※フロイトはサド/マゾとか自傷行為・自殺とか、戦争で人がいっぱい死ぬのとかがなんで起こるのかを説明するために、死の欲動(デストルドー)の概念を提唱した。
この頃は第一次世界大戦とかがあったので「人類は本能レベルで死のうとしてるんだ!」みたいな言説は話題になった。
けど、科学的に証明しようがない哲学的な話なので批判も多く、フロイトのフォロワーもこの件については大体「そんな哲学的な話じゃなくて攻撃性という感情の問題ですね」って言ってる。
逆に「いや人間は生命として生きようとしてるよ」って言ったのが、後のいわゆるカウンセリング(来談者中心療法)を確立したロジャーズで、映画の終盤はわりとロジャーズ的な思想を感じた
庵野が劇場版に向けてその辺も新たに勉強したのかな?って思った(小並感)
基本的に勉強熱心ではあるんだよな…
TV版の25話26話はとにかく時間が無かったからひたすら周りの人から話のネタをかき集めて、急ごしらえの付け焼刃の知識と見せかけの編集マジックのペテンコンボでとにかく最低限の形にして終わらせた(スキゾ・パラノにそんな感じのエピソードいっぱい書いてた)、んだと思うんだけど
劇場版に向けては精神分析以外のもっと現代的な精神医学も勉強したんだろう。特に明るいやつを(当時で言うセラピー本とかかな?)
これはただの個人の感想だけど…
精神医学に無数の思想派閥がある中で、俺は前向きな気持ちで楽観的に今現在の自分と向き合う考え方が好きなの
なのでEOEはいくらか前向きに見えるところが好き
(TV版は若干の言い訳がましさも感じる辛気臭いことばっかり言ってたもん、精神分析の本なんか読むからだ)
ちょっと首絞めが理解できてきた気がする
最後はともかく、中盤のアスカ首絞めシーンは初見時「シンジ君が初めて自発的コミュニケーションを他者に向けた」って感じたのよね
人を殺そうとするほどの攻撃性を実際に他人に向けた、身体行動を伴う表現をした
(カヲル君殺したのは任務で仕方なくだから…)
攻撃性が自分に向くと自殺するって昔のフロイトは言ってるから、旧劇で終始死にたがりだったシンジ君はどこまで行っても他者を拒絶して自分の中だけでうだうだしてたのよね
それが初めて自殺ではなく他者への攻撃をした、やってることは最悪だけど初めて攻撃性のベクトルが外の世界に向いたのかな?
つまり…自分の中だけでうだうだやってないでその欲動を他人にぶつけなさいと…そういうことを庵野は言いたかったのかな…
首は絞めちゃダメだけど…それぐらいのありのままのクソデカ感情をちゃんと他者にぶつけましょうよ、じゃないと本当の意味で人と仲良くなれないでしょ、って?
つまり壮大な自己開示か?
構ってほしいし分かってほしいし助けてほしいくせにいざ人が距離を詰めてくると拒絶する…終盤のシンジ君(当時の庵野?)は今でいう典型的なメンヘラだけど、
結局そんな自分を打破するためには、愛する人の首を絞めるぐらい己の気持ちをその人にさらけ出せと…そういうことですか…?
(※ちなみにメンヘラという言葉は2ちゃんねる発祥ですが当時まだ2ちゃんねるなど無い。メンヘラという言葉の発明はあまりにも偉大だと思う、これ一言で大体の説明がつくので)
首絞めて殺そうとしたらアスカは嫌がるどころか頬を撫でてくれて…そこで遂にシンジ君は「愛」「受容」「相互理解」みたいなものを心で理解したとか…?
ありのままのクソデカ感情って自分で書いてて今気づいたが、つまりこれが「まごころ」…!?
「まごころを、君に」ってそういう意味!?首絞めがまごころだ!!は!?
