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短編集『愛を謳うには遠すぎる』

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オリジナルの短編〜中編小説を集めておく場所。
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#ショートショート

ペンを取りて君に贈るうたを編む

片付けをしていたら、ノートに挟んだプリントの束から一枚のルーズリーフが落ちてきた。拾い上…

かのこ
2年前
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【小説】 旅の途中

 狭い休憩所で相席をしただけの見知らぬ婦人に、ねちりと嫌味を言われ、私は言葉を返すことも…

かのこ
4年前
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人魚の鱗、ミッドナイトブルー。

ネイルをチェンジしようと、古いジェルを削り落として、カゴから新しいボトルをいくつか取り出…

かのこ
4年前
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例えば、ある日、

例えば、ある日、一通のメールが送られてくる。 そのメールに動画が添付されていたとして。 …

かのこ
4年前
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夜の友だち

まだ、ほとんど学生みたいな暮らしをしていた頃。 深夜ドライブが好きだった。 そろそろ日付が…

かのこ
4年前
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【短編小説】クアラルンプールからの手紙。

こちらの小説は東南アジアを巡る旅をお題に、アセアンそよかぜさんからいただいた「マニラから…

かのこ
4年前
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【小説】カラメルソース

あんなにたくさん食べたのに、なんだか物足りない……そう思って、開けた冷蔵庫の中には、一昨日買って忘れていたプリンが4つ、行儀よく並んでいた。 夕飯をすっかり片付けて、流行りのアニメ映画を1本観たところだ。 寝るにはまだ早く、かといって、出掛けるには遅すぎる。 「ね、結衣、プリン食べる?」 「食べる。」 問いかける徹の言葉に即座に反応して、結衣は短い返事をよこす。 スマホの画面を素早くタップしながら無表情なまま小さく笑い声をあげる結衣の、伸びきったキャミソール。ストラップがズレ