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みなさんと共有したい、日本の医療の10の課題

こんにちは、CCH協会の村上です。
私達は「もっとも患者さん想いで、働きがいのある病院と地域コミュニティを全国に作り、それを通じて幸せに過ごせる地域社会を実現すること」を目指し、全国に100以上のコミュニティホスピタルを創ること」を目標としています。
コミュニティホスピタルとは、総合診療を軸に超急性期以外のすべての医療、リハビリ、栄養管理、介護などのケアをワンストップで提供する病院。病気だけを診る医療ではなく、患者さんの人生を診て、「治し、支える医療」を提供していきます。
この記事では、コミュニティホスピタルで解決していきたい、日本の医療の10の課題をご紹介します。


世界でも有数の速さで少子高齢化が進む国、日本。高まり続けるニーズとはうらはらに、地域の医療インフラは、このままでは支え続けられません。
ここではその根本にある日本の医療課題についてご紹介します。


1  入院患者の約7割が高齢者。入院以外の選択肢が求められている。

入院患者における高齢者の比率は、この40年弱で倍近くに増えています。しかし、高齢者にとっての入院は、心身にさまざまな悪影響を及ぼします。リハビリなどを行い、できるだけ早い時期に退院して在宅療養に切り替えられる医療・介護の連携体制が求められています。

厚生労働省「平成29年(2017年)患者調査」

2 6割が自宅での最期を希望するが、実際は2割に留まる。

日本では約6割の方が人生の最期を迎えたい場所として自宅を希望しているにも関わらず、約8割の方が病院で亡くなっています。これからの本格的な高齢多死社会に向けて、人生の最期まで希望する場所で療養できる体制が必要です。

(出典)厚生労働省資料 看取りに関わる状況②死亡の場所(各国比較)

3 介護が必要な独居や老老世帯増による、在宅サポートの需要増

介護が必要な高齢者が増加することに加えて、近年の核家族化の進行から、一人暮らしや高齢者のみの世帯が急激に増加して、在宅での介護が困難な世帯が増えています。地域から孤立した高齢者を生み出さないような支援が必要になります。

(出典)公益財団法人長寿科学振興財団

4 特定の領域の専門医の限界(総合診療スキルの必要性)

高齢になる程、複数の病気を抱えている人は増加し、内科的対応だけでなく、外科、泌尿器科、耳鼻科などの幅広い領域での対応が求められますが、地域でそれぞれの領域の専門医を確保することは困難です。このような幅広い疾患を診るためには総合診療のスキルが必要になります。
(出典)高齢者の約8割が2疾患以上


5 医療と介護の分断による、バラバラのサービス

日本の医療と介護は異なる制度によって分断されていて、その連携が長年の課題となっています。また、地域の診療所や介護事業所は小規模であり、医療・看護・介護、訪問・通所・宿泊と行った個別サービスは異なる事業所が運営していて、本来必要な統合的なケアが提供されにくい構造になってしまっています。


6 「治す医療」から「治し、支える医療」への転換

治療技術の発展や、高齢者の増加によって、複数の病気や障害を持つ人が増加しています。そのような人が病気や障害とともに生きていくために、病院の中での「治す医療」ではなく、生活の中で行われる「治し、支える医療」の重要性がますます高くなっています。
(出典)猪飼周平 『病院の世紀の理論』


7 健康格差の拡大、予防への取り組みの必要性

近年、生まれた家庭や就いた職業によって、病気のリスクや寿命に格差が生じる「健康格差」が明らかになっています。生活習慣病などのリスクを抑えるための、生活環境改善の取り組みや、地域とのつながり(コミュニティ)作りなども地域医療の取組むべき課題です。
(出典)http://mental.m.u-tokyo.ac.jp/sdh/pdf/messagetopeople.pdf


8 健康を支えるコミュニティの重要性

近年、健康格差や健康の課題に対して、豊かなコミュニティがある程、情報共有や助け合いによる生活規範の改善で健康に寄与するという、社会的つながり(コミュニティ)の重要性が指摘されています。このコミュニティ作りも地域医療の取組むべき課題です。
(出典)https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/14/dl/1-03.pdf (P.142)


9 幅広い疾患と生涯の健康をみられる総合診療医の不足

日常的な健康問題の8~9割は、専門的な医療は不要で、総合診療(プライマリ・ケア)で対応できると言われています。重要なのは、日常的な病気やケガを幅広くみることができる総合診療のスキルですが、専門医志向の日本においては、そのスキルを持った総合診療医はまだまだ不足しています。
(参考)Gen Med 2020.2.14 医師需給分科会で「(4)総合診療医の養成」の検討


10 多くの中小病院は専門志向で経営難

全国にある病院のうち、中小病院は約7割を占めていますが、大病院と類似した専門志向のため、多くの病院が経営的な課題を抱えています。地域によっては病院の廃業や統廃合が進み、病院がなくなる可能性もあります。地域医療を守るためにも、中小病院のあり方の見直しが迫られています。

H30医療施設動態調査、H29病院経営調査(全日病)
H29病院経営実態分析調査
H28病院の経営状況について(福祉医療機構)


これらの日本の医療課題、地域の課題を解決していく方法の一つが、全国にコミュニティホスピタルを増やし、それぞれの地域にコミュニティを育んでいく、「コミュニティホスピタル構想」の実現であると考えています。

一朝一夕で実現できるものではありませんが、この構想を実現する取り組みを通じて、今日より明日が、少しでも良い世界になる事を願っています。


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