「気持ち悪い」発言の真意はまだよく分かんないけど
まあでも寝てたらいきなり首絞めてきて頬撫でたら泣き出す男、普通に考えてかなり気持ち悪い
よく考えたらシンジ君とアスカは劇中で全然直接会話してない
アスカから見て最後のシンジ君との思い出は冒頭のシコシコなのか。うわ…
アスカはそのとき意識なかったかもしれんが、後に一回全人類一つになってるからそこでシンジ君の奇行を知りえてるんだよな…そりゃ激烈に気持ち悪いわ
総評的な感想(ツイッターには書いてないこと)
これでエヴァTV版から旧劇までは履修できたわけですが、すごい作品だったなあ…当時のオタク達の呪いになるのがよく分かった…
俺が比較的冷静に見れているのは、単に過去の完結済み作品だからってだけでなく、
①俺が既に若々しいオタクではなく色んな人生経験を踏んできたインターネット老人だからってのもあるだろうし…
②俺がたまたまカウンセラーの資格を持ってて精神医学方面の事前知識があったってのもあるだろうし…
③先にエヴァフォロワー作品を色々見てしまっているのもあると思う。
①について。
エヴァって基本的にはSF的な設定面に宗教や神話モチーフもごちゃごちゃに散りばめたその難解さでオタクを沼に引き込んだんだと思うけど、令和の人間である俺はこの作品が「それっぽい専門用語を並べて意味深なことを言いまくればオタクは勝手に深読みする」をやってると知ってたので、良くも悪くもそこの沼にはハマれなかった…
思い違いをしていたのは、庵野は一歩間違えれば本当にカルト宗教の教祖になれてしまうめちゃくちゃ悪い奴で、「オタクは勝手に深読みする」も偶然そうなったのではなくかなり計算ずくで卑劣にそうしてたってことかな…
ただ、オタクに担がれて本当に教祖にさせられそうなのは嫌だという自制心も一応あったのが救いで、旧劇の中にオタクの書き込みとか映画館のオタクとかを入れたのは「お前らこれはただのしょうもないアニメだぞ、現実見ろよ」みたいな庵野なりの優しさの警告でもあったのかなあ、なんて思った
③については、履修済みのエヴァフォロワー作品、パッと思いつくのはなるたるとDOD(ヨコオ作品全般)だけど他にもいっぱいあるんだろうな。幻水3もセカイ系とか言われてたし影響受けてんのか?
もし、リアル思春期にこんなん観てたら落ち込んだり掲示板に「庵野殺す」とか書いたりしたかな…
ただ、リアタイで観れなかったことが悔やまれるかというとそうでもなくて、何せ放映当時ぼく5歳だよ!そりゃリアタイでは観れないよ。しゃーない。チャンネル変えてて目にしたことはあるけど話が難しそうで絵が大人向けそうだから意識的に見ないようにしてたんだよな。
当時の5歳の俺のセルフペアレンタルコントロール凄いわ(ペアレンタルとは)
もし観てたら全裸の綾波やミサトさんの喘ぎ声を5歳で摂取したことになる。あぶなかった。
スキゾとパラノのこと
スキゾとパラノをちょうどいいタイミング(TV版観終わってから旧劇を観る前)で読めたのも大きかったです。
製作者たちの込み入った話や作品の解釈はもちろんのこと、オウム真理教や戦後世代のジェネレーションギャップ、アニメ文化の斜陽みたいな当時の空気感も理解できたのが嬉しかった。
庵野の師匠筋にあたる宮崎駿や富野は戦争を経験している世代で、庵野ぐらいの世代(新人類世代?)はそことの差を感じてる話とかも、物凄く興味深くて…言われないと気づけないなあそういうのは。
紹介してくださって本当にありがとうございます。
未来へ
これで旧劇までは観きったので、次はいよいよ序破Qに手を出していこうと思います。
その前に(並行して?)漫画版も読んでみたいね!
カフェラテかミルクティー買います いや、カフェラテの方がカラテが高まりそうなのでカフェラテにします