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鬱ライス

妻氏が海外出張中なの1週間弱、娘氏と短期父子家庭生活していたんですが、「夕飯何食いたい?」の問いに対して「オムライス」という答えがあったんですよね。
なるほどオムライス。
さてもオムライス。
そういえば昔はよく作ってたオムライス。
いや安いんですよオムライスは。
米、卵、玉ねぎ、細切れ鶏肉というあたりでそれなりに美味しく腹も膨れる。まだ娘氏が小さくて僕には金がなかった頃、よく作っていた。
あと妻氏が当時、「肉」という感じの肉をあまり食べなかったので、家庭内最小公倍数として無難でもあった(その後、学生時代にやっていた登山を再開した妻氏はハンバーグを三枚くらいぺろっと食べるようになります)。

そういうわけで超久しぶりにオムライス作ってみたんです。
玉ねぎを細かく細く刻んで炒め、鶏肉を投入し、米も投入して味付けという段になってケチャップがない。
なんか昔これのカレーバージョンみたいなことがあって、その時はパスタ用のトマトバジルソースを中心に誤魔化したんだけどそれもない。
でも大丈夫です。
オムライスの中身はケチャップライスでないといけないという法律はないのですから、何かしらオムレツに負けない濃いめの味がついた米の炒め物があればいいのです。
冷蔵庫とコンロの横のスパイス入れを眺めること暫し。
鶏ガラスープの素。彼が我々の精神的支柱となるだろう。
ここにオイスターソースとコンソメひとかけを投入することでなかなか良い味になりました。
オムレツには干からびかけていたチーズを刻んでチーズオムレツに。最後にケチャップがわりにハンバーグ用デミグラスソースをかけて出来上がり。

ついでに白ワインも空けてオムライスをモサモサ食いながら『鬱ごはん』5巻を読む(妻氏がいる時にやると怒られるので)。
鬱野も30代半ばになったらしく、だんだん我々の距離感が近づいてくる。
彼はもう完全に就職しようとはしていない。
相変わらず理屈っぽい。
生成AIを気に入っていてロシアのウクライナ侵攻にショックを受けていてコロナに閉塞感を覚えている。
シャインマスカットはうまい。
ほんの少し前、まだ歴史になっていない近い過去を鬱野の目を通して再体験している感じ。

そう言えばコロナ禍が始まった頃の我が家にはまだ猫はいなくて、それがいつの間にか猫2匹体制になっていた。
顔の一部のように思っていたマスクはもうしておらず、他方で自衛隊が射程2000kmのミサイルを導入することはなんとなく「そういうもの」として受け入れている。
世の中はなんかこう、ぬるっと、しかしビシッと変わっていくのだなぁと膝の上で仔猫を寝かせながら思うわけです。
猫、あったかいなぁ。

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