抱擁

 川端康成に「抱擁」という作品はあっただろうか。読んだ記憶はないし、調べても出てこない。
 しかしそれは私の夢の中に現れ、私の体験として形になった。
 概要はぼんやりとしか覚えていないが、芸子が主人公と恋に落ち、駆け落ちしようとしたところ、何故か殺人事件に発展してしまうというものである。
 身も蓋もない夢で内容も薄いのだが、夢の中、それはとても美しい色と言葉に彩られ、私は恍惚としていた。

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