ー３ー 私は大切にされていた？
年末にかけて私は胃腸の異変をずっと感じていた。
体調が悪いのは彼にも伝えていたが、
「次俺に会う日までには元気になっておいてよ」
そんな事を言われていた。
そして、土曜日の夜中
私は息ができないくらいに脇腹の痛みと腹痛に襲われた。
”これは寝られない、明日は日曜だし週明けまで耐えられる気がしない”
と感じた私はまず♯７１１９に相談した。
結果、近くの夜間救急に行くことを勧められた。
救急車は呼びたくなかったのでタクシーで向かった。
行く途中で彼にメッセージで連絡をいれた
ちょうど仕事終わりだった彼は来てくれることになった。
診察から検査に至るまでの時間は苦痛でしかなかった。
自分の感覚ではかなりの時間がかかった気がする。
とりあえず胃腸炎だろう。これから高熱が出てくるだろう。
と言われ、抗生物質やら何やら貰い、やっとの思いで病院を出た。
病院を出たところ、ちょうど彼が到着したところだった。
彼は私の容体の状況を観察する前に、私の態度が気に食わなかったのか、何なのか。
年末の寒空の中、立たせたまま、まずは自分に状況を説明をしろと言った。
心配してすごく早く駆けつけてくれたのは分かるよ、感謝してるよ。
でもその場であくまでも応急処置と薬を貰っただけで
私は元気なわけではなかった。
「遠いのにわざわざきてくれてありがとう！」
なんて言えるような元気も無かった。
彼からは「今話せる？そこに座る？大丈夫？」
などの言葉は無く、
俺はこんなに頑張って急いでここに来たんだ。
高速道路を使って何キロのスピードを出して
何台の車を追い抜いて、仕事終わりに寒いのにここまで来たんだ。
そんな情報を彼から矢継ぎ早に言われた。
私は、その時
私の現在の状況はどうでもいいから
彼が、ただ彼自身の為に状況の説明を求めている
そう捉えた。
私のことが大事、大切ってことが伝わってこなかった。
家に帰って暖かいところで座って、それから状況を聞いてほしかった。
その後、案の定高熱がでて私は悪寒で震えた。
彼は時々汗を拭いてくれたり看病してくれた。
でも、ぶるぶる震える私を横目に、テレビの続きが気になって
「なにか食べたい」と言う私を放っておいたり、
「大丈夫だって。若いんだから。」と言われたりしていた。
薬を飲むために、朝ふらふらする中とりあえずゼリーを流し込み、
薬を飲み込もうとした時に、それに気付いた彼が何かを言ってため息をついた。
何がなんだか私には分からず、聞いたけど「もういい。」
と返され、横になっていた彼は腕で目を隠してしまい
何も返答が無かった。未だに理由は分からない。
数日後、熱が下がったあとに
彼からこう言われた。
「あんまり構ってくれなくて寂しかった。」
私としては、”あんな状態で構える訳ないじゃん”
そして、お腹の調子がまだ悪いのに熱が下がったからって
彼から性行為を求められた。
そこで、この人は私の事を本当の意味で大事にしていないんじゃないか
そう思った。
私も、そこをちゃんと言葉にして伝えられたら良かったんだろうけど言えなかった
この頃から、彼の鋭い「え？」が怖くなった。
年末年始は父にとっては仕事に含まれるのだが、
その中で会う予定だった。
その予定は、彼と付き合う前から入れていたし、事前に彼にも伝えていた。
何なら一緒に来てもいい、と誘ってもいた。
でもそれは拒否された。
父は不動産業だが、船舶免許があり、社長にこきつかわれて毎年
年末年始は決まって船を動かしている。
父と疎遠になる前は私も毎年行っていた。
大晦日の夜、到着後
父より「古くからの付き合いの人と夕食を食べる」
と言われ、ついていった。
その方宅で夕食をいただくことになった。
お腹の調子が悪かったので、お酒は控えめにしてもらった。
父は終始その方々に敬語で、そういう関係性なのか
と薄々勘づいた。私の中では終始緊張し、接待の感覚だった。
彼より「カウントダウンの時は電話したいな」と
メッセージが入っていたのに私は
「ごめん、接待みたいになってて厳しい」
と返した。
日付が変わってから、メッセージのやり取りは普通にした。
結局、その場所から抜けられたのは夜中の３時過ぎ。
父もここまでの時間になるとは思っていなかったみたい。
元旦を迎えてから３時過ぎまでの間に、
彼からの不在着信が何件もきていた。メッセージも。
「どーなってるわけ？ちゃんと全部説明して」
「彼氏に電話するくらい、親に言えばどんな時でも普通できるでしょ？」
キリキリ痛む中、父には先に戻ってもらい、彼に電話した。
矢継ぎ早に色々なことを言われた。状況を説明しろと。
気付くと私は外でしゃがみこみ泣いていた。
「明日は俺がそっちに行くんだから、絶対夕方には着くように出てよ」
と一方的に言われた。
父との約束が先だったのに。
そんな、電話してきますって言えるような状況じゃなかったのに。
一緒に過ごしたいのなら来てもいいよって誘ってたのに。
頭の中はぐちゃぐちゃだった。
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